2013年12月14日土曜日

円高5年で終息へ 100円台定着

 円高5年で終息へ 米緩和縮小にらみ100円台定着
                                              2013/12/14 2:33


 2008年9月のリーマン・ショック後に進んだ円高局面の終息が近づいてきた。円は13日の東京市場で5年2カ月ぶりの安値となる1ドル=104円目前まで下落。日経平均株価も4日ぶりに反発した。米量的緩和縮小をにらみ、市場では来年も円安基調が続くとの見方が大勢。輸出増の経済効果が拡大しそうだが、輸入に頼る原材料高などの副作用も膨らんでいる。


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 13日の東京市場では、5月22日につけた年初来安値(103円74銭)を更新し、一時103円92銭まで下落した。前日発表の米個人消費統計が好調で、米景気が堅調との見方からドル買いの流れが強まった。東京市場で円相場が100円超にとどまるのは13日で17営業日連続。リーマン・ショック後で最長だった今年5月~6月に並んだ。

 円は主要通貨に対して全面的に値下がりする「独歩安」の様相を強めている。ユーロ、英ポンド、韓国ウォンに対しても08年10月以来、5年2カ月ぶりの安値圏。スイスフランでは23年ぶりの安値圏で推移している。

 円相場は金融危機後に上昇が加速。11年秋には最高値となる1ドル=75円32銭をつけ、価格競争力が低下した日本の電機・自動車産業は苦境に陥った。「5年を経てようやく円相場の正常化が見えてきた」。仏ソシエテ・ジェネラルのグローバルチーフエコノミスト、ミカーラ・マークセン氏はこう語る。

 1ドル=100円台の円相場が定着している背景には、日米欧の金融緩和姿勢の差がある。米国では米連邦準備理事会(FRB)が量的緩和の縮小を始めるとの見方が強まっている。一方、日銀は来春にも2%の物価上昇率目標の達成に向け追加緩和に踏み切るとの観測がくすぶる。日米の金利差が拡大方向となり円売りを誘っている。



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 物価低迷が深刻なユーロ圏でも欧州中央銀行(ECB)の追加緩和観測が浮かぶ。だが、ECBの11月の資金供給量は前年同月比約27%減。日米欧3中銀のなかで日銀の緩和姿勢が一番強いとの相場観が定着している。

 円安が急進展した今年春先、「日本は円安誘導で通貨安競争を誘発している」といった批判が出た。だが構造的な円安要因となる貿易赤字が一本調子で増えており、「円安誘導の批判は出にくい」(メリルリンチ日本証券の吉川雅幸チーフエコノミスト)状況だ。

 円安と株高の連鎖は続いている。日経平均株価は13日、4日ぶりに反発した。終値は前日比61円29銭高の1万5403円11銭。マツダが08年9月以来の高値を付けるなど、円安が企業業績を押し上げるとの期待から輸出株が買われた。

 この日は、韓国や中国、インドなどアジアの主要株が下落するなか、日経平均の上昇が目立った。米国の金融緩和縮小は世界の株式市場からのマネー流出につながりかねないが、日本株はドル高・円安が企業業績を押し上げるため、相対的に資金が向かいやすい。

 外為市場では14年も円安基調が続くとの見方が大勢だ。主要な金融機関に14年末の円・ドル相場の見通しを聞いたところ最も円安を見込むドイツ銀行は1ドル=115円。一方、最も円安進行に慎重なみずほ銀行やJPモルガン・チェース銀行でも104円と現行の円安水準が続くとみている。





 

2013年11月3日日曜日

物価上昇見通し、「2年で2%」維持 日銀リポート

2013/10/31 20:53
 
 日銀は31日開いた金融政策決定会合で、新しい経済・物価見通しをまとめ、4月に打ち出した「2年程度で2%」に達するとの物価上昇シナリオを維持した。黒田東彦総裁は会合後の記者会見でシナリオ達成へ「道筋を順調にたどっている」と述べ、政策運営への自信を強調。ただ2人の政策委員が達成は困難だと反対意見を表明するなど、日銀内の足並みの乱れも残す結果となった。
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 決定会合では、半年に1度公表する「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」をまとめた。2015年度の消費者物価上昇率(生鮮食品と消費税率引き上げの影響を除く)見通しは4月リポートで示した1.9%を今回も維持。民間エコノミストの予測平均(0.9%)との差はなお大きく開いたままだ。
 黒田総裁は記者会見で4月に導入した大規模な金融緩和の効果について「実体経済や金融市場、人々のマインド(心理)や期待など好転の動きが幅広く見られている」と強調。「15年度の真ん中か前半」には物価上昇率が目標の2%に達するとの見方を示した。
 安定的な物価上昇へカギを握るとして、日銀が重視する賃金も「企業収益の拡大、労働市場の引き締まり、政労使協議などにより上昇が見込まれる」と期待を表明。日銀予想よりも遅れている海外経済も「次第に持ち直していく」と強気な見立てを披露した。
 来年4月の消費税率の引き上げによる景気腰折れリスクは、政府の経済対策によって「緩和されている」と分析。仮に2%の物価目標の達成が困難な事態が生じれば「必要な調整は行っていく」との従来方針を改めて説明し、追加緩和も除外しない考えを示した。
 ただ会合では、木内登英、佐藤健裕、白井さゆりの3政策委員が展望リポートに反対。このうち木内、佐藤の両委員は4月に引き続き「(15年度までの)見通し期間の後半にかけて、2%に達する可能性が高い」との表現に反対。改めて「2年で2%」は達成困難だと異論をはさんだ。
 白井委員はより下振れリスクを意識した記述に変更するよう提案。全9人の政策委員の15年度物価予測の内訳をみると0.7~2.2%にばらついた。なお少なくとも2人が15年度も1%に届かないとの見通しだ。
 展望リポートでは、9人の政策委員の意見を集約し、15年度までの実質経済成長率と消費者物価上昇率の見通しを公表。7月の「中間評価」で示した直近の景気・物価見通しから「おおむね不変」だと結論づけた。
 物価見通しは13年度のみを小幅修正し、7月のプラス0.6%から同0.7%へ引き上げた。成長率は外需回復の遅れから13年度は7月の2.8%から2.7%へやや引き下げ。一方、14年度は政府の経済対策の効果を織り込み、7月の1.3%から1.5%へ小幅に引き上げた。




