2013年12月31日火曜日

歴史的値動きの1年 平成25年2013年

株高41年ぶり、円安34年ぶり… 歴史的値動きの1年
                      2013/12/31 2:02

 2013年の金融・証券市場は歴史的な株高・円安となった。日経平均株価は年間で57%上げ、41年ぶりの上昇率を記録。円は対ドルで34年ぶりの下落率になった。世界の投資マネーが新興国から先進国へと向かうなか、大規模な金融緩和などで日本が長引くデフレから脱するとの期待が浮上。内外の投資家が取引を活発に膨らませた。来年もこの流れが続くかどうかは、景気の持続的な拡大がカギを握る。

 年内最後の取引である30日の東京株式市場では日経平均が9日連続で上昇し、終値は1万6291円31銭と約6年2カ月ぶりの高値を付けた。年末にその年の高値を更新したのは2年連続、9日連続での上昇は4年ぶりだ。日経平均の上昇率は9割高だった1972年以来の大きさ。当時は田中角栄氏が首相に就任し「列島改造ブーム」に沸いた時期だった。

 外国為替市場では対ドルの円相場が1年前の86円から年間19円(18%)下落。30日は一時1ドル=105円台半ばと5年ぶりの円安水準を付けた。

 株高・円安が進んだ背景には、黒田東彦日銀総裁が打ち出した大規模な金融緩和や、安倍晋三首相が進める経済政策などの効果で、脱デフレが実現するとの期待がある。

 一部の商品相場は上昇が始まっている。「物価の優等生」といわれた鶏卵価格は8年8カ月ぶりの高値を付けたほか、鋼材をはじめとする産業資材価格も上昇。企業間の取引価格の動向を示す日経商品指数42種は、12月末に5年3カ月ぶりの高水準を付けた。

 こうした流れに円安も加わり「国内主要企業は14年度も2ケタの経常増益」(SMBC日興証券)との見方が多い。日本株売買の6割前後を占める海外投資家は世界の有望市場として日本に注目。今年の海外勢による日本株の買越額は過去最大の15兆円弱にのぼった。野村証券の田村浩道チーフ・ストラテジストは「政権が市場をよく見ているとの信頼が根底にある」と指摘する。海外勢の買いがけん引し、東証1部の年間株式売買代金は昨年の2倍に膨らんだ。
              
 東証で30日開いた大納会には、現職の首相として初めて安倍晋三首相も出席。「経済はマイナスからプラスに大きく転じた」と指摘、「来年もアベノミクスは買いだ」と強調した。市場では、今後も株高が持続するには「企業業績の回復傾向が崩れず、設備投資が本格化し資金の好循環が強まることが条件」(メリルリンチ日本証券の神山直樹チーフストラテジスト)との声が出ている。

 世界に目を向けても、投資マネーはこの1年間で新興国から先進国へと向かう流れを強めた。

 米国では米連邦準備理事会(FRB)が市場に大量に資金を供給する量的緩和を縮小するという観測が年央から浮上し、新興国から余剰マネーを引き揚げるとの見方が台頭。中国やブラジルなどの株式市場から資金が流出した。一方、景気が回復基調にある米国やドイツでは株価が史上最高値を更新。安全資産とみなされることが多い金からはマネーが流出した。

 米国での緩和縮小は米景気の力強さの裏返しでもあるうえ、米国の金利上昇を通じてドル高・円安を促す。米国で事業を展開する日本企業にとっては輸出面、採算面の両面で追い風となる。そうしたことも、日本株を押し上げた理由の一つになった。

 市場では、14年の世界経済も先進国主導の回復局面が続くとの見方が多く、投資マネーが向かう先について「先進国が優位な状況は変わらない」(みずほ証券)との声がある。半面、新興国経済への懸念はくすぶっており、日本の景気にとってもリスク要因となる。
               
 

