2012年7月31日火曜日

消費増税は財務省の完勝の筋書き

消費増税、財務省「完勝」の先に    霞が関風速計 
                                                   2012/6/30 

 消費税がいよいよ上がりそうだ。2014年4月に8%、15年10月には10%への増税。
アタマでは分かっている負担増も、多くの人は肌感覚で拒絶する。
決断が必要な歴史の瞬間はあっけなかった。
 6月15日深夜。国会内で民主、自民、公明3党の首脳が
消費増税関連法案の修正案への合意文書に署名した。
3党の3人は目の前にある紙に、ただペンを滑らせた。

 6月11日から始まった税法の修正協議。
「社会保障制度の協議がまとまらない限り、税の話は前に進まない」。
民主党の藤井裕久税制調査会長や自民党の町村信孝税制調査会顧問らは表向き、
協議は全く前に進んでいないと口をそろえた。
 こんな「社保待ち」とも言われた状況が続いたが、その協議も15日夜に終わった。
その後、1時間ほどで税制の修正案にも合意。
ずっと落としどころを探していたのは、やはり財務省だった。
 3党による初回の協議に財務省は税制を担当する主税局の古谷一之局長が入った。
事務方は最小限に抑え、それぞれの政党を背負った政治家が主張を戦わせる。
非公開の会議はそんな雰囲気かと思われた。
 内情は少し違った。
協議の回数を重ねると、
財務省主税局で税制調査会とのやり取りを担う井上裕之税制第一課長のほか、
課長補佐クラスも席を並べるようになる。
消費税を担当する住沢整税制第二課長も姿を見せた。

 水面下では事務方を巻き込んだ修正作業が着々と進んでいた。
「民主党と自民党の間では内々に、
法案を直すならこの部分にしましょうかという話をしているのです」。
6月14日には財務省幹部から、こんな声が漏れた。
「このままだと、公明党の得るところが少ないなあ」。
別の幹部も、常に3党の落としどころを探っていた。
 法案に盛り込んでいた所得税と相続税の課税強化は削除されたものの、
もともと「いざとなれば所得、相続にはこだわらない」(財務省幹部)。
消費税を5%も引き上げるという
目的を想定通りのシナリオで仕上げた手応えはあった。
 「完勝」したように映る財務省は次にどこへ向かうのか。
多くの幹部は「消費税率は最低でも15%は必要」と再増税をにらむ。
そして省内で関心が高まっているのが、
政府の経済成長戦略を主導しようという次のステップだ。
 それは霞が関のリーダー争いで
財務省の立場が相対的に強くなっているためでもある。
成長戦略で主役を担う経済産業省は原子力発電を巡る問題で身動きがとりにくい。
財務省は時に「ただ単に、お財布を持っているから強いだけ」と
他省からやっかみを含めて見られてきた。
ある財務省幹部は「我々も戦略作りをする能力を高めなければ」と
枠を乗り越える意欲を隠さない。
 一方で、増税後を見据えた戦略が霞が関全体に求められている面はある。
 ある中小部品メーカーの関係者が嘆く。
「部品メーカーの会合で酒を飲むでしょう。
気が置けない人たちと言いたい放題だけど、
製品価格への消費税の上乗せなんて、話題にもならない。
部品の値上げなんて、考えられないんだから」。
デフレ下での消費増税とは、
財務省が霞が関で描くシナリオよりも、はるかに厳しいものだ。
しかし今の財務省に、そこまで気が回っている様子はない。

2012年7月27日金曜日

文科省の原発事故対応 この愚検証結果発表 涙も出なぃ

原発事故後の対応で不手際 文科省が検証結果
放射能拡散、公表遅れ避難に生かせず                                                                             2012/7/27 20:25

 文部科学省は27日、東京電力福島第1原子力発電所事故後の対応を検証した報告書を公表した。緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム(SPEEDI)の拡散予測の公表が遅れ、住民避難に役立てられなかったことなどの不手際を認めた。一方「公表や活用の検討は原子力災害対策本部」と責任を回避するなど、縦割り行政の弊害を浮き彫りにした。

 省内に検証チームを設け、当時の高木義明文科相や職員から聞き取りした。SPEEDIによる放射性物質の拡散予測が公表されたのは事故から12日後の3月23日。これについて、第1原発から放射性物質の放出源情報が得られず、仮定に基づく計算で現実を反映していないため、結果の公表や住民の避難指示に活用することを前提としていなかったと説明した。

 結果を公表するかどうか「省内で議論した形跡を確認できなかった」と検証チームが指摘。「文科省は公表する立場にない」と建前論で正当化する一方で、「関係機関に助言することまではしなかった」と反省した。

 政府の事故調査・検証委員会が「公表していれば避難に活用できる余地はあった」と指摘したのに対し、「情報提供する意味がなかったのか否定まではできない」と明確な見解を示さなかった。

 検証チームを率いた城井崇政務官は記者会見で「自己検証の限界は感じたが、ある程度踏み込めた」と評価。文科省の対応について「国民目線が足りなかった点を深く反省する必要がある」と述べた。

中国共産党スパイが民主党の容認で国会内にウジャウジャ

野田首相ほか民主党幹部を輩出した松下政経塾が入り口にされ……

赤いスパイへの警戒感覚ゼロの野田民主党政権を中国への機密情報「筒抜け政権」と命名する


SAPIO 2012年7月18日号掲載) 2012年7月26日(木)配信

今年6月、警視庁が摘発した李春光・中国大使館一等書記官事件。表向きの理由は「公正証書原本不実記載等」の容疑だが、「中国人スパイ事件の象徴」として注目を浴びた。とりわけ、現政権の民主党と「中国人スパイ」とのつながりに国民は驚きを隠せなかった。しかし、問題はこれだけではない。両者のつながりは、もっと深いところから発生している。ジャーナリスト・山村明義氏がレポートする。
「今回の中国人スパイ事件は、民主党政権の中に相当根深い病巣がある。警視庁内部でも“もし可能なら、10人以上の国会議員を事情聴取したい”という話もあったようだ」
外事公安警察関係者がこう明かす。
彼らの捜査で鳩山・菅・野田と3代続いた民主党政権の約2年10か月間、日本国内の「中国人スパイ」たちが、政権内部を驚くほど広範囲に蝕んでいたことが明らかにされた。
実際に、中国大使館経済部に所属していた李春光容疑者と何らかの形で交際していた民主党の国会議員は数多い。
現時点で判明しているだけでも鹿野道彦前農林水産大臣、筒井信隆前農林水産副大臣など中国と直接取引のある企業に近い農水族議員の他に、本多平直現首相補佐官、森岡洋一郎衆院議員ら松下政経塾出身議員。
菅直人内閣時には官房長官を務めた枝野幸男経済産業大臣は、「李氏とは、秘書である妹を含めた事務所ぐるみの付き合い」(外事警察関係者)とされ、日本の首相官邸の奥深くまで侵食していたことが発覚。「判明しているだけでも、少なくとも李と懇意の国会議員は10人を超え、全体では約50人に迫るのでは」という説もある。
とりわけ「政界の登竜門」と呼ばれる松下政経塾OBには衝撃を与えた。事件発覚直前に中国へ帰国した李容疑者は、政経塾20期の海外インターンとして1999年に入塾していたからだ。創立者の松下幸之助の声が絶対的な影響を与える松下政経塾では、「これからはアジアの時代だ」という理念により、93年の宮田義二塾長時代から代々、中国社会科学院の推薦でインターンを受け入れるようになった。 91年、松下政経塾は中国社会科学院日本研究所との間で「友好交流と研究・活動協力に関する議定書」を結んだ。そして93年9月、北京で行なわれた2回目のシンポジウム「国際新秩序の中の日中関係」に、松下政経塾側は当時の塾生を含む44名の派遣団を送っている。