2013年8月21日水曜日

景気の山は12年4月 5月から後退局面

景気「山」は12年4月、拡大局面37カ月 政府判定 
                                      2013/8/21 12:02 (2013/8/21 13:20更新)

 内閣府は21日、有識者で構成する景気動向指数研究会(座長・吉川洋東大教授)を開き、景気の拡大局面から後退局面への転換点を表す景気の「山」を2012年4月と判定した。09年4月から始まった景気拡大局面の期間は37カ月と、戦後6番目の長さとなる。
 今回の回復局面は、08年秋のリーマン・ショック後の急回復期にあたり、内閣府は「テンポは急速だった」との見方を示した。
 判定には景気動向指数のうち景気の現状を示す一致指数を構成する11の経済指標から不規則な動きを取り除き、過去にさかのぼって再構成した「ヒストリカルDI」を活用する。同DIは12年5月以降、判断の分かれ目となる50%を下回っている。そのため景気動向指数研究会の委員7人は、景気の「山」を暫定的に昨年4月に認定することで一致した。
 今回の「山」認定はあくまで暫定で、正式な認定はデータが出そろった時点で、景気後退が底入れする「谷」の時期も含めて認定する。委員の1人からは「『谷』は昨年11月となる可能性があり、その後は上り坂になっている」との声も出た。座長を務める吉川教授は、今回の議論の対象ではなかったとしながら、「仮に11月を『谷』とすると、非常に短い景気後退だったということになる」と語った。

景気 去年5月から後退局面

                                                                            8月21日 13時57分
 
内閣府は21日、景気の状況などを検証する有識者の研究会を開き、4年前から始まった景気の回復局面は去年の4月でいったん終わり、5月からは後退局面に入っていたとの判断を示しました。
21日の有識者の研究会では、4年前の平成21年4月から始まった景気の回復局面について、いつ回復の動きが止まったかなどについて検証しました。
そして生産や雇用、消費などの経済指標を基に検討した結果、去年4月に回復局面はいったん終わり、5月からはヨーロッパの信用不安などを背景に輸出が落ち込むなどして、景気の後退局面に入ったとしました。
また、おととし3月に発生した東日本大震災は、一時的に生産が落ち込むなど影響を与えたものの、日本全体としては景気回復は続いていたと判断しました。
これによって、今回の景気回復の期間は3年1か月と、平均的とされるおよそ3年とほぼ同じになりました。
研究会の座長の吉川洋東京大学大学院教授は「GDP=国内総生産の伸び率などを見ると、去年の暮れごろからは消費がリードする形で再び景気は回復してきていると考えられる」と述べました。

2013年8月15日木曜日

2013年平成25年ノンデフレ8月の月例報告

「デフレ状況でなくなりつつある」 8月の月例報告
景気の総括判断は据え置き

2013/8/15 10:54


 政府は15日公表した8月の月例経済報告で、物価の基調判断を「デフレ状況ではなくなりつつある」とし、7月よりも脱デフレの動きが進んでいるとの認識を示した。エネルギーを除く消費者物価指数(CPI)が前月比で横ばい圏で推移するようになり、物価の持続的な下落が止まりつつあると分析した。一方、景気の基調を表す総括判断は前月から据え置いた。

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 甘利明経済財政・再生相が同日の関係閣僚会議に提出した。前月の月例報告は「デフレ状況は緩和しつつある」としていたが、生鮮食品を除くCPIは6月に前年同月比で1年2カ月ぶりに上昇した。

 内閣府はエネルギー価格上昇などの影響を差し引いた指数を独自に算出。同指数が前月比で5カ月連続横ばい圏となっており、物価の基調判断を「デフレ状況ではなくなりつつある」に修正した。

 ただ、政府が目指すデフレ脱却への道筋はまだ不透明だ。食料やエネルギーを除いたベース(コアコア)のCPIは、前年同月比で見ると0.2%下落している。

 足元の物価上昇は電気代やガソリン代などのエネルギー価格や、円安を起点とした輸入物価の上昇がけん引した。物価上昇が消費を冷やす面もあり、内閣府は脱デフレから脱却したと判断すには「再びデフレ状況に戻らないか見極める必要がある」としている。