2013年12月27日金曜日

安倍首相 靖国神社参拝

靖国参拝で狭まる外交の選択肢 首相、保守色強める
                            2013/12/27 2:00

安倍晋三首相は就任から丸1年の26日、靖国神社の参拝に踏み切った。
知っていたのは菅義偉官房長官らごく一部だけで、与党への連絡も当日朝だった。
第1次政権での参拝見送りを「痛恨の極み」と繰り返してきた首相は、保守色を強めつつある。
中国や韓国との早期の関係改善は望めないと判断し、
外交の選択肢が狭まるのを承知で「宿願」を果たした。
■与党へ直前連絡
「きょう参拝します」。首相周辺から靖国神社に連絡が入ったのは26日午前7時ごろ。
首相が自民党の石破茂幹事長や公明党の山口那津男代表らに電話したのは参拝直前だった。
山口代表は「賛同できない」と自重を促したが、
首相は「ご賛同いただけないとは思いますが、関係国との改善に努めます」と押し切った。
参拝を終えた首相は、
記者団に「二度と戦争の惨禍で人々が苦しむことのない時代をつくるという誓いを伝えるために
この日を選んだ」と説明した。
国内外の戦没者をまつる「鎮霊社」も併せて参拝。
首相自ら談話の内容を詰めて日本語と英語で発表するなど、一定の配慮をうかがわせた。
菅長官ら側近の間でも「経済を最優先すべきだ」との慎重論が根強かったにもかかわらず、
首相が年内参拝に踏み切ったのは、中国や韓国への不信感も一因になった。

靖国問題をめぐる経緯
1975年
8月
三木武夫首相が現職首相で初めて終戦記念日に「私人」として参拝。中国、韓国から目立った反発はなし
78年
10月
東京裁判のA級戦犯14人を合祀(ごうし)。翌年に判明
85年
8月
中曽根康弘首相が終戦記念日に公式参拝。中韓が反発
96年
7月
橋本龍太郎首相が自身の誕生日に参拝。中韓が批判
2001年
8月
小泉純一郎首相が終戦記念日から2日前倒しで参拝。06年の退任まで毎年参拝し、中韓との関係が冷却化
06年
9月
第1次安倍政権が発足。安倍首相は参拝について「行くか行かないか言及しない」と明言せず。就任直後に中韓を訪問し、関係改善に道筋
13年
8月
安倍首相が終戦記念日に玉串料を奉納
12月 安倍首相が在任中に初めて参拝
昨年末の就任以降、首相は一貫して「対話のドアは常にオープンだ」と呼びかけた。
春と秋の例大祭は真榊(まさかき)と呼ばれる供物、
終戦記念日は玉串料を納めて参拝は見送ったが、
歴史認識や領土問題をめぐる対立は先鋭化。
政府関係者は「失うものはない状態だ。
行っても行かなくても変わらない」と語る。
■不信感を口に
25日に官邸を訪ねた自民党の河村建夫選挙対策委員長が
「首脳会談ができるよう努力しているけどなかなか難しい」と水を向けると、
首相は南スーダンの国連平和維持活動(PKO)に参加する自衛隊の韓国軍への
銃弾の無償供与に触れて「弾薬を提供したのにひどいですよね」と不信感を口にした。
首相に参拝を促してきた衛藤晟一首相補佐官は26日午後、電話で
「お疲れさまでした。大変でしたね」と伝えた。
首相は「どうもありがとうございました」と応じ、懸案を果たした達成感がにじんだ。
中韓両国の反発はある程度、織り込み済みだった。
一方で在京の米国大使館による「失望」を示す声明は波紋を広げた。
小泉純一郎首相の参拝時も失望との厳しい表現は使わなかった。
首相は26日午後、自民党のインターネット番組で
米側の反応について「しっかりと説明していくことで誤解を解いていきたい」と強調した。
日本側には沖縄県の米軍普天間基地の移設に前進が見られたことで、
一定の理解は得られるとの期待もある。
ただ米側は中韓との摩擦を憂慮してかねて慎重な対応を求めてきた。
与野党には日米関係に影を落とす展開を懸念する声が根強い。

首相靖国参拝、日米同盟への影響焦点 米国は「失望」
                         2013/12/26 16:00

                        情報元  日本経済新聞 電子版
 安倍晋三首相が靖国神社を参拝した。「首相の年内参拝はあり得る」と秋からみてきた外交当局が注視するのは日米同盟への影響だ。駐日米大使館は26日、首相の靖国参拝について「日本の指導者が近隣諸国との緊張を悪化させるような行動をとったことに、米国政府は失望している」との声明を出した。
 11月、バイデン副大統領のアジア訪問を前に、政府高官は「もし今、首相が靖国を参拝すれば、バイデン氏は日本訪問を取りやめる…

