2013年8月15日木曜日

2013年平成25年ノンデフレ8月の月例報告

「デフレ状況でなくなりつつある」 8月の月例報告
景気の総括判断は据え置き

2013/8/15 10:54


 政府は15日公表した8月の月例経済報告で、物価の基調判断を「デフレ状況ではなくなりつつある」とし、7月よりも脱デフレの動きが進んでいるとの認識を示した。エネルギーを除く消費者物価指数(CPI)が前月比で横ばい圏で推移するようになり、物価の持続的な下落が止まりつつあると分析した。一方、景気の基調を表す総括判断は前月から据え置いた。

画像の拡大


 甘利明経済財政・再生相が同日の関係閣僚会議に提出した。前月の月例報告は「デフレ状況は緩和しつつある」としていたが、生鮮食品を除くCPIは6月に前年同月比で1年2カ月ぶりに上昇した。

 内閣府はエネルギー価格上昇などの影響を差し引いた指数を独自に算出。同指数が前月比で5カ月連続横ばい圏となっており、物価の基調判断を「デフレ状況ではなくなりつつある」に修正した。

 ただ、政府が目指すデフレ脱却への道筋はまだ不透明だ。食料やエネルギーを除いたベース(コアコア)のCPIは、前年同月比で見ると0.2%下落している。

 足元の物価上昇は電気代やガソリン代などのエネルギー価格や、円安を起点とした輸入物価の上昇がけん引した。物価上昇が消費を冷やす面もあり、内閣府は脱デフレから脱却したと判断すには「再びデフレ状況に戻らないか見極める必要がある」としている。

 政府は2001年3月に戦後初めてデフレと認定したが、02年以降に景気回復局面に入り06年7月に月例報告からデフレの文言を削除した。しかし、08年のリーマン・ショック後に、国内経済が落ち込んで物価の下落が目立つようになったことから、09年11月の月例報告で再び「緩やかなデフレ状況にある」と認定した。その後は物価の判断にデフレという表現を使い続けている。

 景気の基調判断については「着実に持ち直しており、自律的回復に向けた動きもみられる」との判断を据え置いた。雇用については「改善している」とし「厳しさが残る」との表現を外したものの、生産や設備投資、消費など景気の基調を見極める項目は前月から変更がなかったためだ。

 先行きについても「景気回復へ向かうことが期待される」との表現を踏襲した。今後の焦点は収益改善が進んできた企業が、設備投資をどこまで増やすかだ。4~6月期国内総生産(GDP)速報値では企業の設備投資は0.1%減と6四半期連続のマイナスとなった。中国など海外経済の下振れも、景気を下押しするリスクになる。

 政府は秋までの各種経済統計を基に、来年4月に消費税率を引き上げるか判断する。増税をにらんだ駆け込み需要もあって足元の景気は回復基調だが、来年の消費税引き上げ以降は、一時的に景気が冷え込む懸念がある。物価の緩やかな上昇が景気の回復と連動しなければ「脱デフレ宣言」には踏み込みにくい情勢だ。
 

8月月例報告、7月からの主な変更点
                      2013/8/15 10:40

 
 8月の月例経済報告は国内景気の総括判断を据え置いた。基調判断の内訳を見ると、輸出(「持ち直しの動きがみられる」)や個人消費(「持ち直している」)、設備投資(「おおむね下げ止まっており、一部に持ち直しの動きもみられる」)などの項目を維持している。一方で物価関連で表現を変えた点が目を引く。雇用情勢は2カ月ぶりに上方修正した。
 今回の総括判断と主な変更項目は以下のとおり。カッコ内が7月の判断。

【国内景気】
◎総括判断〔→〕据え置き
 着実に持ち直しており、自律的回復に向けた動きもみられる。
(同上)
・物価の動向
 総合してみると、デフレ状況ではなくなりつつある。
(総合してみると、デフレ状況は緩和しつつある)

◎先行き
 輸出が持ち直し、各種政策の効果が発現するなかで、企業収益の改善が家計所得や投資の増加につながり、景気回復へ向かうことが期待される。ただし、海外景気の下振れが、引き続き我が国の景気を下押しするリスクとなっている
(同上)

◎貿易・サービス収支 2カ月連続の表現変更
 赤字は、減少傾向となっている
(赤字は、減少している)

◎雇用情勢〔↑〕2カ月ぶり上方修正
 改善している
(厳しさが残るものの、改善している)

◎消費者物価 2カ月連続の表現変更
 このところエネルギーを中心に上昇しており、それを除いた基調としては横ばいとなっている
(このところ横ばいとなっている)
                                     〔日経QUICKニュース(NQN)〕

2013年7月26日金曜日

そろり始まる円安劇場第2幕

2013/7/26 6:00

アベノミクスに背を押された急激な円安・ドル高が、1ドル=100円でぱたりと足を止めた。金融緩和、財政出動、成長戦略の「3本の矢」を打ち尽くし、円安を噴かすエンジンが見当たらない。100円の節目達成で円安は終わるのか。市場の戸惑いをよそに、円安劇場第2幕が静かに始まろうとしている。


画像の拡大
80円から100円へと瞬く間に駆け抜けた円安を体感した人は、少し拍子抜けするかもしれない。アベノミクスや日銀の異次元緩和、米量的緩和の出口戦略といった刺激的な材料なき円安は、極めて緩やかなものになる可能性が高いからだ。第2幕を先導するのは、需給や金利差といった古典的な相場材料だ。


 「迷ったら、原点に返れ」。寄せては返す為替相場の荒波を乗り越えてきたベテランの為替ディーラーたちが胸に刻んだ教訓でもある。

■赤字が減らない仕掛け

 7月24日。2013年上期の貿易統計が発表になった。4兆8438億円の過去最大の赤字。景気回復で輸出が増えても、原子力発電所の稼働停止で膨らむ燃料輸入を補えない。赤字が減らない理由は決済通貨にある。

 輸入に占める外貨の割合は約8割。燃料はドル建てで取引され、輸入企業は円を売ってドルを調達しておかなければならない。一方、輸出に占める外貨は6割強にとどまる。長引く円高時代に海外分業を迫られた輸出企業は関連会社や取引会社と円建ての取引を増やした。結果として、本来は円安で起こるはずの価格調整機能が働かず、赤字がいっこうに縮まらない。
野村証券の池田雄之輔チーフ為替ストラテジストはこう指摘する。「エジプトの政情不安が再び原油価格を押し上げている。貿易赤字が円安を支える土台になる構図は当面変わりそうにない」。リーマン・ショックを乗り越えた世界経済の復調気配も、一段の原油高を期待する投資家への思惑を誘う。需給が放つシグナルは完全に円安方向を指している。
 金利差はどうか。答えは単純明快だ。  
画像の拡大

■発言より金利差に関心
 5月22日に米量的緩和第3弾(QE3)の出口論に踏み込み、急激な円高・ドル安の巻き戻しを招いた米連邦準備理事会(FRB)のバーナンキ議長。米緩和縮小の開始時期は年末なのか、それとも6月に前倒しされるのか――。それ以降、議長の発言は市場の熱心な注目を浴び、ヘッジファンドが言葉尻をとらえて大規模な円買いや円売りを繰り返す展開が続いてきた。
 だが、こうした混乱も次第に収束しつつある。市場は「結局のところ、緩和縮小の時期は雇用統計の内容次第で変わる」ということに気づき、FRBが緩和縮小の基準として示す毎月の失業率の動向を冷静に見極める姿勢に変わり始めた。
 ヘッジファンドの思惑による売買が剥がれれば、最後に残るのは「いずれFRBは緩和縮小に動く」という事実だけ。これに対し、日銀は4月の異次元緩和導入時に「マネタリーベースを今後2年間で2倍に増やす」と宣言している。目指しているのは、FRBの正反対の政策運営、つまり緩和拡大だ。