 政府は2001年3月に戦後初めてデフレと認定したが、02年以降に景気回復局面に入り06年7月に月例報告からデフレの文言を削除した。しかし、08年のリーマン・ショック後に、国内経済が落ち込んで物価の下落が目立つようになったことから、09年11月の月例報告で再び「緩やかなデフレ状況にある」と認定した。その後は物価の判断にデフレという表現を使い続けている。

 景気の基調判断については「着実に持ち直しており、自律的回復に向けた動きもみられる」との判断を据え置いた。雇用については「改善している」とし「厳しさが残る」との表現を外したものの、生産や設備投資、消費など景気の基調を見極める項目は前月から変更がなかったためだ。

 先行きについても「景気回復へ向かうことが期待される」との表現を踏襲した。今後の焦点は収益改善が進んできた企業が、設備投資をどこまで増やすかだ。4~6月期国内総生産(GDP)速報値では企業の設備投資は0.1%減と6四半期連続のマイナスとなった。中国など海外経済の下振れも、景気を下押しするリスクになる。

 政府は秋までの各種経済統計を基に、来年4月に消費税率を引き上げるか判断する。増税をにらんだ駆け込み需要もあって足元の景気は回復基調だが、来年の消費税引き上げ以降は、一時的に景気が冷え込む懸念がある。物価の緩やかな上昇が景気の回復と連動しなければ「脱デフレ宣言」には踏み込みにくい情勢だ。
 

8月月例報告、7月からの主な変更点
                      2013/8/15 10:40

 
 8月の月例経済報告は国内景気の総括判断を据え置いた。基調判断の内訳を見ると、輸出(「持ち直しの動きがみられる」)や個人消費(「持ち直している」)、設備投資(「おおむね下げ止まっており、一部に持ち直しの動きもみられる」)などの項目を維持している。一方で物価関連で表現を変えた点が目を引く。雇用情勢は2カ月ぶりに上方修正した。
 今回の総括判断と主な変更項目は以下のとおり。カッコ内が7月の判断。

【国内景気】
◎総括判断〔→〕据え置き
 着実に持ち直しており、自律的回復に向けた動きもみられる。
(同上)
・物価の動向
 総合してみると、デフレ状況ではなくなりつつある。
(総合してみると、デフレ状況は緩和しつつある)

◎先行き
 輸出が持ち直し、各種政策の効果が発現するなかで、企業収益の改善が家計所得や投資の増加につながり、景気回復へ向かうことが期待される。ただし、海外景気の下振れが、引き続き我が国の景気を下押しするリスクとなっている
(同上)

◎貿易・サービス収支 2カ月連続の表現変更
 赤字は、減少傾向となっている
(赤字は、減少している)

◎雇用情勢〔↑〕2カ月ぶり上方修正
 改善している
(厳しさが残るものの、改善している)

◎消費者物価 2カ月連続の表現変更
 このところエネルギーを中心に上昇しており、それを除いた基調としては横ばいとなっている
(このところ横ばいとなっている)
                                     〔日経QUICKニュース(NQN)〕

2013年7月26日金曜日

そろり始まる円安劇場第2幕

2013/7/26 6:00

アベノミクスに背を押された急激な円安・ドル高が、1ドル=100円でぱたりと足を止めた。金融緩和、財政出動、成長戦略の「3本の矢」を打ち尽くし、円安を噴かすエンジンが見当たらない。100円の節目達成で円安は終わるのか。市場の戸惑いをよそに、円安劇場第2幕が静かに始まろうとしている。


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80円から100円へと瞬く間に駆け抜けた円安を体感した人は、少し拍子抜けするかもしれない。アベノミクスや日銀の異次元緩和、米量的緩和の出口戦略といった刺激的な材料なき円安は、極めて緩やかなものになる可能性が高いからだ。第2幕を先導するのは、需給や金利差といった古典的な相場材料だ。


 「迷ったら、原点に返れ」。寄せては返す為替相場の荒波を乗り越えてきたベテランの為替ディーラーたちが胸に刻んだ教訓でもある。

■赤字が減らない仕掛け

 7月24日。2013年上期の貿易統計が発表になった。4兆8438億円の過去最大の赤字。景気回復で輸出が増えても、原子力発電所の稼働停止で膨らむ燃料輸入を補えない。赤字が減らない理由は決済通貨にある。