政経塾関係者の意見を総合すると、90年代後半から2000年代の前半にかけ、「政経塾全体の雰囲気が、次第に親中的になった」という。中国人の研修は約半年間で、過去19人の同院出身の中国人卒塾生が巣立っている。

「通常松下政経塾の海外インターンには、履歴書を出させるだけで、その身元を調べることはない。日本の地方自治や住民投票を熱心に研究していたというし、彼がスパイとは思えなかった。彼が総参謀2部出身とは知りませんでした」と同塾出身者は明かす。

ところが、中国人民解放軍出身のジャーナリスト・鳴霞氏は、こう指摘する。

「今の中国社会科学院には、スパイを全世界に送る中国人民解放軍総参謀部出身の人間が間違いなく入っています。その身元調査すらしない松下政経塾には、そういう危機意識がないように映ります」

現在の民主党政権は、野田佳彦首相を始め、玄葉光一郎外務大臣、松原仁国家公安委員長、前原誠司政調会長ら松下政経塾出身者が政府と民主党の要職を占める。さらに現在の駐日中国大使館の公使・韓志強も松下政経塾海外インターン出身である。唐家●(●=王へんに旋)元外相の秘書官を務めた彼が昨年7月に就任した際には、中国側の「松下政経塾シフト」と呼ばれたものだ。

別の外事公安関係者はこう断じる。

「李は、政治や外交の世界では“ペルソナ・ノングラータ(素行の悪い外交官)”であってスパイじゃない、と指摘されるが、軍の総参謀2部出身の彼は、役回りとしてはいわば表のプレイヤーで、裏のプレイヤーは他にいる。松下政経塾は、その表のプレイヤーを育成する温床となっていたわけだ」

民主党議員には、身元調査で誰が「表」で、誰が「裏」のスパイかも把握できない。事実、彼ら自身からも「民主党議員と接する中国人の数が多すぎ、今では正直、スパイを警戒する感覚すらない」という声さえ漏れるほどだ。

“人材不足”を理由に
素性不詳の中国人を秘書に


あまりにも無防備な事態に、日本に詳しい中国共産党のある幹部はこう嘯くのだ。

「今の民主党政権は、国家情報の危機管理意識が皆無に等しい。我々が日本人に近づき、日本の重要な情報を握ることはもはや難しいことではなく、裏の偽装すらする必要もない」

例えば、人民解放軍総参謀部から派遣された中国大使館の駐在武官が、普通の「外交官」として首相官邸の中に白昼堂々と出入りする。あるいは、国会議員の中国出張時に、「スパイ行為」が疑われる中国共産党員を随行員に起用したり、党の“人材不足”を理由に、国会議員の秘書として素性不詳の中国人に名刺を持たせ、日本の重要な情報に接することの出来る地位につけるなどの行為は日常茶飯事。その脇の甘さは、中国への機密情報の「筒抜け政権」と呼んでも良い状況にある。

現実に昨年7月から11月にかけて、同じ東京・永田町の衆参の議員会館で、中国国内からと思われる国会議員のメールがウイルスに感染し、外国へ情報が送られたとされる「サイバーテロ事件」が起きた。にもかかわらず、議員会館では、最近こんな出来事が起きていたという。

「民主党政権誕生後に開館した議員会館では、実は民主党の“事業仕分け”と同様の理由でコストを下げるために入札制度で、民間会社にビルのメンテナンスや清掃を任せている。人の往来が少ない早朝、秘書がちょっと部屋を出た隙に清掃員がこっそりと国会議員の機密書類を見ていたことがあった、というのです。議員会館側は清掃員の身元確認はしないので、中国人が紛れ込んでもわかりません」(民主党議員秘書)

他にも「基本的に通行証の必要な議員会館地下の議員ポストに中国人が手紙やビラを直接投函している」など、類似のケースを耳にすることは後を絶たない。

このように「中国人スパイ」側から見ると「隙だらけ」の民主党政権の機密情報。外部からネット経由で侵入出来ると同時に、議員会館の事務所にも直接人が潜り込み、情報が盗まれているというのだから、インテリジェンス的には背筋が寒くなるような話だ。
日本に滞在する中国系メディアに対する彼らの警戒感も薄い。例えば中国共産党直轄下に置かれる人民日報社は、日本に記者を常駐させるだけでなく、「人民日報 海外版日本月刊」という月刊誌を発行。取材のため、民主党議員と頻繁に接触している。

ある自民党ベテラン議員秘書はこう語る。

「『人民日報日本月刊』という雑誌では、“親中派”と呼ばれる日本の民主党議員を登場させ、過去には江田五月元法相らが表紙とインタビューで掲載されている。同誌編集長は始終国会議員会館に来ては、情報収集をしています。かつて自民党政権時代にも親中派はいましたが、国会議員が会う中国人の身元は、すべて外事公安警察を通じてしっかりと調べていた。現政権では、その基本の調査すらしない。少なくとも、今のように堂々と、永田町の中枢に入るという事態は自民党政権時代にはあり得なかったことです」

つまり、「中国人スパイ」たちは、情報の危機管理の壁がまったく存在しない日本政治中枢の永田町を、大手を振って闊歩していたのだ。「スパイ防止法」など彼らから身を守る術を持たず、「スパイ天国」と呼ばれた日本は、文字通りスパイたちが猖獗を極める状態になっている。

古今東西、その国の国会議員の国家・国益への危機意識の低さは、インテリジェンス面での危機管理の甘さと正比例する。民主党政権が今回の事件を契機に、真摯に問題点を反省せず、その対策を怠れば、再び「第2、第3の中国人スパイ」が、日本に姿を現わすことは間違いないだろう。

2012年7月26日木曜日

やる事やらないで情報漏らし愚党の民主党

“病院に残され死亡”検証へ
7月26日 6時35分

政府は、東京電力福島第一原子力発電所の事故で、
寝たきりのお年寄りが病院に取り残されるなどして死亡したことから、
当時の状況を検証するとともに、
避難の段取りや病院と関係機関との連絡体制を検討することになりました。

政府の原発事故調査・検証委員会の最終報告では、
福島県大熊町の双葉病院と、系列の施設で、
原発事故の混乱の中、寝たきりのお年寄りが病院に取り残されたうえ、
バスでの移動を長時間強いられるなどして、
去年3月だけで合わせて50人が亡くなり、
この問題を検証すべきだと指摘しています。
これについて、政府は、細野原発事故担当大臣が
「政府として、もっとやれたことがあったのではないかと反省した」と述べるなど、
原発事故の対応に追われ、
避難が必要な人たちへの配慮が後回しになった面は否めないとして、
対策を検討することになりました。
具体的には、避難を求められた病院などに聞き取り調査を行い、
寝たきりのお年寄りなどの避難状況を検証するとともに、
避難の手段や段取り、病院と、国や県、自衛隊などの関係機関との
連絡体制を検討するとしています。
政府は、できるだけ早く対策をまとめ万全の避難態勢を築きたいとしています。