日米の金利差は既に拡大に向かっている。需給要因に加え、金利差要因もまた、FRBの緩和縮小が本格化する来年にかけて円安方向へとなびく。


画像の拡大
為替相場は様々な要因や思惑が複雑に絡み合い、方向感を見極めるのが難しい。だが裏を返せば、大きな相場材料が見当たらない時期は、需給や金利差といった実体経済のファンダメンタルズ(基礎的条件)に左右されやすくなる。為替ディーラーたちが取引に迷った時に「原点に返る」とは、そういうことだ。


 世界経済を見渡せば、日米が復調に向かい、ユーロ圏も最悪期をようやく脱しつつある。波乱材料がなく、需給や金利差を映す円安は、統計や金利の数値が急変動しない分、緩やかな動きになりやすい。

 アベノミクスをテーマにした激動の円安劇場第1幕では、円相場が半年間で20円も急落するという乱高下が繰り広げられた。

 これから新たに始まる第2幕は、がらり場面が一転。相場全体に安堵感が漂う静かな展開になりそうだ。強いて言えば、1年から1年半をかけて5~10円の緩やかな円安が進むといったイメージか。最近のはやりに名を借りれば、「ゆるキャラ」ならぬ「ゆる円安」が始まる可能性が高い。

 ただ市場から波乱要因が完全に消えうせたわけではない。なだらかな舞台に大きな落とし穴がしつらえてあるとすれば、景気減速傾向が次第に鮮明になってきた中国を含む新興国経済の行方だ。

1990年代後半の世界市場の大混乱を覚えているだろうか。きっかけは、米国が過剰に膨らんだ経常赤字を補うため、世界の投資マネーをウォール街に呼び込もうと打ち出した「強いドル」政策だった。
 当時、自国通貨をドルに連動(ドルペッグ)させていたアジアの新興国は、ドル高に伴う自国通貨高に輸出産業などが即応できなかった。ヘッジファンドによるアジア通貨への激しい売り浴びせもあり、タイやマレーシアなどアジア各国は相次いでドルペッグから離脱。変動相場制への移行を余儀なくされ、通貨の急落を招いた。その余波はアジアへの輸出依存を強めつつあった日本にも悪影響を及ぼし、その後の未曽有の金融危機の一因にもなったという指摘もある。

■G7主導で市場監視を

 通貨危機の苦い教訓もあり、アジアの新興国は現在、ドルペッグをほとんど採用していない。このためFRBの緩和縮小によるドル高がアジア市場にどの程度の悪影響を及ぼすかは未知数だ。

 ただ5月22日の「バーナンキ・ショック」では、実際に緩和縮小を始めたわけでもないのに、新興国市場に流入していた緩和マネーが逆流し、インドルピーが対ドルで過去最安値を更新するといった混乱を引き起こした。しかも世界市場の一体化が進む現在では、新興国市場の混乱はアジアに限らず、中南米や東南欧の諸国にも瞬く間に連鎖するようになっている。

 2008年秋のリーマン・ショック以降、世界経済のかじ取り役は先進国によるG7に代わり、先進国に新興国を加えたG20が担うようになった。だが世界経済のけん引役はリーマン・ショック後の新興国主導から、再び先進国主導に変わりつつある。

 まもなくリーマン・ショックから5年。「先進国vs新興国」の利害対立で有効な対策を打ち出しきれないG20に代わり、復調したG7が世界市場の安定に指導力を発揮する。それこそが日本の望む緩やかな円安を担保する近道のように思える。




2013年7月8日月曜日

風俗と慰安婦と米兵問題 橋下氏発言の報道

風俗と慰安婦とアメリカ兵の問題 橋下発言と、その報道に思うこと

       (ダイヤモンドオンライン 2013年05月31日掲載) 2013年5月31日(金)配信

橋下徹大阪市長兼維新の会共同代表が、在日米軍司令官に風俗の活用を奨めた発言を撤回し、謝罪した。徹さんの発言が一回転するから撤回なのかはさておき、撤回に至るまでの経緯は多くのメディアが報じているから措いておくにしても、だ。

 橋下さんが言いたかったのは、アメリカ兵による犯罪……、とりわけ多発する性犯罪を何とかできんのかお前らは、ということだったはずなのだが、この問題が報じられて以降、論点はどんどん違う方向へ逸れていった。

 戦場で生命を賭す兵士たちの極限の緊張状態を和らげるために、との主旨で風俗と慰安婦の話を持ち出したのだが、弁護士資格を持つ論者が用いたレトリックとしては稚拙だった感は否めないにしても、だ。

 橋下さんの真意を問い、なおかつ、アメリカ兵が犯す犯罪の実態はどうなのかを取り上げるメディアはなかった。橋下さんを擁護しろとまでは私も言わないが、橋下発言の背景に言及し、橋下さんが何故あのような要請をしたのかに触れるメディアがあってもいいはずだった。

 横須賀基地のある神奈川県だけで、この一年に性犯罪や家宅侵入、暴行、傷害罪で逮捕されたアメリカ兵は二〇人をくだらないんだぞ。不祥事の総合商社と言われる神奈川県警だって道を譲るくらい問題を起こしているんだぞ、アメリカ兵は。

 つい一昨日も、横須賀で女子中学生のスカートの中を盗撮しようとしていたアメリカ兵が捕まったんだぞ。逮捕したのは神奈川県警だけど。
相模原署内の交番では、相談に来た女性にわいせつ行為を働いた巡査もいたけど。

 橋下批判が噴出する中で、先週は長崎県佐世保市でアメリカ兵による強姦事件が発生した。こういう大事な問題を放っておいて、メディアの論点は従軍慰安婦問題一色だった。いまもなお、その傾向は変わらない。