 輸入に占める外貨の割合は約8割。燃料はドル建てで取引され、輸入企業は円を売ってドルを調達しておかなければならない。一方、輸出に占める外貨は6割強にとどまる。長引く円高時代に海外分業を迫られた輸出企業は関連会社や取引会社と円建ての取引を増やした。結果として、本来は円安で起こるはずの価格調整機能が働かず、赤字がいっこうに縮まらない。
野村証券の池田雄之輔チーフ為替ストラテジストはこう指摘する。「エジプトの政情不安が再び原油価格を押し上げている。貿易赤字が円安を支える土台になる構図は当面変わりそうにない」。リーマン・ショックを乗り越えた世界経済の復調気配も、一段の原油高を期待する投資家への思惑を誘う。需給が放つシグナルは完全に円安方向を指している。
 金利差はどうか。答えは単純明快だ。  
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■発言より金利差に関心
 5月22日に米量的緩和第3弾(QE3)の出口論に踏み込み、急激な円高・ドル安の巻き戻しを招いた米連邦準備理事会(FRB)のバーナンキ議長。米緩和縮小の開始時期は年末なのか、それとも6月に前倒しされるのか――。それ以降、議長の発言は市場の熱心な注目を浴び、ヘッジファンドが言葉尻をとらえて大規模な円買いや円売りを繰り返す展開が続いてきた。
 だが、こうした混乱も次第に収束しつつある。市場は「結局のところ、緩和縮小の時期は雇用統計の内容次第で変わる」ということに気づき、FRBが緩和縮小の基準として示す毎月の失業率の動向を冷静に見極める姿勢に変わり始めた。
 ヘッジファンドの思惑による売買が剥がれれば、最後に残るのは「いずれFRBは緩和縮小に動く」という事実だけ。これに対し、日銀は4月の異次元緩和導入時に「マネタリーベースを今後2年間で2倍に増やす」と宣言している。目指しているのは、FRBの正反対の政策運営、つまり緩和拡大だ。

日米の金利差は既に拡大に向かっている。需給要因に加え、金利差要因もまた、FRBの緩和縮小が本格化する来年にかけて円安方向へとなびく。


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為替相場は様々な要因や思惑が複雑に絡み合い、方向感を見極めるのが難しい。だが裏を返せば、大きな相場材料が見当たらない時期は、需給や金利差といった実体経済のファンダメンタルズ(基礎的条件)に左右されやすくなる。為替ディーラーたちが取引に迷った時に「原点に返る」とは、そういうことだ。


 世界経済を見渡せば、日米が復調に向かい、ユーロ圏も最悪期をようやく脱しつつある。波乱材料がなく、需給や金利差を映す円安は、統計や金利の数値が急変動しない分、緩やかな動きになりやすい。

 アベノミクスをテーマにした激動の円安劇場第1幕では、円相場が半年間で20円も急落するという乱高下が繰り広げられた。

 これから新たに始まる第2幕は、がらり場面が一転。相場全体に安堵感が漂う静かな展開になりそうだ。強いて言えば、1年から1年半をかけて5~10円の緩やかな円安が進むといったイメージか。最近のはやりに名を借りれば、「ゆるキャラ」ならぬ「ゆる円安」が始まる可能性が高い。

 ただ市場から波乱要因が完全に消えうせたわけではない。なだらかな舞台に大きな落とし穴がしつらえてあるとすれば、景気減速傾向が次第に鮮明になってきた中国を含む新興国経済の行方だ。

1990年代後半の世界市場の大混乱を覚えているだろうか。きっかけは、米国が過剰に膨らんだ経常赤字を補うため、世界の投資マネーをウォール街に呼び込もうと打ち出した「強いドル」政策だった。
 当時、自国通貨をドルに連動(ドルペッグ)させていたアジアの新興国は、ドル高に伴う自国通貨高に輸出産業などが即応できなかった。ヘッジファンドによるアジア通貨への激しい売り浴びせもあり、タイやマレーシアなどアジア各国は相次いでドルペッグから離脱。変動相場制への移行を余儀なくされ、通貨の急落を招いた。その余波はアジアへの輸出依存を強めつつあった日本にも悪影響を及ぼし、その後の未曽有の金融危機の一因にもなったという指摘もある。

■G7主導で市場監視を

 通貨危機の苦い教訓もあり、アジアの新興国は現在、ドルペッグをほとんど採用していない。このためFRBの緩和縮小によるドル高がアジア市場にどの程度の悪影響を及ぼすかは未知数だ。

 ただ5月22日の「バーナンキ・ショック」では、実際に緩和縮小を始めたわけでもないのに、新興国市場に流入していた緩和マネーが逆流し、インドルピーが対ドルで過去最安値を更新するといった混乱を引き起こした。しかも世界市場の一体化が進む現在では、新興国市場の混乱はアジアに限らず、中南米や東南欧の諸国にも瞬く間に連鎖するようになっている。

 2008年秋のリーマン・ショック以降、世界経済のかじ取り役は先進国によるG7に代わり、先進国に新興国を加えたG20が担うようになった。だが世界経済のけん引役はリーマン・ショック後の新興国主導から、再び先進国主導に変わりつつある。

 まもなくリーマン・ショックから5年。「先進国vs新興国」の利害対立で有効な対策を打ち出しきれないG20に代わり、復調したG7が世界市場の安定に指導力を発揮する。それこそが日本の望む緩やかな円安を担保する近道のように思える。




2013年7月8日月曜日

風俗と慰安婦と米兵問題 橋下氏発言の報道

風俗と慰安婦とアメリカ兵の問題 橋下発言と、その報道に思うこと

       (ダイヤモンドオンライン 2013年05月31日掲載) 2013年5月31日(金)配信

橋下徹大阪市長兼維新の会共同代表が、在日米軍司令官に風俗の活用を奨めた発言を撤回し、謝罪した。徹さんの発言が一回転するから撤回なのかはさておき、撤回に至るまでの経緯は多くのメディアが報じているから措いておくにしても、だ。

 橋下さんが言いたかったのは、アメリカ兵による犯罪……、とりわけ多発する性犯罪を何とかできんのかお前らは、ということだったはずなのだが、この問題が報じられて以降、論点はどんどん違う方向へ逸れていった。