首相 人事報道巡り厳重注意へ
7月26日 0時17分

民主党の城島国会対策委員長は、記者団に対し、
「原子力規制委員会」の人事案が、
先週、国会に提示される前に報道されたことを受けて、
野田総理大臣が、藤村官房長官らに対して、
文書で厳重注意を行う方向で調整が進められていることを明らかにしました。

原子力の安全規制を一元的に担う「原子力規制委員会」の人事案について、
政府は国会の同意を得るために、先週20日に提示することにしていましたが、
人事案が事前に報道され、与野党が反発したことから、提示は見送られました。
これについて、民主党の城島国会対策委員長は、記者団に対し、
政府の情報管理に問題があったとして、
野田総理大臣が、藤村官房長官と細野原発事故担当大臣に対して、
文書で厳重注意を行う方向で調整が進められていることを明らかにしました。
そのうえで、城島氏は人事案について、
「あすの夕刻くらいには、改めて国会に提示できる方向だ。
人事案の内容に変更はない」と述べました。

2012年7月20日金曜日

北陸銀行とマネーロンダリングとテロ麻薬関与

HSBC資金洗浄、テロ・麻薬の関与濃厚

米報告書、北陸銀の対応批判

 
  米上院の国土安全保障・政府問題委員会の常設調査委員会が
17日にまとめた報告書で、
英大手銀行HSBCが国際的なマネーロンダリング(資金洗浄)に関与した
舞台裏が生々しくあぶり出された。
 同行のテロや麻薬取引への関与が濃厚になり、
関係先はメキシコや中東の現地法人に加えて日本の北陸銀行にも及んだ。
北陸銀のケースを中心に何が起きたのかをたどってみた。
画像の拡大
米議会上院小委員会の公聴会に出席したHSBC幹部ら(17日、ワシントン)=ロイター
画像の拡大
米議会上院小委員会の公聴会に出席したHSBC幹部ら(17日、ワシントン)=ロイター
 

  2008年6月、ニューヨーク州にある米国HSBC銀行の決済センターを
内偵した米通貨監督庁(OCC)の2人の調査官は目を見張った。
「山のように」積まれたトラベラーズチェック(旅行小切手=TC)を発見したからだ。
疑惑の本格的な糸口をつかんだ瞬間だった。
 

  大量のTCはロシア系企業が北陸銀に持ち込んだ後、
米国HSBCの手元に送られてきた。
総額は11万ドル(約870万円)相当と多額だ。
200枚を超える連番、署名は乱雑で判読不能だ。
 不審に思った調査委は追及を進めた。
北陸銀に入れるTCが1日50万ドル超と異常な水準になることも珍しくない。
「トカレンコ」という名の謎の中心人物も浮かんだ。
 トカレンコ氏は、ロシアの銀行が発行したTCを日本の地銀に入れて
「洗浄」した現金をロシアに還流させたのか。
誰でも銀行窓口で購入でき追跡が難しいTCは洗浄に悪用されやすい。
ロシアをテロ資金の温床とみる調査委は「(危険信号の)赤旗」を振った。
 調査委の情報開示の要請はHSBCの東京支店を通じて北陸銀に伝えられた。
だが北陸銀は顧客情報秘匿のため、
TCの顧客が中古車販売に関わる業者である
といった部分的な情報しか伝えてこない。
 業を煮やした調査委は北陸銀に直接接触したが納得のゆく回答はない。
「なぜロシアでの中古車事業にドルを用い、
北陸銀の情報がこうも乏しいのか」(調査委)
 HSBCの協力姿勢も煮え切らない。
「日本の狭い地域金融界での悪評がたつ」。
調査委はHSBC担当者の言葉を引き合いに、
なれ合いともとれるHSBCの態度に疑問を投げかける。
 報告書は北陸銀の資金洗浄への関与や作為について
慎重に判断を留保しつつも、
対策の不備や情報開示に強い批判をにじませている。
北陸銀が処理したTCは総額3億ドルと巨額で疑念がつきまとう。
 米上院にとってHSBCの案件がより深刻だったのは、
麻薬取引とイランなど中東テロ活動への関与疑惑が濃厚なこと。
 HSBCのメキシコ現法(HBMX)は
07~08年の2年間に70億ドルを米国HSBCに送金した。
調査委は同国での麻薬取引や犯罪、資金洗浄の可能性が高いことを踏まえ、
犯罪組織がHBMXを使ってドルを米本土に移す「洗浄」
をしていたのではないかと指摘。
 中東を巡っても調査委は、
HSBCとサウジアラビアの最大手銀行アルラジとの緊密な関係を問題視。
報告書は同行の所有者の何人かは
国際テロ組織アルカイダとのつながりを指摘した。
 強力な調査権限を持つ米上院は
今回の報告書でこれらのほかにも広範な関与事例を公表している。
米からみればHSBCは資金洗浄のための
世界的なドル供給のハブ(中継拠点)ともいえる構図が浮かぶ。
米議会の「虎の尾」を踏んだ格好となった。

2012年7月17日火曜日

今は昔の妄想か紳士の国 イギリス中央銀行すら不正世界

LIBOR 英中銀指示と認識
 

LIBORと呼ばれる短期金利の国際的な指標がゆがめられていた問題で、
巨額の罰金を科されたイギリスの大手銀行、
「バークレイズ」の前の経営幹部が、議会の委員会に出席し、
「中央銀行からの指示だと信じて不正な報告を命じた」と証言しました。

ロンドン市場で銀行どうしが資金を貸し借りする際の金利を集計した指標、
「LIBOR」を巡っては、
バークレイズが、不正な報告によってこれをゆがめていたとして、
先月、巨額の罰金を科せられました。
  これについてバークレイズのデルミシエ前最高執行責任者は16日、
イギリス議会の特別委員会に出席し、
いわゆるリーマン・ショック直後の、4年前に、
不正な報告を担当者に指示していた経緯を証言しました。
  この中でデルミシエ氏は、
「中央銀行であるイングランド銀行からの指示だと信じていた」と述べました。
当時、イングランド銀行のタッカー副総裁が、
バークレイズの幹部と電話で連絡を取っており、
デルミシエ氏は、銀行の経営に問題があるように見えないよう
実態より低く金利を報告することを
中央銀行が求めていると認識していたことを明らかにしました。
  そのうえで「中央銀行の指示だと考えれば不適切な行為だとは
思わなかった」と述べました。
この問題で、イングランド銀行のタッカー副総裁は、
先週の議会証言で、
「銀行側に不正を指示したり、示唆したりしたことは一切なく、
電話でのやり取りが誤解されただけだ」と述べています。

2012年7月11日水曜日

責任の所在明記しなぃ原発事故調に海外は批判

原発事故、文化のせい? 国会報告書に海外から批判
 東京電力の福島第一原発事故をめぐる国会の事故調査委員会の
英語版の報告書が「根本原因は日本に染みついた習慣や文化にある」
などと記したことについて、
英米メディアから「事故の本質を見誤らせる」と批判が出ている。
 米ブルームバーグ通信は8日、
「不満が残る報告書」という社説を配信。
内容の詳細さや、「人災」と断定したことを評価しつつも、
「誰がミスを犯したのかを特定していない」と指摘。
「集団主義が原因」「(責任ある立場に)他の日本人が就いていたとしても、
同じ結果だった可能性は十分ある」といった記載については
「責任逃れで陳腐な言い訳」と手厳しかった。
 日本に詳しい、コロンビア大のジェラルド・カーティス教授も
英紙フィナンシャル・タイムズへの寄稿でこうした記述に言及。
「文化によって行動が決まるのならば、誰も責任を取らなくてよい。
問題は人がした選択であり、その文化的背景ではない」と主張した。