 発端は橋本市長の発言には違いないが、風俗の話が従軍慰安婦に飛んで、歴史観の話になり、村山談話と河野談話が掘り起こされ、強制連行があったか否かで識者が激論を飛ばす。問題視するのはそこですか? と首をひねっていたのは私だけなのかしら。
橋下さんという方は、よっぽどメディアに嫌われているのだろう。
 あるいは、橋下さんは、会見の席でくだらない質問をする記者に、もっと勉強してこい的なことを平気で言うようなところがあるから、その腹いせとばかりに叱られた記者さんたちが徒党を組んで橋下叩きに躍起になっているのかも。
 でなければ、外圧に弱く、アメリカさんにゃ逆らっちゃいけないと刷り込まれているかのいずれかだ。アメリカさんに従軍慰安婦を“性奴隷”と翻訳されて、それは違うと反論した“社員ジャーナリスト”なんかひとりもいない。
 ちょっと外側から今回の過熱した報道を見ると、ライブドアの粉飾決算が明るみに出たころの堀江叩きの構図ととてもよく似ている。出る杭は打たねば、というスピリッツが日本のジャーナリズムにはあるかのようだ。という私もマスコミの一員なんですけど。
 にしても、だ。
 今回の騒動での収穫は、日本維新の会という政党がやっぱりどーしようもない自己保身の集団だったとわかったことかもしれない。その情けなさに関しては、たった三年で政権を奪取された民主党のだらしなさにも匹敵する。ひょっとすると、この二つの政党は五年後にはなくなってるんじゃないか?
 と思ってしまったほどだ。
 橋下さんを擁護した維新の会のメンバーはというと、石原慎太郎共同代表と松井一郎幹事長兼大阪府知事、そして西村慎吾議員くらいだった。他はみ~んな知らんぷり。いたんですか、親分のピンチに助け船を出そうとした会員は。特に知名度の薄い方で。
 「橋下氏らしい発言だ。現実に慰安婦があったということは、必要とされていたということだ。ものごとを本気で解決するには、上辺だけの議論ではダメだ。橋下氏の発言は、問題意識を本音でぶつける中での発言だった」(松井一郎談)
 と言ったそのあとに、合法的な風俗店はいっぱいあるから、軍関係者にも楽しんでもらえばいい――、と発言しているのだが、松井さんが火だるまになることはなかった。
こういう問題が起きると、決まって総攻撃の指揮を執るかのごとく登場する福島瑞穂さんも、風俗を楽しんで発言には触れなかった。女性蔑視だ、女性をモノ扱いしていると声高に叫ぶフェミニズム団体の方々も、松井さんの風俗を楽しんで発言はスルーだった。
 ということは、風俗を活用して、はNGになるが、風俗を楽しんで、はOKということだ。ってことは、橋下さんも、アメリカ兵は日本の風俗を楽しんでくださいと言っていれば、福島さんらが目くじらを立てることもなかったってことなのかしら。
 「軍と売春はつきもので、歴史の原理みたいなもの。決して好ましいものではないが、彼は基本的にそんなに間違ったことは言っていない」
 石原慎太郎さんはこう言い、私も個人的には石原さんと同意見だが、そうすると私もフェミニズムの方々に叩かれるのだろう。そして、西村さんのあの発言である。
 「日本には韓国人の売春婦がうようよいる(中略)。海外では慰安婦がセックス・スレイブ(性奴隷)に転換されている。これが国際的に広がれば、謀略が成功しかねない。だから、反撃に転じたほうがいい」
 ちなみに、この西村発言の三日前、横浜では、観光ビザで入国した韓国人男性が三人、売春行為で逮捕されています。男性の売春だから“男娼”です(これに、部屋を提供したとして別の韓国人男性も捕まり、逮捕は計四人)。外国人男娼の逮捕は全国で初でした。
 売春婦がうようよいるかは知りませんが、男娼は三人いましたよ、西村さん。
 という話は措いといて、西村議員はすぐさま発言を撤回し、党に迷惑をかけたとして離党届を提出したが、維新の会はこれを拒否。除名処分にするとの見解を示した。このとき、さきの松井幹事長は、除籍のみならず議員辞職を求め、議席を返してもらいたいとまで言った。
 西村さんは橋下さんと同じ弁護士出身の代議士だが、難関と言われる司法試験をパスし、弁護人を経験したにしてはどうにもケンカ下手というのか、簡単に揚げ足を取られるような脇の甘さがあるような気もするが、維新の会のメンバーで手を挙げたのはこの三人だけだ。あとはダンマリを決め込んでいる。苦し紛れに、小沢鋭仁国対委員長がこんなことを言ってますが。
 「あれは橋下氏の個人的な発言だと思う」
 だそうです。橋下発言は維新の会とは関係ないところで起きた火事らしい。
 我が身の党……、もとい、みんなの党も、参院選での維新の会との協力体制を解消すると発表した。それどころか、我が身の党……、もとい、みんなの党代表の渡辺善美氏は、維新の会に合流しなくてよかったとまで吐き捨てた。私、この方のお父さまに取材したことがあるけど、お父さまのほうがもうちょっと義理堅くて潔かった。
 逆風の中で橋下擁護にまわれば次の選挙が危ない、と思っているセンセイ方はたくさんおられるようで、維新の会は、あたかも橋下徹を坂本龍馬に仕立てようとしているのかもしれない。そうすると、松井さんが中岡慎太郎役になるのか。
 すると、ひょっとしたら維新の会は五年後にはなくなっているかも、というところに話はまた戻ってしまうが、橋下さんは、次の参院選で維新が惨敗し、その原因が自分の発言にあれば辞任すると言っている。
 が、私には、孤立する親分を助けようとしない腰抜けどものほうが、結果的に維新の会を終焉に向かわせるような気がしてならない。ボスを守れない政治家に、国民の生活を守ることなんかできるわけがない。
 と思わないか?
 維新の会の行く末は、グレーな要素はあっても、小沢一郎を切り捨てた民主党と同じ道をたどるのだ、きっと。維新の会のメンバーは橋下人気に縋り、民主党は小沢さんの手腕に縋って入党したくせに。
 日本語で言うところの“風俗”が、英語圏の諸外国に翻訳されたとき“売春”と意味が変わる。慰安婦(Comfort women)を性奴隷(Sex slaves)と表現するよう命じたのはあのヒラリー・クリントン国務長官で、つい一年前のことだ。
 ヒラリーさんは、ご存じのとおり民主党の上院議員です。おわかりですね、民主党です。モニカ・ルインスキーさんと“不適切な関係”をもったビル・クリントン元大統領の奥さまです。
 ヒラリーさんが鶴の一声で、従軍慰安婦を性奴隷と言うように、と命じたときの政権与党が、いまは野党に追い落とされた民主党。当時の玄葉光一郎外務大臣は異を唱えたが、従軍慰安婦=性奴隷は瞬く間に国際世論のスタンダードになってしまった。
 そういった意味でも、やっぱり何をやってたんだ民主党は、なのだが、ついでに、何をやってたんだ日本のメディアは、にもなる。
 橋下さんと西村さんの発言の背景には、そのような国際世論を許容してはならないという強い意志があった――、と私は見ているが、アメリカ兵はどうしてこんなに問題ばかり起こすのだ、と司令官に詰め寄る姿勢を強く見せ、謝罪なり反省の弁を引き出せば、お二人も謝罪する羽目にはならなかったとも思っている。もっとも、アメリカは謝ったほうが負けの文化だから、めったに謝罪しないんですけどね。
 「橋下さんが、米兵による事件、事故が多く起こるのは問題だ。綱紀粛正はどうしているか、と問うと、司令官は、フィットネスとジョギングだと二回、小ばかにした感じで応えた。それで橋下さんは業を煮やして、風俗に行けばいいと発言したのです」
 と、橋下さんがジェイムス・フリン司令官と面談した際、同席した下地幹郎前衆議院議員は週刊文春の取材に応えている。
 すると、橋下さんのほうが焦れて、言わなくてもいいことまでつい口走ってしまったということになる。捉えようによっては、海千山千の司令官にいいようにあしらわれたとも言える。若さが露呈したか。
 また、面談での風俗活用発言は、日本側の出席者三〇人全員で口外しないことを申しあわせていたとのことだが、橋下さん自らが、そのオフレコの禁を破った、と維新の会関係者が匿名で証言してもいる。
 橋下さんが記者会見で打ち明けたとき、リップサービスの度が過ぎたのか、それとも、よほど言いたいことがあったのかは定かではないが、発言の中から風俗の活用と従軍慰安婦問題に争点が集中した――、というのが今回の騒動だ。
 ともすれば、アメリカの民主党寄りだったり、韓国や中国に“いい顔”を見せたいうえに橋下嫌いな新聞社がとりたててこの騒動を大きくしたのかも。ありますね、自虐史観がお好きな新聞社。
 な~んてバイアスさえかかってしまう。
 週刊新潮で『変見自在』というコラムを連載中の高山正之さんが、興味深い資料を紐解いていた。このコラムは、週刊新潮を読むときの楽しみのひとつと言ってもいいくらいに痛快なのだ。
 ずっと以前、高山さんには私が集めた資料をお貸ししたこともあるのだが、この方は、それはそれは入念に資料を漁る方で、ジャーナリズム系のコラムを書かせたら、この高山正之、毎日新聞の牧太郎、櫻井よしこのお三方が日本のトップ3だろうと思っている。私なんかと違い、実に説得力のあるコラムをお書きになるのだ、この人たちは。他にもジャーナリズム系のコラムを書かれている方、ごめんなさい。
 高山さんのコラムによると、日本の敗戦後、厚木にアメリカの部隊が入ったその日の夜、アメリカ兵による最初の強姦事件が起きたとあり、その十日後にも中野のアパートに押し入った米兵が制止する男性ら数人を殴り倒し、押し入れに隠れた女性を襲った等々の記録を当時の新聞から引き出している。
 事件は全国的に広まり、一日で四六件もの強姦事件が起きたような驚くべき事実を挙げ、また、当時の調達庁が調べたところでは、一九五一年にサンフランシスコ講和条約が結ばれるまでの六年間で、実に二五三六人の日本人男性が、妻や娘を守ろうとしてアメリカ兵に殺害されたとある。
 信じられるかい、二五〇〇人以上だぞ。止めようとした男性が二五〇〇人以上も殺害されているのなら、被害に遭った女性はどれだけいると思うのだ。
 私は、決して、古い話だからの一言で片づけることはできないと思う。アメリカ兵による性犯罪は、いまもなお起きているのだ。従軍慰安婦制度そのものに目を向け、慰安婦の苦痛を推し量る裁量も大切だが、アメリカ兵の被害に遭った女性、そしてアメリカ兵に殺された男性の無念にも目を向ける必要はあるはずだ。
 だから、私は福島瑞穂さんやフェミニズム運動の方々に問いたいのだ。
 それぞれの立脚点から橋下さんを女性の敵とばかりに批判されるのは結構だが、アメリカ兵が犯す性犯罪について、この方々はどう思っておられるかということだ。何かあるとすぐ発言なさるのも結構だが、では、橋下さんのように在日米軍司令部に乗り込んだことはあるのか。あるいは、乗り込んでもの申す気はおありなのか。
 それとも、日本のフェミニストはやっぱりアメリカさんにはダンマリですか。
 風俗を活用せよという発言はとりあえず措いといてもらい、その前の、多発するアメリカ兵の性犯罪と事件を何とかできんのか――、とツッコんだ橋下さんは、フェミニストならば“よく言った”と賞賛に値すると私は思うのだが、福島さんらには、橋下さんの意を汲もうとする姿勢はないようだ。
 日本を“レイプ国家”と指さすアメリカの兵士が、日本に来て女性を襲っているんだぞ。おかしいじゃないか。
 だから、私は思うのだ。真意を読めない人が、橋下叩きに走るのではないかと。
 日米安全保障条約の名のもと、日本国を衛る名目で駐留しておきながら、その日本国の婦女子に悪さをするアメリカ兵を、私は正義漢面した卑怯者たちだと思っている。わいせつ行為を繰り返す警察官と同じくらい卑劣だとも思う。
 清廉潔白な兵士もいるだろうし、品行方正なお巡りさんだっていることは知っているが、法を犯し、秩序と規律とモラルを踏みにじる兵士や警察官がいることも、紛れもない事実だからだ。
 私の橋下さんへの共感は振り子のように行ったり来たりで、竹島を日韓で共同管理したらいいなどと言ったときは閉口したものだが、多発するアメリカ兵の性犯罪を苦々しく思い、何とかならんのかこいつら、という点に関しては、私はとことん橋下徹を擁護してもいい。
 アメリカ兵の愚行暴行蛮行から日本の婦女子を守りたいという考えは、見上げたものではないか。どう思うよ、日本の男性諸君。
 でも、だからといって風俗を活用せよとの方向に論理が傾くのは稚拙だったとしか言いようがないし、風俗と従軍慰安婦の問題ばかりに固執するメディアも、ちょっとおかしいのです。
 風俗発言に注視するのなら、アメリカ兵の犯罪にも目を向けなければ、フェアな報道とは言えない。そして、慰安婦を性奴隷に置き換えられたままでいいわけがない。