 戦場で生命を賭す兵士たちの極限の緊張状態を和らげるために、との主旨で風俗と慰安婦の話を持ち出したのだが、弁護士資格を持つ論者が用いたレトリックとしては稚拙だった感は否めないにしても、だ。

 橋下さんの真意を問い、なおかつ、アメリカ兵が犯す犯罪の実態はどうなのかを取り上げるメディアはなかった。橋下さんを擁護しろとまでは私も言わないが、橋下発言の背景に言及し、橋下さんが何故あのような要請をしたのかに触れるメディアがあってもいいはずだった。

 横須賀基地のある神奈川県だけで、この一年に性犯罪や家宅侵入、暴行、傷害罪で逮捕されたアメリカ兵は二〇人をくだらないんだぞ。不祥事の総合商社と言われる神奈川県警だって道を譲るくらい問題を起こしているんだぞ、アメリカ兵は。

 つい一昨日も、横須賀で女子中学生のスカートの中を盗撮しようとしていたアメリカ兵が捕まったんだぞ。逮捕したのは神奈川県警だけど。
相模原署内の交番では、相談に来た女性にわいせつ行為を働いた巡査もいたけど。

 橋下批判が噴出する中で、先週は長崎県佐世保市でアメリカ兵による強姦事件が発生した。こういう大事な問題を放っておいて、メディアの論点は従軍慰安婦問題一色だった。いまもなお、その傾向は変わらない。