2012年7月10日火曜日

安全対策3年後 なのに大飯原発フル稼働


大飯原発 3号機フル稼働も課題山積

残された課題は山積    7月9日  20時55分

  大飯原発では大津波に備える対策が取られましたが、
メルトダウンのような深刻な事故が起きたあとを想定した
長期間かかる安全対策については道半ばです。
例えば、福島第一原発の事故で対策の拠点となった施設「免震事務棟」や、
放射性物質が放出する深刻な事故に備えて、フィルターのついたベントの設備は、
およそ3年後までに設置される予定です。
  
 福井県にある大飯原子力発電所では「フル稼働」に達した3号機に続き、
4号機でも、運転再開に向けて準備作業が進められていて、
関西電力は、今月18日の夜に原子炉を起動することを決めました。
4号機は、早ければ25日に「フル稼働」に達する見通しです。

大飯原発では、9日、「フル稼動」に達した3号機に続き、
4号機でも運転再開に向けて発電用のタービンにつながる配管の洗浄などの
準備作業が進められています。

ニュース画像

また、メルトダウンが起きたあとの原発の安全対策を評価する「ストレステスト」の
「2次評価」について、電力会社は、
去年12月の期限を過ぎても結果を提出していません。
こうしたなかで全国のほかの原発48基の運転の再開は見通しが全く立っていません。
政府は、
停止中の原発について安全性を確認してから運転を再開させたい考えですが、
再開の判断の前提となるストレステストについて、
国の原子力安全・保安院が審査を終えたのは、
四国電力の伊方原発3号機だけです。
また国の原子力の安全規制を一元的に担う新たな組織、
「原子力規制委員会」が発足すれば、
運転再開を判断する「国の暫定的な基準」も見直されることになっていて、
ほかの原発の再開は不透明な状況です。

ニュース画像

2012年7月9日月曜日

党首討論で自民谷垣の無能無策が判明

谷垣氏、予定より15分早く質疑終了  2012/7/9 20:21 日経web
 自民党の谷垣禎一総裁は一体改革関連法案の民自公3党合意の後、初めて首相との国会論戦に臨んだが、予定していた45分間の質問時間を15分早く終えた。最大の課題である早期の衆院解散に関して、首相に否定的な発言を許すなど、4月11日の党首討論以来、3カ月ぶりの直接対決で詰めの甘さが目立った。
 「何を言っているかよく分からない」「曖昧模糊(もこ)とした回答だ」。質疑終了後、谷垣氏は首相の答弁を批判した。自身が30分間で質問を終えたことに関しては「押し問答してもしょうがないと思った」と述べるにとどめた。
 自民党は延長国会で、3党合意した一体改革法案の早期成立を優先する考え。首相への問責決議案提出などで対決ムードを高めるのは、民主党と協力して法案を成立させた後というのが執行部の方針だ。法案が参院で審議入りする前の段階では「対決姿勢はとりにくい」との声もあり、谷垣氏の姿勢にも影響したようだ。
 ただ、党内では厳しい声が広がった。「一体改革の生殺与奪は谷垣総裁、自民党が握っているという強い姿勢を発しなければならない」。質疑直後の9日昼、小泉進次郎青年局長は党内の会合で不満を表明した。党幹部の一人は「30分で終えるとは寝耳に水だ」と不快感を示したほか「首相と何か密約でもあるのか」といぶかしむ声も上がった。
 自民党内では若手を中心に対決姿勢を求める声がある一方、ベテラン議員からは「解散を急がなくてもいい」との意見もある。党幹部からは「このタイミングで谷垣氏が質問に立っても中途半端になる」との声も事前に上がっていたという。

いじめ自殺共犯者の大津市教員と教育委員会

   体育大会でリンチ…自殺中2いじめ、138回答
大津市で昨年10月、市立中学2年の男子生徒(当時13歳)が自殺した問題で、市教委が自殺直後に全校生徒(約860人)に行ったアンケートの回答からは、生徒が受けた激しいいじめの実態や、心配する同級生らの前で平静を装って耐える様子などが浮かび上がってくる。
 市教委は、いじめを示す回答計335件の半数近くを「確証が持てなかった」として公表していなかった。いじめを止められなかった学校側の対応に、改めて批判が集まりそうだ。
 回答のうち「暴力」に関する記述は138件あり、「トイレで殴られた」「廊下でおなかを蹴られた」「鉢巻きで首を絞められた」「体育大会で集団リンチのようなものにあっていた」などと書かれていた。
 「金銭要求」は13件、「万引きをさせられた」が11件。自殺の練習をさせられるといった「暴言・嫌がらせ」は173件で、「おまえの家族全員死ね」と言われたり、ハチの死骸を食べさせられそうになったりし、顔に落書きされたとの回答もあった。
 昨年の夏休み明けから始まったとみられるいじめは、次第に激しくなり、生徒の異変に気付いた同級生もいた。「いじめられているのを隠すかのように、つらそうな笑顔をしているのを何度も見た」「口数が減っていたような気がした」などのほか、「2学期の中間テスト(死亡の直前)の頃、極端に元気がなかったので心配した」との記述も。
 生徒は、目の下にできた青あざについて「自分で殴った」と説明。同級生には「大丈夫」と言って平静を装っていたという。
 一方、回答からみえる学校側の対応はほとんど無策だった。「(生徒が)担任に泣きながら電話したが、翌日、担任から、加害者とされる生徒らの前で『大丈夫か』と尋ねられ、『大丈夫』と答えていた」とした後、「いじめている人の前で聞くのはおかしい」との教師批判も書かれていた。
 教諭らが「見て見ぬふり」をしていたとの指摘は、伝聞で15件。生徒への暴力やいじめは教室、廊下、校庭など人目に付きやすい場所でもあったとされるが、生徒からのSOS、同級生らが気付いた生徒の異変は学校側に届かなかったようだ。
 いじめを示す回答335件のうち、昨年11月に市教委が記者会見で明らかにしたのは、同級生らが実際に見聞きし、記名があった内容のみで、約半数。市教委は「伝聞や無記名の回答は追跡調査が難しかった。加害者とされる生徒に、教育的配慮から確認できなかった内容もある」としている。
2012年7月9日16時03分 読売新聞)
 

2012年7月7日土曜日

国会に設置された原発事故調査委員会

国会事故調 どう責任を追及したか

7月6日 21時50分
「自然災害」でなく「人災」。
国会に設置された原発事故調査委員会は、報告書で、東京電力福島第一原子力発電所の事故原因をこのように結論づけました。
事故原因の解明と共に、責任の所在を明らかにすることを目指した調査委員会の報告書の内容、そして、この報告書が今後、どのように扱われるのか。

国会事故調とは

国会の原発事故調査委員会は、政府から独立した立場で、事故原因や事故後の対応を究明するため、法律に基づき、去年12月に設置されました。
委員長には、黒川清元日本学術会議会長が就任。
民間人で作る調査機関が国会に設置されるのは、憲政史上初めてです。
ニュース画像