2013年6月29日土曜日

2013年 平成25年度1/4期 円株・金融市場動向

金融市場、不安心理が後退 各国中銀相次ぎ「火消し」

          2013/6/28 23:06
 動揺が続いていた金融市場で、過度な不安心理が薄れつつある。28日の東京市場では円相場が約3週間ぶりの円安水準となり、株式市場では日経平均株価が今年3番目の上げ幅を記録するなど「円安・株高」となった。米金融緩和の早期縮小や中国の金融不安が重荷となっていたが、米欧中の中央銀行幹部が相次ぎ「火消し」に動き、市場をひとまず沈静化させた形だ。
 28日の東京外国為替市場では円相場が一時1ドル=99円台に下落。6月中旬には93円台に上昇したが、再び円安・ドル高基調に転じた。株式市場でも日経平均が2日続伸し、計843円(7%)上昇。心理的な節目の1万3000円を上回った。
 市場動揺の起点になったのは米連邦準備理事会(FRB)だ。19日にバーナンキ議長が年内の緩和縮小の方針を示したのを受け、米市場で株安・債券安(金利上昇)が進行。新興国市場からの資金流出や中国の金融市場混乱も重なり、世界的に運用リスクを避ける傾向が強まっていた。
 反転のきっかけをつくったのも、米欧中の中央銀行幹部による「火消し」発言だ。
画像の拡大
 


 

 25日には、欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁が緩和継続の方針を強調。当のFRBも幹部が緩和縮小の時期を遅らせる可能性に言及し、市場の動揺を抑える戦略をとった。
 もう一つの震源地である中国。中国人民銀行(中央銀行)が「影の銀行(シャドーバンキング)」対策で市場への資金供給を絞り、株安を招いた。だが、28日には周小川総裁が「市場の安定を守る」として資金供給に柔軟な姿勢を示し、不安心理の払拭に動いた。

画像の拡大

 市場混乱への危機感を共有した各国中銀幹部の発言で「過度に悲観的だった投資家心理が持ち直した」(大和証券の成瀬順也チーフストラテジスト)。
 日銀も28日に計6400億円の長期国債の買い入れオペ(公開市場操作)を実施、6月の買い入れ総額は8兆円を超え、過去最高となった。当初月間7兆円強とした買い入れ額を柔軟に増やす姿勢を示し、国内の長期金利は足元で0.8%台で落ち着きつつある。
 28日は三菱地所など不動産株が軒並み上昇。三井住友フィナンシャルグループなど銀行株も買われ、相場全体を底上げした。金利の不安定さを背景に売られていたが、金利が落ち着き「割安感が出てきた」(メリルリンチ日本証券の神山直樹チーフストラテジスト)。
 円安による輸出企業の採算改善期待も大きい。製造業では13年度の業績予想の前提を1ドル=90~95円とする企業が多い。大手証券の試算では、1ドル=100円を前提に国内企業の業績を予想し、割り出した日経平均の適正水準は1万3000円台から1万4000円台との声もある。
 もっとも、市場参加者の間では米国の金融政策や中国の金融不安への警戒感はなお根強い。「1ドル=100円は視野に入るが、もう一段円安が進むほどの力強さはない」(国内銀行)との声もあり、このまま円安・株高が進むかは不透明だ。
 28日の米株式市場では景気指標の悪化を受け、ダウ工業株30種平均が反落、下げ幅は一時120ドルを超えた。来週は米雇用統計など重要な経済指標の発表も相次ぐ。「当面は値動きの荒い展開が続く」(三菱UFJモルガン・スタンレー証券の藤戸則弘投資情報部長)との見方が多い。
 