 発端は橋本市長の発言には違いないが、風俗の話が従軍慰安婦に飛んで、歴史観の話になり、村山談話と河野談話が掘り起こされ、強制連行があったか否かで識者が激論を飛ばす。問題視するのはそこですか? と首をひねっていたのは私だけなのかしら。
橋下さんという方は、よっぽどメディアに嫌われているのだろう。
 あるいは、橋下さんは、会見の席でくだらない質問をする記者に、もっと勉強してこい的なことを平気で言うようなところがあるから、その腹いせとばかりに叱られた記者さんたちが徒党を組んで橋下叩きに躍起になっているのかも。
 でなければ、外圧に弱く、アメリカさんにゃ逆らっちゃいけないと刷り込まれているかのいずれかだ。アメリカさんに従軍慰安婦を“性奴隷”と翻訳されて、それは違うと反論した“社員ジャーナリスト”なんかひとりもいない。
 ちょっと外側から今回の過熱した報道を見ると、ライブドアの粉飾決算が明るみに出たころの堀江叩きの構図ととてもよく似ている。出る杭は打たねば、というスピリッツが日本のジャーナリズムにはあるかのようだ。という私もマスコミの一員なんですけど。
 にしても、だ。
 今回の騒動での収穫は、日本維新の会という政党がやっぱりどーしようもない自己保身の集団だったとわかったことかもしれない。その情けなさに関しては、たった三年で政権を奪取された民主党のだらしなさにも匹敵する。ひょっとすると、この二つの政党は五年後にはなくなってるんじゃないか?
 と思ってしまったほどだ。
 橋下さんを擁護した維新の会のメンバーはというと、石原慎太郎共同代表と松井一郎幹事長兼大阪府知事、そして西村慎吾議員くらいだった。他はみ~んな知らんぷり。いたんですか、親分のピンチに助け船を出そうとした会員は。特に知名度の薄い方で。
 「橋下氏らしい発言だ。現実に慰安婦があったということは、必要とされていたということだ。ものごとを本気で解決するには、上辺だけの議論ではダメだ。橋下氏の発言は、問題意識を本音でぶつける中での発言だった」(松井一郎談)
 と言ったそのあとに、合法的な風俗店はいっぱいあるから、軍関係者にも楽しんでもらえばいい――、と発言しているのだが、松井さんが火だるまになることはなかった。
こういう問題が起きると、決まって総攻撃の指揮を執るかのごとく登場する福島瑞穂さんも、風俗を楽しんで発言には触れなかった。女性蔑視だ、女性をモノ扱いしていると声高に叫ぶフェミニズム団体の方々も、松井さんの風俗を楽しんで発言はスルーだった。
 ということは、風俗を活用して、はNGになるが、風俗を楽しんで、はOKということだ。ってことは、橋下さんも、アメリカ兵は日本の風俗を楽しんでくださいと言っていれば、福島さんらが目くじらを立てることもなかったってことなのかしら。
 「軍と売春はつきもので、歴史の原理みたいなもの。決して好ましいものではないが、彼は基本的にそんなに間違ったことは言っていない」
 石原慎太郎さんはこう言い、私も個人的には石原さんと同意見だが、そうすると私もフェミニズムの方々に叩かれるのだろう。そして、西村さんのあの発言である。
 「日本には韓国人の売春婦がうようよいる(中略)。海外では慰安婦がセックス・スレイブ(性奴隷)に転換されている。これが国際的に広がれば、謀略が成功しかねない。だから、反撃に転じたほうがいい」
 ちなみに、この西村発言の三日前、横浜では、観光ビザで入国した韓国人男性が三人、売春行為で逮捕されています。男性の売春だから“男娼”です(これに、部屋を提供したとして別の韓国人男性も捕まり、逮捕は計四人)。外国人男娼の逮捕は全国で初でした。
 売春婦がうようよいるかは知りませんが、男娼は三人いましたよ、西村さん。
 という話は措いといて、西村議員はすぐさま発言を撤回し、党に迷惑をかけたとして離党届を提出したが、維新の会はこれを拒否。除名処分にするとの見解を示した。このとき、さきの松井幹事長は、除籍のみならず議員辞職を求め、議席を返してもらいたいとまで言った。
 西村さんは橋下さんと同じ弁護士出身の代議士だが、難関と言われる司法試験をパスし、弁護人を経験したにしてはどうにもケンカ下手というのか、簡単に揚げ足を取られるような脇の甘さがあるような気もするが、維新の会のメンバーで手を挙げたのはこの三人だけだ。あとはダンマリを決め込んでいる。苦し紛れに、小沢鋭仁国対委員長がこんなことを言ってますが。
 「あれは橋下氏の個人的な発言だと思う」
 だそうです。橋下発言は維新の会とは関係ないところで起きた火事らしい。
 我が身の党……、もとい、みんなの党も、参院選での維新の会との協力体制を解消すると発表した。それどころか、我が身の党……、もとい、みんなの党代表の渡辺善美氏は、維新の会に合流しなくてよかったとまで吐き捨てた。私、この方のお父さまに取材したことがあるけど、お父さまのほうがもうちょっと義理堅くて潔かった。
 逆風の中で橋下擁護にまわれば次の選挙が危ない、と思っているセンセイ方はたくさんおられるようで、維新の会は、あたかも橋下徹を坂本龍馬に仕立てようとしているのかもしれない。そうすると、松井さんが中岡慎太郎役になるのか。
 すると、ひょっとしたら維新の会は五年後にはなくなっているかも、というところに話はまた戻ってしまうが、橋下さんは、次の参院選で維新が惨敗し、その原因が自分の発言にあれば辞任すると言っている。
 が、私には、孤立する親分を助けようとしない腰抜けどものほうが、結果的に維新の会を終焉に向かわせるような気がしてならない。ボスを守れない政治家に、国民の生活を守ることなんかできるわけがない。
 と思わないか?
 維新の会の行く末は、グレーな要素はあっても、小沢一郎を切り捨てた民主党と同じ道をたどるのだ、きっと。維新の会のメンバーは橋下人気に縋り、民主党は小沢さんの手腕に縋って入党したくせに。
 日本語で言うところの“風俗”が、英語圏の諸外国に翻訳されたとき“売春”と意味が変わる。慰安婦(Comfort women)を性奴隷(Sex slaves)と表現するよう命じたのはあのヒラリー・クリントン国務長官で、つい一年前のことだ。
 ヒラリーさんは、ご存じのとおり民主党の上院議員です。おわかりですね、民主党です。モニカ・ルインスキーさんと“不適切な関係”をもったビル・クリントン元大統領の奥さまです。