事故調の活動

調査委員会は20回の委員会を開き、合わせて38人の参考人を招いて質疑を行いました。
私は、20回の委員会を全て傍聴してきました。
ことし5月14日の委員会では、東京電力の勝俣前会長が参考人として招致されました。
委員が「平成18年に、原発に津波が来たら全電源喪失の可能性があるという情報があった。事前に知らなかったのか」と追及しました。
これに対し、勝俣氏は「事故後に初めて聞いた。大きな反省事項かもしれない」と述べ、事故を回避できる可能性を逃していたことを明らかにしました。
ニュース画像
このとき、黒川委員長が記者会見で、「勝俣氏ら経営陣が、津波が来た場合の電源喪失という重大なリスクを経営に反映しなかった責任は問われるのではないか」と述べ、責任の所在を明らかにしようという姿勢を鮮明にしたのが強く印象に残っています。
5月28日の委員会では、菅前総理大臣が招致されました。
委員が事故直後の総理大臣官邸での状況について尋ねると、菅氏は「現場の状況について、情報が上がって来ず、手の打ちようがない怖さを感じた」などと述べ、政府の情報集約が機能していなかった状況を明らかしました。

報告書では

【事故は「人災」】
報告書では、今回の事故について、「これまで何回も対策を打つ機会があったにもかかわらず、歴代の規制当局と東京電力の経営陣が、それぞれ意図的な先送り、不作為、または、自己の組織に都合のよい判断を行うことによって、安全対策がとられないまま、3月11日を迎えたことで発生した」としています。
さらに、歴代の規制当局と東京電力の関係について、「規制する立場と、される立場の『逆転関係』が起きた結果、原子力安全の監視・監督機能が崩壊していたとみることができる」としています。
そのうえで、「何度も事前に対策を立てるチャンスがあったことに鑑みれば、今回の事故は『自然災害』ではなく、明らかに『人災』である」と結論づけました。
ニュース画像
【東京電力と規制当局の構造的問題】
事故を起こした東京電力については、「規制された以上の安全対策を行わず、事故対応では現場よりも官邸の意向を優先して混乱を招くなど、経営陣の姿勢は、原子力を扱う事業者としての資格があるのか疑問だ」などと厳しく批判しています。
そのうえで、「官邸の過剰な介入などを責められる立場にはなく、むしろ事故対応の混乱を招いた張本人だ」として、「東京電力の経営陣の姿勢は、原子力を扱う事業者の資格があるのか疑問を持つ」と指摘しています。
一方、原子力安全・保安院など、国の規制当局に対して、「専門性の欠如などから、事業者の虜となり、事業者の利益を図ると同時にみずからの責任を回避してきた。原子力の推進官庁や電力会社からの独立性も形骸化し、その能力においても国民の安全を守るには程遠いレベルだった」としています。
そして、「規制する立場とされる立場の『逆転関係』が起き、規制当局は、電力事業者の虜となっていた」と指摘し、今回の事故の背景には、原子力発電を巡る国と事業者の癒着体質、なれ合い構造があったと指摘しています。
【官邸介入が混乱を拡大】
また、当時の総理大臣官邸の対応について、「官邸による発電所の現場への直接的な介入が、現場対応の重要な時間を無駄にするだけでなく、指揮命令系統の混乱を拡大する結果となった」と指摘しています。
その具体例として、事故現場で指揮をとった吉田前所長が、「本店が、(海水注入を)止めろというなら議論ができるが、全然、わきの官邸から電話がかかってきて止めろというのは何だ。電話だから十分な議論ができない。指示命令系統がムチャクチャで、もう最後は自分の判断だと思った」などと証言していることも紹介しています。
ニュース画像
【全面撤退は?】
今回の事故では、菅前総理大臣ら当時の政権幹部は、東京電力から「作業員全員の撤退を打診された」という認識を示していますが、東京電力側は、打診していないと主張しており、双方の言い分が食い違っています。
これについて、報告書は「発電所の現場は、全面退避を一切考えておらず、東京電力本店でも退避基準の検討は進められていたが、全面退避が決定された形跡はない」としています。
そして、「『全面撤退』の問題は、清水元社長の曖昧な相談と、海江田元経済産業大臣ら総理大臣官邸側の東京電力に対する不信感に起因する行き違いから生じたものと考えられる」としたうえで、「菅前総理大臣が『全面撤退』を阻止したという事実は認められない」と結論づけています。
さらに報告書では、菅氏が東京電力本店を訪れた際の発言について、「東京電力の記録では、『被害が甚大だ。このままでは日本が滅亡だ。撤退などありえない。命懸けでやれ。逃げてみたって逃げ切れないぞ。60歳になる幹部連中は現地に行って死んだっていいんだ。俺も行く』などと激しい口調で演説を行った」と明らかにしています。
ニュース画像
【事故原因は地震か津波か】
福島第一原発の事故の直接的な原因については、東京電力が、先月みずからまとめた最終の調査報告で、「想定を超える津波」が主な原因だとして、解析などを根拠に現時点では、安全上重要な機器への地震の影響はなかったとしています。
これに対し、報告書は、専門機関の解析や当時の運転員の操作状況などから、「安全上重要な機器への地震による損傷がないとは確定的に言えない」として、調査や検証といった実証なしに津波だけに原因を限定すべきではないとしました。

提言

報告書では、今回の事故の教訓を生かすため、提言も行っています。
この中では、国民の健康と安全を守るため、国会に原子力の問題に関する常設の委員会を設置すべきだとしています。
また、報告書で扱わなかった原子炉の廃炉の道筋や、使用済み核燃料の問題などを取り扱うため、国会に専門家からなる第三者機関として独立調査委員会を設置することを提案しています。
そして、国会に対して、「提言の実現に向けた実施計画を速やかに策定し、進捗状況を国民に公表することを期待する」と国会の速やかな対応に期待を示しています。
ニュース画像

政界の受け止めは

菅前総理大臣は「総理大臣官邸の事故対応に対する評価や、東京電力の撤退を巡る問題など、いくつかの点について、私の理解とは異なるところがある」というコメントを出しました。
自民党の谷垣総裁と公明党の山口代表は、国会が独自に設けた機関の報告書であり、国会でしっかり質疑すべきだという認識で一致しました。
また、与野党双方から、この報告書でほかの原発の安全性にも疑問が生じたとして、その是非を検証する必要があるなどという指摘も出ています。
ただ、民主党内では、「政治に介入しすぎている」という指摘や「政治的中立性に疑問がある」などという声も出ています。
報告書をどのように取り扱うか、法律に規定はなく、国会の判断に委ねられています。
委員会の指摘や提言をどのように生かすのか、原発の再稼働や規制組織の在り方が国民の注目を集めているなか、政治の取り組みが問われています。

2012年7月6日金曜日

東電と政府の手抜き原発事故 人災の福島原発事故報告書

事故調報告書の取り扱い議論へ
7月6日 4時2分


国会の原発事故調査委員会は、5日、東京電力福島第一原子力発電所の事故について、「自然災害」ではなく、明らかに「人災」だと指摘する報告書をまとめました。
自民・公明両党は、報告書の内容を国会で質疑すべきだとするなど、今後、報告書の取り扱いを巡る議論が活発化する見通しです。