東証大引け、大幅続伸 円安・米株高で今年3番目の上げ、6月期末を意識も
 
                              2013/6/28 15:30
 6月最終営業日となった28日の東京株式市場で日経平均株価 は大幅に続伸した。終値は前日比463円77銭(3.5%)高の1万3677円32銭だった。上げ幅は今年3番目の大きさで、5月31日(1万3774円)以来、1カ月ぶりの高い水準を付けた。前日の米株式相場の上昇や円相場の下落を好感した買いが先行した後も、断続的な買いに支えられて徐々に上げ幅を拡大した。海外機関投資家の買いや仕掛け的な株価指数先物買いが上げを主導したとの見方が多い。
 一部海外投資家の決算期にあたる6月末を迎え、株価水準を押し上げておきたいとするドレッシング(お化粧)買いが終日入っていたとの指摘も聞かれる。日経平均は5月22日に年初来高値を付けた後、大幅に下落する場面もあっただけに、株価指数だけでなくこれまで大きく調整してきた不動産株などにも買いを入れる動きが目立った。連日での相場急伸で、強気に転じた投機マネーによる先物買いも活発化したという。
 上海株式相場が小幅ながら朝安後上げに転じたことや、円相場が一時1ドル=99円台まで下落したことが材料視される場面もあった。日経平均が、これまで上値抵抗として意識されてきた25日移動平均を上回ったことも、買い安心感を誘ったという。ただ、前日(379円高)に続く需給主導の上昇について、市場では「やや上げが急ピッチ過ぎる。売買高の増加も限定的で、来週は反動で調整する場面もありそう」(証券ジャパンの大谷正之調査情報部長)と、先行きに慎重な見方も聞かれた。
 東証株価指数 (TOPIX)も大幅に続伸した。
 東証1部の売買代金は概算で2兆6078億円、売買高は31億9097万株と最近では活況だった。東証1部の値上がり銘柄数は1602、値下がり銘柄数は82、変わらずは28だった。
 トヨタ が売買を伴って上昇し、6000円台を回復する場面があった。三菱UFJみずほFG三井住友FG がそろって上昇し、マツダ野村ソフトバンク富士重ソニー が買われた。菱地所三井不 が連日の大幅高。ファストリ は1銘柄で日経平均を80円近く押し上げた。丸紅伊藤忠 が小幅に下落し、カーバイドJパワー の下げが目立った。
 東証2部株価指数は大幅に続伸した。朝日インテク高木不二サッシM2J が上昇した。
〔日経QUICKニュース(NQN)〕




  

2013年6月23日日曜日

Wall Street通信 アベノミクス相場とルーズベルトの教訓

失速アベノミクス相場、米ルーズベルト大統領の教訓

 米金融政策をめぐる不透明さもあり、不安定な動きが続く世界の株式市場。とりわけアベノミクスによる急上昇の後、相場が一気に崩れた日本株には米投資家も浮足立っている。だが未曽有の金融緩和と通貨安を背景とする株高が突如として終わった例は過去にもある。1933年秋、大恐慌からの脱出をめざした第32代フランクリン・ルーズベルト大統領の時代だ。教訓は何か――。

画像の拡大
 2つの、とてもよく似たチャートがある。1つは、年初からの日経平均株価。もう一つが、33年春以降のダウ工業株30種平均だ。ともに相場が半年足らずで倍前後になった後、突如として2割も急落した。

 日経平均の動きに多くの説明は不要だろう。デフレ脱却に向けた大規模な金融緩和と円高の是正を掲げる安倍晋三政権が昨年12月に発足する前後から株価はほぼ一本調子で上昇。4月4日に日銀が「異次元緩和」を発動後この動きは加速したが、2カ月もしないうちに相場は巻き戻し4月以降の上昇を帳消しにした。
 この展開は80年前の米国と共通点が多い。大恐慌さなかの33年。やはりデフレ解消と金本位制からの離脱によるドル切り下げを訴えるルーズベルト大統領の就任を目前に、ダウ平均は急ピッチの上昇を始めた。
 大統領は就任直後の4月、宣言通り金本位制から離脱。さらに米連邦準備理事会(FRB)に、緩和策の抜本的なてこ入れを迫る。FRBは前年に10億ドルの米国債を買う「元祖・量的緩和」を始めていたが、これでは不十分とみて、30億ドルの米国債の直接引き受けを可能とする法案を議会に働きかけて通したのだ。
 まだ歴史が浅いFRBにとっては金融政策への異例の政府介入。法律にはFRBが買い取りに応じない場合は、米政府がFRBの代わりに通貨を発行できる条項も盛り込み、FRBに大きな圧力をかけた。大統領は物価を「危機前の水準に戻す」という、事実上の物価目標も示した。
これら一連の緩和策を受けて株価は上がり続けたが、7月に突如つるべ落としとなった。日本では株価急落の理由が「安倍政権の成長戦略への失望」と説明されたが、米国の場合はルーズベルト大統領が企業に賃金の2割引き上げを命じたのがきっかけ。実際この政策は、その後の米国の生産活動を大きく圧迫することになった。
 日本に目を転じれば、安倍政権も最低賃金の引き上げをめざしている。一般国民の目を意識せざるを得ない指導者がデフレ対策に取り組むとき、賃金底上げが魅力的な政策に映るのは古今東西で共通のようだ。ただ、その程度しだいでは市場にも景気にも水を差すとの教訓は導けるだろう。
 一方、80年前の米株価急落の理由を市場そのものの特性と当局の政策とのすれ違いに求める見方もある。ごく単純化すれば、常に新たな情報を必要とする市場の期待を当局が維持できなかったとの分析だ。
 代表的な論者は大恐慌の著名な研究者、ベントレー大学のスコット・サムナー教授だ。金融政策は、物価や雇用でなく名目国内総生産(GDP)を目安にして運営すべきだと最初に訴えた人物で、この案はFRB内でも真剣に議論されている。
 同教授は「マーケット・マネタリスト」と呼ばれる新たな学派の中心的存在。金融政策では、市場の期待に働き掛ける『合理的期待形成』を重視。同時に将来への期待は時差を置かず市場の動きに映し出される、との立場をとる。サムナー教授は取材に対し、市場への自身の洞察をこう説明する。
 「ある政策を打ち出すと期待の変化は、直ちに市場の価格に映し出される。日々の市場の水準は、そのまま将来への期待の反映だ。現在の市場価格は将来へ期待をすべて織り込んで形成されている。だから、相場が変動するには常に新たな情報が必要。いったん政策を打ち出せば、その効果で自動的に相場が上がり続けると考えるのは誤りだ」
 ルーズベルト大統領の就任を前に米株式相場が上がったのは、予想されるドル切り下げを織り込んだため。その後、実際の金本位制からの離脱や追加の金融緩和が決まる過程では期待が現実味を増した分だけ株価を押し上げたものの、やがて市場が対策の効果を反映し尽くした時点で相場は失速した、との解釈になる。
 ダウ平均の急落を受けてルーズベルト大統領は10月、次の手を打つ。大統領の権限で金を購入し金の公定価格を決める「金購入プログラム」の開始だ。
当時もまだ多くの国々は通貨の価値を金に結びつけていたので、金価格の引き上げは「ドルはまだ高すぎる」という米国の不満表明の手段になった。大統領は、商品価格の指標でもある金価格の引き上げを通じて物価押し上げへの意志を表明したいとも考えていたようだ。
 側近の日記などには、ルーズベルト大統領がベッドの中や朝食の席でその日の金相場を思いつきで決める様子が出てくる。ある日、ルーズベルトは金価格を1オンスあたり21セント引き上げるべきだと主張。側近が理由を問うと「7の3倍でラッキー・ナンバーだからだ」と答えたことは知られている。
 市場に手口を読まれないよう価格決定をあえて不規則にして、注目を集めようとしたとの見方もある。だが、ここでサムナー教授の指摘する市場のやっかいさは、いっそう鮮明になる。
 大統領は金を買う(ドルを切り下げる)か、買わない(何もしない)かの2通り。金を売ってドルを切り上げることはない。すると金を買わない日は、それが悪材料とみなされ金価格は下げる傾向が続いた。株式市場でも、それが悪材料をみなされた。つまり、市場は「大統領は金を買う」という期待を基準に実際の行動がどうだったかを判断するから、何もしないことは悪材料とみなされる。
 「便りがないのは良い便り」というが、こと市場に関しては「便りがないのは悪い便り」なのだ。サムナー教授は「政策をめぐる前向きなニュースが流れている間は相場の上昇が続くが、太鼓の音が鳴りやんだとたん下落に転じる」と指摘。これがルーズベルト大統領と同様、安倍首相・黒田東彦総裁のコンビが、まさに直面している問題でもあると話す。
 つまり異次元緩和を含むアベノミクスは、その内容が知れ渡り、想定される効果が市場で消化されたあとは、もはや相場を押し上げることはできない、というのが教授の見立てだ。
 だが、黒田総裁は「戦力の逐次投入はしない」と強調している。いわば太鼓を一度、どんと大きく鳴らしてその余韻で相場を押し上げる手法。これは戦略ミスなのか。同教授は「戦略ミスだったかもしれない」と言う。
 ――では、どうすればいいのか。
 「今後も何でもやる、という姿勢をより明確にし、行動で示す必要がある」
 ――日銀はもう国債の発行額の7割を買っていて、流動性不足が市場を不安定にしている。
 「株式や不動産関連の資産をもっと積極的に買うことも可能だ。為替レートに上限を定めたスイスのように、為替相場に狙いを定めた何らかの政策もありうる。国際的に容認されるかは微妙だが、個人的には円相場は過大評価されており正当性はあると思う」