 ヒラリーさんが鶴の一声で、従軍慰安婦を性奴隷と言うように、と命じたときの政権与党が、いまは野党に追い落とされた民主党。当時の玄葉光一郎外務大臣は異を唱えたが、従軍慰安婦=性奴隷は瞬く間に国際世論のスタンダードになってしまった。
 そういった意味でも、やっぱり何をやってたんだ民主党は、なのだが、ついでに、何をやってたんだ日本のメディアは、にもなる。
 橋下さんと西村さんの発言の背景には、そのような国際世論を許容してはならないという強い意志があった――、と私は見ているが、アメリカ兵はどうしてこんなに問題ばかり起こすのだ、と司令官に詰め寄る姿勢を強く見せ、謝罪なり反省の弁を引き出せば、お二人も謝罪する羽目にはならなかったとも思っている。もっとも、アメリカは謝ったほうが負けの文化だから、めったに謝罪しないんですけどね。
 「橋下さんが、米兵による事件、事故が多く起こるのは問題だ。綱紀粛正はどうしているか、と問うと、司令官は、フィットネスとジョギングだと二回、小ばかにした感じで応えた。それで橋下さんは業を煮やして、風俗に行けばいいと発言したのです」
 と、橋下さんがジェイムス・フリン司令官と面談した際、同席した下地幹郎前衆議院議員は週刊文春の取材に応えている。
 すると、橋下さんのほうが焦れて、言わなくてもいいことまでつい口走ってしまったということになる。捉えようによっては、海千山千の司令官にいいようにあしらわれたとも言える。若さが露呈したか。
 また、面談での風俗活用発言は、日本側の出席者三〇人全員で口外しないことを申しあわせていたとのことだが、橋下さん自らが、そのオフレコの禁を破った、と維新の会関係者が匿名で証言してもいる。
 橋下さんが記者会見で打ち明けたとき、リップサービスの度が過ぎたのか、それとも、よほど言いたいことがあったのかは定かではないが、発言の中から風俗の活用と従軍慰安婦問題に争点が集中した――、というのが今回の騒動だ。
 ともすれば、アメリカの民主党寄りだったり、韓国や中国に“いい顔”を見せたいうえに橋下嫌いな新聞社がとりたててこの騒動を大きくしたのかも。ありますね、自虐史観がお好きな新聞社。
 な~んてバイアスさえかかってしまう。
 週刊新潮で『変見自在』というコラムを連載中の高山正之さんが、興味深い資料を紐解いていた。このコラムは、週刊新潮を読むときの楽しみのひとつと言ってもいいくらいに痛快なのだ。
 ずっと以前、高山さんには私が集めた資料をお貸ししたこともあるのだが、この方は、それはそれは入念に資料を漁る方で、ジャーナリズム系のコラムを書かせたら、この高山正之、毎日新聞の牧太郎、櫻井よしこのお三方が日本のトップ3だろうと思っている。私なんかと違い、実に説得力のあるコラムをお書きになるのだ、この人たちは。他にもジャーナリズム系のコラムを書かれている方、ごめんなさい。
 高山さんのコラムによると、日本の敗戦後、厚木にアメリカの部隊が入ったその日の夜、アメリカ兵による最初の強姦事件が起きたとあり、その十日後にも中野のアパートに押し入った米兵が制止する男性ら数人を殴り倒し、押し入れに隠れた女性を襲った等々の記録を当時の新聞から引き出している。
 事件は全国的に広まり、一日で四六件もの強姦事件が起きたような驚くべき事実を挙げ、また、当時の調達庁が調べたところでは、一九五一年にサンフランシスコ講和条約が結ばれるまでの六年間で、実に二五三六人の日本人男性が、妻や娘を守ろうとしてアメリカ兵に殺害されたとある。
 信じられるかい、二五〇〇人以上だぞ。止めようとした男性が二五〇〇人以上も殺害されているのなら、被害に遭った女性はどれだけいると思うのだ。
 私は、決して、古い話だからの一言で片づけることはできないと思う。アメリカ兵による性犯罪は、いまもなお起きているのだ。従軍慰安婦制度そのものに目を向け、慰安婦の苦痛を推し量る裁量も大切だが、アメリカ兵の被害に遭った女性、そしてアメリカ兵に殺された男性の無念にも目を向ける必要はあるはずだ。
 だから、私は福島瑞穂さんやフェミニズム運動の方々に問いたいのだ。
 それぞれの立脚点から橋下さんを女性の敵とばかりに批判されるのは結構だが、アメリカ兵が犯す性犯罪について、この方々はどう思っておられるかということだ。何かあるとすぐ発言なさるのも結構だが、では、橋下さんのように在日米軍司令部に乗り込んだことはあるのか。あるいは、乗り込んでもの申す気はおありなのか。
 それとも、日本のフェミニストはやっぱりアメリカさんにはダンマリですか。
 風俗を活用せよという発言はとりあえず措いといてもらい、その前の、多発するアメリカ兵の性犯罪と事件を何とかできんのか――、とツッコんだ橋下さんは、フェミニストならば“よく言った”と賞賛に値すると私は思うのだが、福島さんらには、橋下さんの意を汲もうとする姿勢はないようだ。
 日本を“レイプ国家”と指さすアメリカの兵士が、日本に来て女性を襲っているんだぞ。おかしいじゃないか。
 だから、私は思うのだ。真意を読めない人が、橋下叩きに走るのではないかと。
 日米安全保障条約の名のもと、日本国を衛る名目で駐留しておきながら、その日本国の婦女子に悪さをするアメリカ兵を、私は正義漢面した卑怯者たちだと思っている。わいせつ行為を繰り返す警察官と同じくらい卑劣だとも思う。
 清廉潔白な兵士もいるだろうし、品行方正なお巡りさんだっていることは知っているが、法を犯し、秩序と規律とモラルを踏みにじる兵士や警察官がいることも、紛れもない事実だからだ。
 私の橋下さんへの共感は振り子のように行ったり来たりで、竹島を日韓で共同管理したらいいなどと言ったときは閉口したものだが、多発するアメリカ兵の性犯罪を苦々しく思い、何とかならんのかこいつら、という点に関しては、私はとことん橋下徹を擁護してもいい。
 アメリカ兵の愚行暴行蛮行から日本の婦女子を守りたいという考えは、見上げたものではないか。どう思うよ、日本の男性諸君。
 でも、だからといって風俗を活用せよとの方向に論理が傾くのは稚拙だったとしか言いようがないし、風俗と従軍慰安婦の問題ばかりに固執するメディアも、ちょっとおかしいのです。
 風俗発言に注視するのなら、アメリカ兵の犯罪にも目を向けなければ、フェアな報道とは言えない。そして、慰安婦を性奴隷に置き換えられたままでいいわけがない。