国会の原発事故調査委員会は、5日、福島第一原発の事故について、歴代の規制当局と東京電力の経営陣の安全への取り組みを批判し、何度も事前に対策を立てるチャンスがあったことに鑑みれば、今回の事故は「自然災害」ではなく、明らかに「人災」であるとする報告書を、衆参両院の議長に提出しました。
これについて、自民党の谷垣総裁と公明党の山口代表は、5日夜の会談で、国会が独自に設けた機関の報告書であり、国会でしっかり質疑すべきだという認識で一致しました。
また、与野党双方から、この報告書で原発の運転再開の根拠が揺らいだとして、その是非を検証する必要があるなどという指摘も出ています。
一方、民主党内では「民主党政権だけの問題ではなく、歴代の政権が責任を負わなければならないことが明確になった」などという意見のほか、「政治に介入しすぎている」として、不快感を示す声も出ています。
報告書は、国会に対して、規制当局を監視する目的で、原子力の問題に関する常設の委員会を設置すべきだなどと提言しており、今後、その取り扱いを含め、議論が活発化する見通しです。

事故調 菅前首相“人災認識は共通”
7月5日 19時25分

国会の原発事故調査委員会の報告書について、菅前総理大臣は「事故の根源的原因として、歴代の規制当局と東京電力で『何度も事前に対策を立てるチャンスがあったことに鑑みれば、今回の事故は自然災害ではなく、明らかに人災である』と指摘している点は、今まで私が述べてきた認識と共通するものだ。一方で、総理大臣官邸の事故対応に対する評価や、東京電力の撤退を巡る問題など、いくつかの点について私の理解とは異なるところがある。事実関係をより一層明らかにするためには、東京電力のテレビ会議の記録など、客観的な記録の全面公開が不可欠だ。事実関係のより一層の究明が進むことを期待する」というコメントを出しました。

国会事故調 “明らかに人災”
7月5日 14時16分

東京電力福島第一原子力発電所の事故原因などの解明に取り組んできた国会の原発事故調査委員会は、5日、報告書をまとめ、衆参両院の議長に提出しました。
報告書は、歴代の規制当局と東京電力の経営陣の安全への取り組みを批判し、何度も事前に対策を立てるチャンスがあったことに鑑みれば今回の事故は「自然災害」ではなく、明らかに「人災」であるとしています。

国会の原発事故調査委員会は、5日、国会内で20回目の委員会を開いて、641ページにおよぶ報告書を取りまとめ、黒川委員長が横路衆議院議長と平田参議院議長に提出しました。
報告書では、今回の事故について、歴代の規制当局と東京電力の経営陣がそれぞれ意図的な先送り、不作為、または自己の組織に都合の良い判断を行うことによって、安全対策が取られないまま3月11日を迎えたことで発生した。
何度も事前に対策を立てるチャンスがあったことに鑑みれば、今回の事故は「自然災害」ではなく明らかに「人災」であるとしています。
また、事故当時の総理大臣官邸の対応について、発電所の現場への直接的な介入が現場対応の重要な時間をむだにするだけでなく、指揮命令系統の混乱を拡大する結果となったなどと指摘しています。
そして、国民の健康と安全を守るために規制当局を監視する目的で、国会に原子力の問題に関する常設の委員会を設置すべきだと提言しています。
一方、事故の直接的な原因について、報告書では、「安全上重要な機器への地震による損傷がないとは確定的に言えない」として、津波だけに限定すべきではないと指摘するとともに、特に1号機については、小規模な配管破断などが起きて原子炉の水が失われる事故が起きるなど地震による損傷があった可能性は否定できないと指摘しています。
そのうえで、未解明の部分が残っており、引き続き第三者による検証が行われることを期待するとしています。

黒川委員長“提言着実に実行を”

国会の原発事故調査委員会の黒川委員長は、記者会見で、「提言を一歩一歩、着実に実行し、不断の改革の努力を尽くすことこそ、国民から未来を託された国会議員や国会、国民1人1人の使命だと確信している。
原発事故はまだ終わっておらず、提言の実現に向けた第一歩を踏み出すことこそ、事故によって日本が失った世界からの信用を取り戻し、国に対する国民の信頼を回復するための必要条件だと確信している」と述べました。

事故調“官邸の介入が混乱を拡大”
7月5日 17時17分

国会の原発事故調査委員会は、東京電力福島第一原子力発電所の事故の報告書で、当時の総理大臣官邸の対応について、「原子力安全・保安院の機能不全、東京電力の情報不足が、結果として官邸と東京電力の間の不信を募らせ、総理大臣が発電所の現場に直接乗り込み、指示を行う事態になった」としています。
そして、「その後も続いた官邸による発電所の現場への直接的な介入が、現場対応の重要な時間をむだにするだけでなく、指揮命令系統の混乱を拡大する結果となった」と指摘しています。
また、東京電力の対応については、「官邸の顔色をうかがいながら、むしろ官邸の意向を現場に伝える役割だけの状態に陥った」としています。
そして、「事故の進展を止められなかった、あるいは被害を最小化できなかった最大の原因は、官邸と規制当局を含めた危機管理体制が機能しなかったことや、緊急時の対応で事業者と政府の責任の境界があいまいだったことにある」と結論づけています。

事故調 事故教訓に「7提言」
7月5日 16時53分

東京電力福島第一原子力発電所の事故原因などの解明に取り組んできた国会の原発事故調査委員会は、報告書で、今回の事故の教訓を生かすため、7つの提言を行っています。

報告書の中では、
▽国民の健康と安全を守るため、国会に原子力の問題に関する常設の委員会を設置すべきだとしています。
そのうえで、
▽政府の危機管理体制を抜本的に見直すため、指揮命令系統の一本化を制度的に確立することや、事故が起きた際の発電所内の対応について、一義的には事業者の責任とし、政治家による場当たり的な指示や介入を防ぐ仕組みを構築することを求めています。
さらに、
▽被災地の環境を長期的・継続的に監視しながら住民の健康と安全を守り、生活基盤を回復するため、政府の責任で住民がみずから判断できる材料となる情報開示を進めるなどの対応を早急に取る必要があるとしています。
また、
▽東京電力は、経済産業省との密接な関係をもとに原子力の規制当局の意思決定に干渉してきたとして、電力会社が規制当局に不当な圧力をかけることがないよう、厳しく監視すべきだとしています。
一方、
▽規制組織については、国民の健康と安全を最優先とし、常に安全の向上に向けてみずから変革を続けていく組織になるよう抜本的な転換を図るべきだとしています。
このほか、
▽世界の最新の知見を踏まえた形で、原子力関係の法律や規制を抜本的に見直すことや、
▽報告書で扱わなかった、原子炉の廃炉の道筋や使用済み核燃料の問題などを取り扱うため、国会に専門家からなる第三者機関として独立調査委員会を設置することを提案しています。
事故調査委員会は、国会に対し、「提言の実現に向けた実施計画を速やかに策定し、進捗状況を国民に公表することを期待する」としています。