靖国参拝で波紋広がる 中韓の反発覚悟、米が「失望」表明
                          2013/12/27 2:00

                        情報元  日本経済新聞 電子版
 安倍晋三首相は26日、首相になって初めて東京・九段北の靖国神社を参拝した。1年前の就任から経済再生を最優先してきた首相は最近、国家安全保障会議(日本版NSC)創設や防衛大綱の見直しなど「保守路線」にも重心を置く。小泉純一郎氏以来、7年ぶりの現職首相の靖国参拝が中国、韓国の反発を招くのは覚悟していたが、米国が「失望」を表明するなど波紋は広がっている。

首相の靖国参拝、米は不快感隠さず

                          2013/12/27 2:00
                        情報元  日本経済新聞 電子版
安倍晋三首相の靖国神社参拝には同盟国の米国が不満を示している。日本と中韓の関係改善を働きかけてきたオバマ政権は「失望」(米大使館)という異例の表現で懸念を伝えた。中韓は対日強硬姿勢を強めており、日本の国際的な立場の不安定さが増しかねない。
■アジア重視戦略に誤算

 米国は事実上の反対を押し切っての靖国参拝に不快感を隠さない。小泉純一郎元首相の参拝には公式に反対したことがなかった米国だが、26日の在日…

三度目で決断した安倍首相 366日目の靖国参拝 

          2013/12/27 2:00  情報元 日本経済新聞 電子版
 12月25日。首相の安倍晋三は翌26日朝の閣議の開始時間を当初の予定から約1時間前倒しし、9時20分に変更させた。それに続くあるインタビューの約束もドタキャンした。過密日程を縫って創り出した2時間の空白。それは首相再登板から1年の間に2度、迷ってやめた靖国神社への参拝を「三度目の正直」で敢行する決意の表れだった。
■1度目は秘書官、2度目は官房長官が止めた
 「国のために戦い、倒れた方々に対し、手を…

首相の靖国参拝、株高ムード冷やすか 市場の見方

                           2013/12/27 11:
安倍晋三首相は26日、首相になって初めて東京・九段北の靖国神社を参拝した。小泉純一郎氏以来、7年ぶりの現職首相の靖国参拝は中国、韓国の反発を招いたほか、米国が「失望」を表明するなど波紋は広がっている…
 

首相靖国参拝、米国務省も「失望」表明

                      2013/12/27 15:43
米ホワイトハウスは26日、安倍晋三首相の靖国神社参拝について声明などを一切、発表せず、
静観する姿勢を保った。
 一方、国外の米大使館を統括する国務省はサキ報道官が
夕方以降に「失望」を表明した在日米大使館と同様の内容の声明を出し、足並みをそろえた。
「在日米大使館の声明をみてほしい」。
米ホワイトハウスの担当者は26日、
首相の靖国参拝に関する声明を出すかどうかの問い合わせにこう答えた。
仮に同じ内容でも複数の機関が声明を出すことはある。
中国が東シナ海上空に防空識別圏(ADIZ)を設けた際は
ホワイトハウス、国務省、国防総省が声明で一斉に批判した。
ホワイトハウスが首相の参拝について反応しなかった背景には、
問題をこれ以上大きくしたくないとの意向がにじむ。
在日米大使館や国務省の声明により、首相の参拝への米政府の不快感は示した。
ホワイトハウスがこれに追随すれば中韓両国側の立場に一段と寄ることになる。
結果的に日本と中韓両国の対立をあおりかねない。
首相の言動について在日米大使館が声明で「失望」と断じたことには批判もある。
アメリカン・エンタープライズ政策研究所のマイケル・オースリン日本部長は
「日本が対処すべき問題で、在日米大使館はあのような声明を出すべきではなかった。
米政府は関係国の解決に向けた努力を促すべきで、非難すべきではない」と指摘した。

首相「理解してもらうよう努力」 米の「失望」表明受け

2013/12/27 19:27
安倍晋三首相は27日、
自らの靖国神社参拝を巡り米国務省が在日米大使館と同様に「失望」を表明したことに
「戦場で散っていった方々のためにご冥福を祈り、手を合わすのは世界共通のリーダーの姿勢だろう。
そのことを誠実にこれからも理解してもらうように努力していきたい」と述べた。
首相官邸で記者団の質問に答えた。