 ――ほかには。
 「銀行が日銀に預け入れる資金にマイナス金利を課して企業などへの融資を促す仕組みも考えられる。それから名目GDPを目標に金融政策を運営すると宣言するのも有効だ。しかも毎年のGDP成長率でなく、水準を目標にして、ある年に目標を達成できなかった場合は、翌年に持ち越して目標を上積みする。金融緩和策を加速的に強める必要があるから効果は高く、市場の期待も押し上げる」
 同教授によるとルーズベルト大統領も緩和策を強めることで市場に対抗した。1934年の1月まで続いた金購入で、金価格は1オンス20ドル強から、35ドルまで切り上がった(71年のニクソン・ショックまで続くことになる価格だ)。マネー・サプライは年率1割近いペースで伸び、34年になると物価も大きく上昇を始めた。この動きをバーナンキ議長は理事時代の2002年に、「政策金利がゼロ付近でもいかに素早くデフレから脱却できるかの顕著な例だ」と評している。
 1934年夏、大統領は今度は、銀の購入による緩和策を開始。米景気は上向き始め、いったんは下げたダウ平均も同年半ばの91ドル台から37年半ばには175ドル超と倍近くに上昇する。
 この上昇相場が再び一気に崩れたのは高値を付けた直後だ。前年からFRB内で信用拡張やインフレへの懸念が強まり、銀行に準備預金の大幅な積み増しを求める金融引き締めに動いたのがきっかけだ。これが大恐慌からの本格的な回復を遅らせたとされている。
 異例の金融緩和が長く続くと、その副作用が心配になるのは今も昔も変わらない。だから、景気の足取りが確実になるまでは緩和策を維持する、との立場をバーナンキ議長も続けてきた。
 ただ、副作用が噴き出す臨界点がどこにあるのかは、それが実際に起きてからしか分からない。現在進行形での判断は困難を極める。これはデフレ解消にまだ時間がかかる日本より先に、緩和策の出口が視野に入った米国がまさに直面している問題だ。過去の教訓が存在したとしても、実際それを生かせるかは、まったく異次元の問題なのかもしれない。
                     米州総局編集委員 西村博之       2013/6/23 6:03   [有料会員限定]



2013年6月22日土曜日

FRB100年目の試練 FOMC 円安 株乱高下

NY特急便


米緩和縮小、FRBに「100年目の試練」
NQNニューヨーク・森安圭一郎

                                                                                 2013/6/22 9:26

 今年最悪の下落から一夜明けた21日、米株式市場はやや落ち着きを取り戻したようだ。ダウ工業株30種平均は3日ぶりに反発し、41ドル高で終えた。
 「砂ぼこりが収まった時、いるべき場所は株式市場だ」。有力ヘッジファンド創業者のデイビッド・テッパー氏のこんなコメントが伝わったことも相場を支えた。強気で鳴らすテッパー氏は、米連邦準備理事会(FRB)が量的緩和の縮小に動くのは「将来の景気回復を見込んだからこそ」であって、投資家は株式を買うのを恐れるべきでないと主張する。
 バンクオブアメリカ・メリルリンチのマイケル・ハートネット氏も「流動性縮小と景気拡大の組み合わせは株式にプラス」といい、債券などに比べた株式投資の優位を引き続き予想する。
 とはいえ、19日のバーナンキFRB議長の記者会見が市場に残した爪痕が大きかったのも事実。特に気になるのは長期金利の上昇が止まらない点だ。21日はついに1年10カ月ぶりに2.5%を突破。議長会見の前と比べた上昇幅は0.35%に達する。金利上昇(国債価格の下落)はゆっくり進むのであれば「債券から株へ」の健全な資金移動の証しになるが、ペースが速すぎるとマネー全体の流れに変調を招いてしまう。
 市場関係者の間では、米金利上昇をきっかけとした新興国からの資金流出が、メキシコ通貨危機に飛び火した1994年の状況に似てきたとの声も出ている。平静を回復したように見える21日の株式市場でも、金利上昇に弱い住宅株には売りが止まらず、神経質なムードが続く。
 量的緩和の「補助輪」を外すそぶりをみせただけで動揺する気難しい市場。間合いを計り間違えれば立ち直りつつある米景気の腰すら折りかねない。前例のない大規模緩和の修正を、市場にショックを与えずにやり遂げるという重大な試練がFRBを待ち構える。
 FRBが発足したのはちょうど100年前の1913年12月。米国にはそれまで中央銀行がなく、各地の銀行がそれぞれ貨幣を発行していた。だが1907年の金融危機で取り付け騒ぎが連鎖した反省から米議会が動き、流動性供給の中枢機関としてFRBを創設した経緯がある。
 危機への対処と、その「出口」との対峙(たいじ)はFRBという組織が持って生まれた宿命といえる。
 FRBには忘れられないトラウマがある。第1次大戦中、政府の戦費調達に協力して金利を低く抑えたため1920年代にインフレとバブルを引き起こした。30年代には逆に不用意な金融引き締めに転じ、大恐慌を悪化させた。
 FRBに加わる前、学者としてこの時代の政策対応を検証・批判してきたのがほかならぬバーナンキ氏だ。評価される側に回ったいま、歴史の教訓を生かせるかどうかが問われている。