2013年6月29日土曜日

2013年 平成25年度1/4期 円株・金融市場動向

金融市場、不安心理が後退 各国中銀相次ぎ「火消し」

          2013/6/28 23:06
 動揺が続いていた金融市場で、過度な不安心理が薄れつつある。28日の東京市場では円相場が約3週間ぶりの円安水準となり、株式市場では日経平均株価が今年3番目の上げ幅を記録するなど「円安・株高」となった。米金融緩和の早期縮小や中国の金融不安が重荷となっていたが、米欧中の中央銀行幹部が相次ぎ「火消し」に動き、市場をひとまず沈静化させた形だ。
 28日の東京外国為替市場では円相場が一時1ドル=99円台に下落。6月中旬には93円台に上昇したが、再び円安・ドル高基調に転じた。株式市場でも日経平均が2日続伸し、計843円(7%)上昇。心理的な節目の1万3000円を上回った。
 市場動揺の起点になったのは米連邦準備理事会(FRB)だ。19日にバーナンキ議長が年内の緩和縮小の方針を示したのを受け、米市場で株安・債券安(金利上昇)が進行。新興国市場からの資金流出や中国の金融市場混乱も重なり、世界的に運用リスクを避ける傾向が強まっていた。
 反転のきっかけをつくったのも、米欧中の中央銀行幹部による「火消し」発言だ。
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 25日には、欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁が緩和継続の方針を強調。当のFRBも幹部が緩和縮小の時期を遅らせる可能性に言及し、市場の動揺を抑える戦略をとった。
 もう一つの震源地である中国。中国人民銀行(中央銀行)が「影の銀行(シャドーバンキング)」対策で市場への資金供給を絞り、株安を招いた。だが、28日には周小川総裁が「市場の安定を守る」として資金供給に柔軟な姿勢を示し、不安心理の払拭に動いた。

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 市場混乱への危機感を共有した各国中銀幹部の発言で「過度に悲観的だった投資家心理が持ち直した」(大和証券の成瀬順也チーフストラテジスト)。
 日銀も28日に計6400億円の長期国債の買い入れオペ(公開市場操作)を実施、6月の買い入れ総額は8兆円を超え、過去最高となった。当初月間7兆円強とした買い入れ額を柔軟に増やす姿勢を示し、国内の長期金利は足元で0.8%台で落ち着きつつある。
 28日は三菱地所など不動産株が軒並み上昇。三井住友フィナンシャルグループなど銀行株も買われ、相場全体を底上げした。金利の不安定さを背景に売られていたが、金利が落ち着き「割安感が出てきた」(メリルリンチ日本証券の神山直樹チーフストラテジスト)。
 円安による輸出企業の採算改善期待も大きい。製造業では13年度の業績予想の前提を1ドル=90~95円とする企業が多い。大手証券の試算では、1ドル=100円を前提に国内企業の業績を予想し、割り出した日経平均の適正水準は1万3000円台から1万4000円台との声もある。
 もっとも、市場参加者の間では米国の金融政策や中国の金融不安への警戒感はなお根強い。「1ドル=100円は視野に入るが、もう一段円安が進むほどの力強さはない」(国内銀行)との声もあり、このまま円安・株高が進むかは不透明だ。
 28日の米株式市場では景気指標の悪化を受け、ダウ工業株30種平均が反落、下げ幅は一時120ドルを超えた。来週は米雇用統計など重要な経済指標の発表も相次ぐ。「当面は値動きの荒い展開が続く」(三菱UFJモルガン・スタンレー証券の藤戸則弘投資情報部長)との見方が多い。
 
東証大引け、大幅続伸 円安・米株高で今年3番目の上げ、6月期末を意識も
 
                              2013/6/28 15:30
 6月最終営業日となった28日の東京株式市場で日経平均株価 は大幅に続伸した。終値は前日比463円77銭(3.5%)高の1万3677円32銭だった。上げ幅は今年3番目の大きさで、5月31日(1万3774円)以来、1カ月ぶりの高い水準を付けた。前日の米株式相場の上昇や円相場の下落を好感した買いが先行した後も、断続的な買いに支えられて徐々に上げ幅を拡大した。海外機関投資家の買いや仕掛け的な株価指数先物買いが上げを主導したとの見方が多い。
 一部海外投資家の決算期にあたる6月末を迎え、株価水準を押し上げておきたいとするドレッシング(お化粧)買いが終日入っていたとの指摘も聞かれる。日経平均は5月22日に年初来高値を付けた後、大幅に下落する場面もあっただけに、株価指数だけでなくこれまで大きく調整してきた不動産株などにも買いを入れる動きが目立った。連日での相場急伸で、強気に転じた投機マネーによる先物買いも活発化したという。
 上海株式相場が小幅ながら朝安後上げに転じたことや、円相場が一時1ドル=99円台まで下落したことが材料視される場面もあった。日経平均が、これまで上値抵抗として意識されてきた25日移動平均を上回ったことも、買い安心感を誘ったという。ただ、前日(379円高)に続く需給主導の上昇について、市場では「やや上げが急ピッチ過ぎる。売買高の増加も限定的で、来週は反動で調整する場面もありそう」(証券ジャパンの大谷正之調査情報部長)と、先行きに慎重な見方も聞かれた。
 東証株価指数 (TOPIX)も大幅に続伸した。
 東証1部の売買代金は概算で2兆6078億円、売買高は31億9097万株と最近では活況だった。東証1部の値上がり銘柄数は1602、値下がり銘柄数は82、変わらずは28だった。
 トヨタ が売買を伴って上昇し、6000円台を回復する場面があった。三菱UFJみずほFG三井住友FG がそろって上昇し、マツダ野村ソフトバンク富士重ソニー が買われた。菱地所三井不 が連日の大幅高。ファストリ は1銘柄で日経平均を80円近く押し上げた。丸紅伊藤忠 が小幅に下落し、カーバイドJパワー の下げが目立った。
 東証2部株価指数は大幅に続伸した。朝日インテク高木不二サッシM2J が上昇した。
〔日経QUICKニュース(NQN)〕