EUも靖国参拝批判 「緊張緩和に資さず」

                       2013/12/27 16:08
 【ブリュッセル=共同】欧州連合(EU)のアシュトン外交安全保障上級代表の報道官は26日、
安倍晋三首相の靖国神社参拝に関し声明を発表、
「地域の緊張緩和や中韓両国との関係改善の助けにならない」と批判した。
 報道官は、日中韓各国に対し「EUは、緊張を高める行動を避け、
外交で争いを解決する必要性を常に強調してきた」と訴え、
地域の長期的な安定に向け、建設的な関係を築くよう促した。


2013年12月14日土曜日

円高5年で終息へ 100円台定着

 円高5年で終息へ 米緩和縮小にらみ100円台定着
                                              2013/12/14 2:33


 2008年9月のリーマン・ショック後に進んだ円高局面の終息が近づいてきた。円は13日の東京市場で5年2カ月ぶりの安値となる1ドル=104円目前まで下落。日経平均株価も4日ぶりに反発した。米量的緩和縮小をにらみ、市場では来年も円安基調が続くとの見方が大勢。輸出増の経済効果が拡大しそうだが、輸入に頼る原材料高などの副作用も膨らんでいる。


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 13日の東京市場では、5月22日につけた年初来安値(103円74銭)を更新し、一時103円92銭まで下落した。前日発表の米個人消費統計が好調で、米景気が堅調との見方からドル買いの流れが強まった。東京市場で円相場が100円超にとどまるのは13日で17営業日連続。リーマン・ショック後で最長だった今年5月~6月に並んだ。

 円は主要通貨に対して全面的に値下がりする「独歩安」の様相を強めている。ユーロ、英ポンド、韓国ウォンに対しても08年10月以来、5年2カ月ぶりの安値圏。スイスフランでは23年ぶりの安値圏で推移している。

 円相場は金融危機後に上昇が加速。11年秋には最高値となる1ドル=75円32銭をつけ、価格競争力が低下した日本の電機・自動車産業は苦境に陥った。「5年を経てようやく円相場の正常化が見えてきた」。仏ソシエテ・ジェネラルのグローバルチーフエコノミスト、ミカーラ・マークセン氏はこう語る。

 1ドル=100円台の円相場が定着している背景には、日米欧の金融緩和姿勢の差がある。米国では米連邦準備理事会(FRB)が量的緩和の縮小を始めるとの見方が強まっている。一方、日銀は来春にも2%の物価上昇率目標の達成に向け追加緩和に踏み切るとの観測がくすぶる。日米の金利差が拡大方向となり円売りを誘っている。



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 物価低迷が深刻なユーロ圏でも欧州中央銀行(ECB)の追加緩和観測が浮かぶ。だが、ECBの11月の資金供給量は前年同月比約27%減。日米欧3中銀のなかで日銀の緩和姿勢が一番強いとの相場観が定着している。

 円安が急進展した今年春先、「日本は円安誘導で通貨安競争を誘発している」といった批判が出た。だが構造的な円安要因となる貿易赤字が一本調子で増えており、「円安誘導の批判は出にくい」(メリルリンチ日本証券の吉川雅幸チーフエコノミスト)状況だ。

 円安と株高の連鎖は続いている。日経平均株価は13日、4日ぶりに反発した。終値は前日比61円29銭高の1万5403円11銭。マツダが08年9月以来の高値を付けるなど、円安が企業業績を押し上げるとの期待から輸出株が買われた。

 この日は、韓国や中国、インドなどアジアの主要株が下落するなか、日経平均の上昇が目立った。米国の金融緩和縮小は世界の株式市場からのマネー流出につながりかねないが、日本株はドル高・円安が企業業績を押し上げるため、相対的に資金が向かいやすい。

 外為市場では14年も円安基調が続くとの見方が大勢だ。主要な金融機関に14年末の円・ドル相場の見通しを聞いたところ最も円安を見込むドイツ銀行は1ドル=115円。一方、最も円安進行に慎重なみずほ銀行やJPモルガン・チェース銀行でも104円と現行の円安水準が続くとみている。