株式FOCUS
FOMC受け株連鎖安、調整いつまで続く プロの見方

 
米国の量的金融緩和の縮小懸念が世界の株式市場を揺さぶり、連鎖安を引き起こしている。前日の米株式市場でダウ工業株30種平均が今年最大の下げ幅となった流れを受け、21日の東京市場では日経平均株価の下げ幅が一時300円を超えた。午後に入り急速に下げ渋る場面もあったが、資金流出に対する警戒感は根強い。調整局面はいつまで続くのか。市場関係者に見方を聞いた。


 
「日本株の調整は一巡、米株落ち着けば下値切り上げも」


りそな銀行チーフストラテジスト 下出衛氏

 FRBのバーナンキ議長が量的緩和縮小を表明し、世界的な金融相場が一巡した。海外投資家を中心とした持ち高調整の売りが日経平均を押し下げているようだ。ただ、日米の金融政策の姿勢に差が出たことで、為替相場は円安に振れやすい環境下にある。足元でも円相場の上昇は一服しており、買い戻しが入る一因になっている。日本株の調整はおおむね済んだとみており、今晩以降の米株式相場が落ち着きを取り戻せば、日本株は下値を切り上げていく展開が見込めるだろう。

 FRBによる年内の量的金融緩和縮小は市場予想通りだったが、バーナンキ議長が来年半ばに終了する可能性を示唆したことは驚きだった。ただ、緩和を縮小する背景には米経済の回復があり、ファンダメンタルズ(経済の基礎的条件)からみれば日本株の支えになる。

 日経平均は売られすぎた分の買い戻しなどで、7月には1万4000円を回復できるだろう。一段と上値を追うには、海外景気はもちろんだが、国内の政策も注視したい。金融、財政、成長戦略と、次々と施策を打った安倍政権だが、今後は規制緩和や財政健全化など「第4の矢」が放たれることが大事だ。そのためには夏の参院選で、自民党が勝利し安定政権を築けるのか見極める必要がある。

 前哨戦である23日投開票の東京都議選の結果次第では、その期待が前倒しで高まる可能性がある。政府が切れ目無く対策を打ち続ければ、国内景気の回復や円安による企業業績の改善なども重なり、年末にかけて1万5000円程度を目指す展開になる。15年度の景気回復の持続性に確信が持てれば、さらに上振れる可能性もあるだろう。
「下値メド1万2500円、9月まで上値重い展開続く」


SMBC日興証券チーフ株式ストラテジスト 阪上亮太氏

 日経平均が大きく下げた背景は米連邦公開市場委員会(FOMC)後の記者会見でバーナンキ米連邦準備理事会(FRB)議長が量的緩和縮小の時期を明示したためだ。運用リスクを取りにくくなるとして、資金を引き揚げる動きが加速した。米景気の回復を前提とした緩和縮小であり「円安で株高になる」という見方も一部にはあったが、そうならなかったのは「リスク・オフ」の勢いが強かったためだろう。

 短期的な米景気の減速懸念や、新興国からの資金流出による世界景気の先行き不透明感といったものも、株安の要因とみている。加えて中国の金融市場での短期金利の急騰が下げに拍車を掛けたようだ。中国での短期金利の上昇は、資金繰りに行き詰まる金融機関が出て信用不安が高まって景気を冷やす「金融危機」の可能性もはらんでおり注意が必要だ。

 こうした外部環境のなか、日本株は引き続き乱高下する展開になりやすい。ただ、日銀の大胆な金融緩和策を手掛かりに大幅上昇した後すでに調整が始まっており、下値は限られるとみている。日経平均は、当面は1万2500円が下値の目安となりそうだ。日銀の緩和前の水準であるほか、予想PER(株価収益率)でみても世界と比べ割安感が出るためだ。いまの円安水準であれば輸出企業の業績上振れも期待できる。日本株には押し目での買いが入りやすく、1万4000円程度までは上昇余地がある。

 上値を追うには、イベントが集中する9月まで待つ必要がある。FRBが実際に9月に量的緩和を縮小するとなれば、経済指標が一段と改善しているのではないか。景気を下押ししていた財政問題の影響も徐々に和らいでくるだろう。日本では、夏の参院選で自民党が勝利すれば、追加の補正予算や金融緩和、成長戦略の第2弾などへの期待も高まる。2020年の夏季五輪の東京開催が決まれば、景気回復を後押しするとみている。こうした好材料が相次ぐならば、年内に1万6000円台を回復するシナリオも現実味が増すだろう。
                                         
2013/6/21 11:34 (2013/6/21 12:55更新)    [有料会員限定]
                                       (聞き手は酒井隆介)
 
株乱高下「円先安観が支え」「落ち着きには時間」市場関係者に聞く
 21日の東京株式市場で日経平均株価 が乱高下した。前日の米国株急落を受けて売りが先行したが、その後は次第に買いが優勢になった。日経平均は結局、前日比215円高の1万3230円で終えた。日中の高値と安値の差は627円となり、13日以来の大きさだった。株価が乱高下した背景や今後の相場見通しを市場関係者に聞いた。
■窪田朋一郎・松井証券シニアマーケットアナリスト
 朝方に先行した売りに、個人投資家などは追随しなかった。相場の底堅さを受けて、後場に入ってからは一転、買い戻しが活発になったようだ。ファストリなど日経平均株価 への寄与度 の高い銘柄が指数を押し上げた。日経平均は5月末の急落でいち早く調整し、米国株などと比べて売りが出にくくなっているうえ、個人投資家は買い越し基調を続けている。
 米国では量的金融緩和 の早期縮小懸念を株価が織り込んでいく状況とみている。一方、日本は「異次元緩和」が始まったばかりだ。投資家がリスク回避姿勢を強め、新興国から投資資金を引き揚げるなかでも、日銀の異次元緩和が買い安心感につながる日本株は買われる展開が続くだろう。円安の進行も追い風だ。値幅の大きい展開には注意が必要だが、日経平均は1万2500円近辺で下値を固める公算が大きい。
■野崎始・三菱UFJ投信チーフファンドマネジャー
 21日の日経平均株価は荒い値動きとなり、結局215円高で取引を終えた。米量的緩和政策の縮小時期が近づいてきたことは米金利上昇によるドル高・円安につながり、中期的には日本株にプラスだと考えている。きょうの後場の上げも円安期待を背景に日本株の先高観を強めた投資家の買いだと見ている。
 もっとも、グローバルな流動性供給につながった米量的緩和の規模縮小が現実味を帯びたことで、世界の金融市場は動揺している。落ち着きを取り戻すまでは時間がかかるだろう。今後1カ月の日経平均は1万3000円前後で方向感のない値動きに終始しそうだ。
 日経平均は13日に1万2445円を付け、5月23日からの下げ基調は一服したと見ている。高値から3000円超下げ、値幅調整は一巡した。再び上昇基調に戻るには日柄調整が必要だ。
 経験則的には日柄調整には1~2カ月かかると見ている。5月23日から約2カ月後の7月21日には参院選の投開票が控える。参院選の結果でファンダメンタル(経済の基礎的条件)や政策期待が変わるわけではないが、参院選を通過したことが日経平均の再上昇の契機になる可能性はある。
■藤代宏一・第一生命経済研究所副主任エコノミスト
 朝方は前日の米国株急落を受けて売りが膨らんだが、買いが次第に優勢になった。買いの背景は中長期的な円相場の先安観だ。このところ、円相場は企業の想定レートの平均的水準である95円前後で推移していたが、徐々に円安方向に戻ってきている。足元で低下した企業業績の上振れ期待が再度高まってきたことが日本株の支えとなっている。
 18~19日の米連邦公開市場委員会 (FOMC)前までは、米量的緩和の早期縮小による世界的な緩和マネーの巻き戻し懸念の一環で、円売りポジションの解消が進んだ。バーナンキ米連邦準備理事会(FRB )議長が年内の縮小開始の方向性を示したことで不透明感が和らいだため、外国為替市場ではリスク回避を背景とした円売りポジションの巻き戻しは起こりづらくなった。むしろ、日米の金利差拡大をにらんだドル買い・円売りが進むとの見方が強まっている。
 円安を背景にした日本株の上昇基調は崩れておらず、日経平均株価の年内の上値メドとしては1万7000円前後とみている。
〔日経QUICKニュース(NQN)尾崎也弥、矢内純一、椎名遥香〕         
                                                       2013/6/21 16:00[有料会員限定]
 