2012年7月5日木曜日

東電福島原発事故は 人災  日経新聞記事

原発への監督機能「崩壊していた」 国会事故調   東電とのなれあい批判    2012/7/5 22:58
 

  国会の東京電力福島原子力発電所事故調査委員会(黒川清委員長)は5日発表した最終報告書で、原発の安全性を高める規制の先送りを働き掛けた東京電力と黙認した規制当局のなれあいの関係を厳しく批判した。原発に関する情報や専門性で優位に立つ東電に当局が取り込まれ「監視・監督機能が崩壊していた」と指摘。事前に対策を立てずに被害拡大を許した「根源的原因」と断じた。
 「規制当局は電力事業者の『虜(とりこ)』となっていた」。報告書は東電と経済産業省原子力安全・保安院や内閣府原子力安全委員会との関係を経済学用語の「規制の虜」で説明した。規制される側が情報を独占し、規制する側を言いなりにしてしまう状況だ。
 国会事故調によると、東電は原発の安全性を高める規制の導入に対して原子炉の稼働率低下や安全性に関してこれまで積み上げてきた主張を維持できなくなる「訴訟リスク」を懸念した。こうした事態を避けるため、情報の優位性を武器に電気事業連合会などを通じて当局に規制先送りや基準軟化に向けた強い圧力をかけてきたという。
 東電よりも専門性で劣る保安院や安全委も過去に安全と認めた原発での訴訟リスクを恐れた。保安院自体も原子力推進官庁である経産省の一部だったため、東電に取り込まれたと分析した。
 たとえば2006年に新指針で全国の原子力事業者に耐震安全性評価(バックチェック)の実施を求めたが、東電では進まなかった。東電や保安院は耐震補強工事が必要と認識しながら福島第1原発1~3号機で工事をせず、保安院は大幅な遅れを黙認したという。
 事故直後の対応では、東電経営陣、規制当局、首相官邸のいずれも「準備も心構えもなく、被害拡大を防ぐことができなかった」と厳しく責任を追及した。過去の事故の規模を超える災害の備えが無い保安院は原子力災害対策本部の事務局の役割を果たせなかった。
 東電本店も的確な情報を官邸に伝えて現場を技術支援する役割を果たせなかった。国会事故調は「官邸の顔色をうかがい官邸の意向を現場に伝える役割だけの状態」と指摘。機能不全の保安院と情報不足の東電に不信感を強めた官邸では、当時の菅直人首相が発電所に直接乗り込み指示する事態になった。その菅氏の判断も「指揮命令系統の混乱を拡大する結果となった」と非難した。
 菅氏は5日、報告書に対して「官邸の事故対応に対する評価や東電の撤退を巡る問題などで私の理解とは異なる」との談話を発表。事故対応の検証のため、東電に対してテレビ会議記録など一層の情報開示を求めた。

原発安全策の先送り追及 国会事故調報告「地震で損傷も」    2012/7/6 1:40
 

  国会の東京電力福島原子力発電所事故調査委員会(黒川清委員長)は5日、最終報告書をまとめ衆参両院議長に提出した。事故は「自然災害ではなく明らかに人災だ」と明記。東電と、経済産業省原子力安全・保安院など規制当局の「不作為」による安全対策の先送りが深刻な事態を招いたと指摘した。津波だけでなく地震の揺れで原発が損傷した可能性にも触れた。
 事故の根源的な原因が「2011年3月11日の地震発生以前に求められる」との見方を示した。福島第1原発は「地震にも津波にも耐えられる保証がない、脆弱な状態だったと推定される」としたうえで「何回も対策を打つ機会があったにもかかわらず、歴代の規制当局と東電経営陣が安全対策を取らないまま」だったと判断した。
 東電については「常により高い安全を目指す姿勢に欠け、原子力を扱う事業者としての資格があるのか」と厳しく批判した。
 緊急時の対応に関して「首相官邸、規制当局、東電経営陣には準備も心構えもなく、被害拡大を防ぐことはできなかった」と強調。「官邸と規制当局を含めた危機管理体制が機能しなかった」「事業者(東電)と政府の責任の境界があいまいだった」を理由に挙げた。
 事故の直接的な原因が津波とする東電の主張には疑問を投げかけた。「安全上重要な機器の地震による損傷はないとは確定的には言えない」とし、特に1号機では地震による損傷の可能性が否定できないと分析した。
 調査を踏まえ、7つの提言を国会に示した。原子力規制組織を監視できるよう国会に常設の委員会を設置することや、政府の危機管理体制の見直しを求めた。未解明の事故原因や廃炉に向けた道筋、使用済み核燃料問題などを調査する民間中心の第三者機関「原子力臨時調査委員会(仮称)」の設置を促した。
 国会事故調は昨年12月に発足した。設置法は報告書を衆参両院議長に提出した後、活動を終えるとしている。両議長は報告書を内閣に送付するが、扱いに関する法律の規定はなく、国会や政府の判断に委ねている。

「原発事故は人災」 国会事故調が報告書決定
官邸の過剰介入を批判 2012/7/5 13:35 小サイズに変更中サイズに変更大サイズに変更印刷
 国会の東京電力福島原子力発電所事故調査委員会(黒川清委員長)は5日、事故の原因や対応の改善策などを盛り込んだ最終報告書を決定し、衆参両院の議長に提出した。午後に公表する。報告書は首相官邸の対応について「発電所への直接的な介入は指揮命令系統の混乱を拡大する結果となった」と明記。当時の菅直人首相らの初動対応を批判している。


横路衆院議長(右)に福島原発事故の調査報告書を手渡す国会事故調の黒川清委員長(5日午後、国会内)
関連記事
国会事故調「官邸の初動は過剰介入」 (2012/6/9 20:09)
原発撤退の混乱「伝え方に問題」 国会事故調 (2012/6/9 3:30)
東電社内の事故調、過失や責任認めず (2012/6/20 20:57)
政府事故調「東電報告書は大事な点抜けている」 (2012/6/25 21:52)
特集「福島原発事故」
 報告書は菅氏について「首相は緊急事態宣言の発出がすべての事故対応の前提になることを十分理解していなかった」と指摘。「何度も事前に対策をたてるチャンスがあったことに鑑みれば、今回の事故は自然災害ではなく、あきらかに人災だ」と結論づけた。「被害を最小化できなかった最大の原因は官邸および規制当局を含めた危機管理体制が機能しなかったこと、そして緊急時対応で事業者の責任、政府の責任の境界があいまいだったことにある」とした。
 当時の清水正孝・東電社長らが政府に福島第1原発からの「全面撤退」を求めたとされる問題でも「東電が全面撤退を決定した形跡はない」と明記した。
 政府に危機管理体制の見直しや規制当局への国会の監視など7項目の提言を盛り込んだ。
 同日の委員会で、黒川委員長は「短期間だが徹底した調査、検証を行ってきた。報告書の提言を着実に実行し、不断の改革の努力を尽くすことが、国会や国民一人ひとりの使命だ」と述べた。
 先月9日に発表した論点整理では、菅氏らが現地の発電所内と直接連絡をとった経緯などを挙げて官邸が「事故対応に過剰介入したのではないか」と指摘した。報告書でも、事故発生後の菅氏らの言動が初動対応での混乱に拍車をかけたとの見解を示した。
 国会事故調は昨年12月から調査を進めてきた。これまでに菅氏や当時の官房長官だった枝野幸男経済産業相、経産相だった海江田万里氏と、東電の勝俣恒久前会長(当時会長)、清水氏らを公開で聴取。菅氏らの聴取決定まで時間がかかったことから、当初予定していた6月中の報告書提出は7月にずれ込んだ。

政府事故調、東電の報告書批判 「大事な点抜けている」    2012/6/25 21:52
 

  政府の東京電力福島原子力発電所事故調査・検証委員会の畑村洋太郎委員長は25日に記者会見し、想定外の津波を事故原因とした東電社内の事故調査委員会の報告書について「大事なところが抜けている」と述べ、「自分たちに何か足りない部分があったと考えるのが必要な見方ではないか」と批判した。
 政府事故調は計769人にヒアリングを終え、7月23日に最終報告書を公表する。
 畑村委員長は東電の報告書について「誰かが何か決めて、それに従っていればいいんだという感じを受けた」とも指摘。損害賠償や訴訟を抱え、「ストレートにものを言える立場じゃないんだろう」と分析した。
 首相官邸が東電に過剰介入したとする国会事故調の指摘にも「あれだけ必要な情報が共有できなければ混乱はどこでも起きる」と見方が異なることを強調。「違う視点の人たちが事故を調べるのは大事なことだ」と話した。

東電社内事故調が最終報告書 過失や責任認めず    2012/6/20 20:57
 東京電力は20日、社内の福島原子力事故調査委員会(委員長=山崎雅男副社長)による最終報告書を公表した。想定外の津波と備えが不十分だったことが事故の根本的な原因だと結論づけた。政府や民間の事故調が指摘した初動時の人為ミスや想定不足について過失や責任を認めず、自己弁護が目立つ内容となっている。

東電原発事故調査委の最終報告書を公表する山崎雅男副社長(20日午後、東京・内幸町)=共同 報告書はA4判で本文352ページ。社内事故調が勝俣恒久会長や清水正孝前社長ら経営幹部を含む役員と社員約600人に聞き取り調査し、有識者による検証委員会にも意見を聞いた。
 巨大津波や浸水の恐れについて、過去に国や専門家から指摘を受けていたことは認めたが、「最新知見を踏まえて対策を施す努力をしてきた」と説明した。記者会見した山崎副社長は「結果的に甘さがあった」と述べたものの、「できる限りのことは尽くしてきた」と想定不足の責任はないと強調した。
 政府事故調が操作ミスを指摘していた1号機の非常用復水器(IC)や3号機の高圧注水系(HPCI)については「厳しい環境の中で現場職員が懸命に事故の収束にあたった」(山崎副社長)と初動対応に過失はなかったと結論付けた。
 東電本店と福島第1原発を結んだテレビ会議の映像は「プライバシーの問題が生じる」として公表しなかった。
 事故直後に作業員の全面撤退を申し出たかどうかを巡り東電と官邸とで認識が真っ向から対立しているのは「言葉の行き違いによるものだ」と指摘。官邸の現場介入については「緊急事態対応の中で無用の混乱を助長させた」と批判した。
東電社内事故調の報告書の主な内容事故の根本原因は想定外の大きさの津波だった。津波想定には結果的に甘さがあった。津波の備えが不十分だった
過去の災害や事故の知見を反映し、安全向上の取り組みを継続してきた
作業に直接関係しない者の一時退避を検討したが、全面撤退ではなかった。(全面撤退と理解した官邸とは)言葉の行き違いで誤解があった
主な放射性物質の放出は3月15日、2号機原子炉建屋から
重要機器の地震による損傷は確認されていない
 原発の北西方向に放射性物質の高汚染地域ができた最大の要因は、1号機や3号機の水素爆発やベント(排気)ではなく、昨年3月15日に2号機から出たものだと分析した。格納容器の一部が損傷したとみられているが、原因については言及しなかった。格納容器の圧力が大幅に低下し、原子炉建屋から白い煙が出て、北北西方向の風が吹き雨が降ったことを理由に挙げるにとどめた。
 地震の揺れによって原子炉の主要な機器が損傷したかどうかについては確認されていないとした。
 東電事故の報告書では、国会事故調が6月末、政府事故調が7月下旬に最終版を公表する予定。東電や政府の責任などを追及する方針だ。

「官邸の初動は過剰介入」 福島原発で国会事故調   政府に危機管理見直し求める    2012/6/9 20:09
 

  東京電力福島第1原子力発電所の事故原因を調べる国会の事故調査委員会(黒川清委員長)は9日、報告書作成に向けた論点整理を発表した。原発事故発生後、菅直人前首相(事故当時は首相)ら首相官邸内の初動対応を「オンサイト(発電所内)の事故対応に過剰介入したのではないか」と問題視し、政府に危機管理体制の見直しを求めた。
 国会事故調はこれまでに菅氏や事故当時官房長官だった枝野幸男経済産業相ら政府首脳と、東電の勝俣恒久会長、清水正孝前社長(当時社長)らから事情を聴いた。月内にも報告書をまとめ、国会に提出する。
 論点整理は、事故発生後、政府の初動対応に遅れがあったとの認識を示した。原子力災害対策特別措置法に基づき、放射能漏れや電源喪失など事業者から事故発生の通報を受け「直ちに緊急時対応を実施する体制へと移行する必要があった」と総括。しかし、実際には「通報の重要性や意味合いを十分に認識できず、事故への初動に遅れが生じたのではないか」と指摘した。
 菅氏ら官邸側による「過剰介入」として、福島第1原発の吉田昌郎前所長ら現場に状況を直接確認したことなどを挙げた。原子炉格納容器から気体を放出する「ベント」の遅れや海水注入の中断問題などを念頭に「官邸と発電所が直接やりとりする、本来予定しない情報伝達があった」と指摘。「時には場違いな初歩的な質問がされるなど、発電所で現場対応にあたるものが余分な労力を割かれる結果となった」とも批判し「頻繁に介入を繰り返し、指揮命令系統を混乱させた」と断じた。
 3月14日に東電の清水前社長らが政府に福島第1原発からの「全面撤退」を求めたとされる問題では「東電が全面撤退を決定した形跡は見受けられない」と結論付けた。
 原発周辺の被災者に向けた情報発信でも「情報発出側の責任回避に主眼が置かれ、住民の健康と安全は顧みられなかった」と政府側を批判した。

原発撤退の混乱「伝え方に問題」 国会事故調 東電前社長「全員離れるとは考えず」      2012/6/9

 東京電力福島第1原子力発電所事故を検証する国会の事故調査委員会(黒川清委員長)は8日、清水正孝東電前社長を公開で聴取した。原発からの全面撤退を申し出たとされる問題で、清水氏は改めて否定した。東電と官邸との意思疎通不足が官邸の不信と過剰な介入を招いたと事故調は指摘。国と事業者がもたれ合う中で、危機管理体制をあいまいにしてきたツケが浮き彫りになった。

  福島第1原発では昨年3月14日、3号機が水素爆発し、2号機も爆発の危険が高まった。清水氏は海江田万里元経済産業相らに電話して作業員を退避させる意向を伝え、全面撤退と受け止めた菅直人前首相は東電本店に乗り込み「撤退はありえない」と発言した。これについて清水氏は「全員が離れることは考えていなかった」と反論した。
 事故調は吉田昌郎前所長にも聴取し、東電は全面撤退を考えていなかったと判断。「官邸への伝え方が最大の問題」として、清水氏のあいまいな説明で意思疎通がうまくいかず、官邸の不信を招いたと結論づけた。
 両者が相互不信を高めた背景には、危機管理の責任の所在が不明だったことがある。問題の根は、国が原子力利用を推進して民間企業が原発事業を担う「国策民営」体制にあったと、民間の有識者が設けた福島原発事故独立検証委員会(民間事故調)は指摘した。
 事故調は6月中に最終報告書をまとめる。危機管理の不備を生んだ無責任の積み重ね。こうした「負の歴史」にどこまで踏み込めるかが焦点だ。