株式FOCUS
米緩和縮小で動き出す「円安・株高」第2幕
 
20日午前の東京市場で日経平均株価 は反落し、長期金利 も一時上昇(債券相場は下落)した。19日(日本時間20日未明)に米連邦準備理事会(FRB )のバーナンキ議長が記者会見で「年内に証券購入のペースを緩やかにするのが適切と考えている。2014年半ばには証券購入を終了させたい」と表明。量的緩和の縮小時期が市場の想定より早いとの見方から、米国株と米国債 がともに売られた流れを受け継いだ。だが市場関係者は米景気拡大を反映してドルが買われ、海外市場で一時1ドル=97円台まで円安が加速したことに注目。米国の出口戦略の本格始動がドル高・円安を通じて、日本株の上昇につながる可能性を意識しつつある。

19日、ワシントンで記者会見するFRBのバーナンキ議長=ゲッティ・共同
画像の拡大
19日、ワシントンで記者会見するFRBのバーナンキ議長=ゲッティ・共同
 FRBは19日まで開いた米連邦公開市場委員会 (FOMC)で事実上のゼロ金利政策 の維持を決定した。その後のバーナンキ議長の量的緩和縮小に関する発言を受け、ダウ工業株30種平均株価 は前日比206ドル(1.3%)下落し、米10年物国債利回り は前日比0.17%高い2.35%に上昇した。20日の東京マーケットも株安・債券安で始まったが、市場関係者の間では「資産購入の終了時期にまで踏み込んだバーナンキ議長の発言は事前の市場予想に比べタカ派的で、米国株・米国債が売られた。出口戦略に取り組んでいる米国の実体経済は強く、今後は円安・株高の基調が強まる」(SMBC日興証券の宮前耕也エコノミスト)との見方が広がっている。

 市場の方向感を分けているのは、米量的緩和の縮小を世界的な流動性相場の終わりとみるか、米経済の改善による本格的な業績相場 の始まりと捉えるかの違いだ。この点について、野村証券の伊藤高志エクイティ・マーケット・ストラテジストは「量的緩和の出口を明確に意識している米国と、アベノミクスを進めている日本では景気の状況が異なり、日米株は必ずしも連動しない。米国の景況感の強さを反映したドル高は、ドイツや韓国などによる円安批判を引き起こす余地がなく、日本株にとってプラスだ」と指摘する。
 アベノミクスの大胆な金融緩和と黒田東彦日銀総裁が打ち出した量的・質的金融緩和を手掛かりに、日経平均は5月22日に1万5627円の年初来高値を付けた。しかし代表的な投資指標である予想PER (株価収益率)は同日終値時点で17.77倍(東証1部)と、やや割高感が指摘される水準に上昇していた。その後の相場調整によって、6月19日終値時点では15.41倍に低下。米国株と同じ15倍台となり、世界的にみて日本株の割高感は解消されている。

 日経平均は5月29日に5日移動平均線 が25日移動平均線を上から下に突き抜ける「ミニ・デッドクロス」を形成したが、ここにきて5日移動平均線の上昇転換によって両者は再び接近しており、相場の調整には一巡感が出ている。さらに7月に入ると14年3月期第1四半期(13年4~6月期)の決算発表が始まる。期初時点の業績予想が慎重だったこともあり、四半期決算 発表と同時に、通期業績予想を上方修正する企業が相次ぐ可能性がある。予想1株利益の上方修正に伴い、株価の水準訂正も進むだろう。
 大和証券の藤倉敬グローバル・エクイティ・トレーディング部長は「企業業績がよくなることは大事。海外でも日本株に詳しいファンドは上方修正があっても織り込み済みと受け止めるが、他の多くの投資家は修正内容を確認して買いを入れる」という。
 第1四半期決算発表の7~8月、現状のドル高・円安基調が続けば4~9月期決算が開示される10~11月には、通期業績予想の上方修正が増える。12年11月以降の急騰局面で買い遅れていた内外の機関投資家が、企業業績の改善を確認して日本株に買いを入れる。13年の年末終値が1万395円を上回れば、日本株は2年連続の上昇となる。2年連続で上昇した市場には14年以降、一段の資金流入増も予想される。
 米国の量的緩和縮小がもたらすドル高経由の好環境を日本株が享受するのはこれからだ。「円安・株高」を背景に躍進するアベノミクス相場の第2幕が始まりつつある。
(電子報道部 小林茂)      2013/6/20 12:00    [有料会員限定]






 

 


2013年6月21日金曜日

日銀当座預金、83兆円

日銀当座預金、83兆円に 過去最高 インフレ期待なお弱く

金融機関が日銀に預ける当座預金残高が20日、83兆円を超え、過去最高を更新した。日銀が4月に導入した量的・質的金融緩和前と比べ、ほぼ2倍になった。日銀は金融市場に大量の資金を供給してデフレ脱却を目指すが、市場の期待インフレ率は低下しており、乗り越えるべきハードルは依然残っている。
画像の拡大

 20日の当預残高は速報ベースで前日比7兆3700億円増の83兆3400億円になった。国債の償還や、日銀が金融機関の融資増加分に対して低利資金を供給する新たな資金供給制度の影響で残高が膨らんだ。
 日銀は今後2年間でマネタリーベース(資金供給量)を2倍に増やす目標を掲げている。その主要な手段になるのが、金融機関が保有する国債を大量購入し、金融市場に資金を流し込むことだ。日銀は当預残高が2013年末に107兆円、14年末には175兆円まで増えると見込んでおり、緩和規模を着々と拡大させている。
 これに対し、物価連動国債の利回りから算出する期待インフレ率は5月に入ってから低下基調をたどる。日銀の岩田規久男副総裁は3月の就任前の講演で「当座預金が10%増えると予想インフレ率は0.44%上昇する」と語ったが、必ずしも想定通りにインフレ期待は高まっていない。
 市場では「当預残高が積み上がることの効果は乏しく、金融機関の融資増加などがカギになる」(東短リサーチの加藤出チーフエコノミスト)との指摘も出ている。