2012年5月28日月曜日

日経 枝野スポークスマン参考人の記事

当初から最悪の事態想定 枝野氏、事故調で強調

2012/5/27 23:44

 東京電力福島第1原子力発電所事故の原因を究明する国会の事故調査委員会(黒川清委員長)は27日、事故当時の官房長官、枝野幸男経済産業相を招致した。枝野氏は事故後の状況や政府対応などの情報発信に関して「情報の集約、その後の予想や想定ができなかったことを反省しないといけない」と述べ、不十分だったと認めて陳謝した。


 枝野氏への聴取は公開された。東電の第1原発からの「撤退」問題では、清水正孝社長(当時)が枝野氏に電話をかけ、全面撤退と受け取れる言動をしたと説明。全面撤退を前提にした枝野氏の質問に「清水氏は口ごもった」として「部分的に残すという趣旨ではなかった」と話した。一方で第1原発の吉田昌郎所長(当時)からは電話で「まだやれます。頑張ります」との報告を受けたと述べた。

 首相だった菅直人氏が第1原発の視察を強行したことについては、視察前に「抽象的、感情的な政治的批判は免れないと進言した」と述べた。

 枝野氏は経産省原子力安全・保安院が事故直後から首相官邸の指示で「炉心溶融(メルトダウン)」の表現を使わなくなったとの見方には「言うなと言ったことはない」と否定。「炉心が溶けているのは間違いない。大前提で議論してきた」とも語り、初期段階から最悪の事態を想定していたことを指摘した。

枝野氏、影響予測の公表遅れ「信頼損なう原因」

2012/5/27 23:42


国会事故調で証言する枝野経産相(27日午後、参院議員会館)
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国会事故調で証言する枝野経産相(27日午後、参院議員会館)

 27日開いた国会の東京電力福島原子力発電所事故調査委員会(黒川清委員長)では、当時、官房長官だった枝野幸男経済産業相を交え、事故後の情報提供の検証が焦点になった。枝野氏は放射性物質の広がりを予測するSPEEDI(緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム)の試算公表の遅れに関して「(政府の)信頼を損なう大きな原因になった」と認めた。

 枝野氏によると、SPEEDIの存在を知ったのは、事故発生4日後の昨年3月15日か16日。担当者は「使えない」と説明したが、枝野氏はデータの公表を指示し、作成直後の23日に公表した。原発から放射線の向きの予測が早く公表されれば、住民が避難区域から離れる際に線量の高い地域に向かうことなどを防げたとして、政府の対応が批判されている。

 避難区域をめぐっては、枝野氏が半径10キロから20キロに拡大を発表した3月12日の記者会見で「念のために万全を期す」と発言したことなどを事故調委員が問題視した。事態を矮小(わいしょう)化して短期で自宅に戻れるなどの印象を与えたというものだ。枝野氏は「避難が長期にわたるという問題意識を私だけでなく皆さんが持っていなかった。大変じくじたる思いだ」と語った。
 事故後に繰り返した「直ちに健康に影響はない」との発言にも「『直ちに』の言い回しが政府発表への不安を助長した」との批判があった。枝野氏は(1)基準値を超える食品の摂取(2)屋内退避区域への一時的な立ち入り(3)避難が遅れた北西部の住民被曝(ひばく)――の3ケースで使ったと説明。(3)では「使い方が正しかったかは分からない」とし不適切だったと事実上認めた。枝野氏は「私の思っていたことと、被害者の受け止めとの間にずれがあった。改めて申し訳なく思っている」と語った。

 枝野氏は事故直後、東電からの情報が二転三転したことが、首相だった菅直人氏が現地視察に踏み切る理由になったことを指摘。情報伝達をめぐる東電側への不信感をたびたびあらわにした。

枝野スポークスマン担当、原発事故参考人招致

枝野氏“情報発信十分でなかった”
5月27日 18時15分


枝野氏“情報発信十分でなかった”
東京電力福島第一原子力発電所の事故の際に、政府のスポークスマンの役割を担った枝野経済産業大臣は、
国会の調査委員会に参考人として出席し、「情報を政府として集約すること、
そしてその後の予想や想定ができなかったことこそ、反省だと思っている」と述べ、
政府の情報発信が十分でなかったことを認め、陳謝しました。

国会の原発事故調査委員会は、27日、事故当時、官房長官として、政府のスポークスマンの役割を担った枝野経済産業大臣を参考人として招致して公開で質疑を行いました。
この中で、枝野氏は、政府の情報発信について、「情報発信そのものよりも情報を政府として集約すること、そしてその後の予想や想定ができなかったことこそ反省だと思っている。放射能の影響などについて、私の思っていたことと、特に被害を受けられた周辺地域のみなさんの受け止めとの間にずれがあったことは、改めて大変申し訳なく思っている」と述べました。
そのうえで枝野氏は、避難区域の設定について、「すぐに戻れるつもりで避難したものの、長期にわたり一時的にすら戻れない人がいる。避難が長期にわたるという問題意識を私だけでなく、皆さん、持っていなかったことが、結果的により大きな苦労をかけた。大変忸怩(じくじ)たる思いだ」と述べました。
また、枝野氏は、東京電力や原子力安全・保安院などとの連携について、「必ず発表することは、同時に総理大臣官邸にも報告してくれと言ったが、発表前に承認を求めるということではない。とにかく分かったことは全部出せと、政府内部や東電にも指示していたが、指示が徹底していなかったということで、忸怩たる思いだ」と述べました。
さらに、枝野氏は、菅前総理大臣が、事故直後に現地を視察したことについて、「『邪魔になったのではないか』という抽象的、感情的な政治的批判は免れないので、『とてもおすすめできない』という趣旨を進言した。しかし、菅総理大臣は『できるだけベストに近い対応をする動きが大事だ』という趣旨のことをおっしゃったので、政治的なリスクを分かったうえで対応されるならば、そこは総理の判断だ」と述べました。
このほか、枝野氏は、現場からの作業員の撤退を巡って、東京電力が総理大臣官邸に全員の撤退は打診していないとしていることについて、「清水社長との正確なことばのやり取りまでは覚えていないが、『そんなことしたら、コントロールできなくなり、どんどん事態が悪化する』と私が指摘したのに対し、清水社長は、口ごもった答えだったので、部分的に残すという趣旨でなかったのは明確だ」と述べました。
また、放射性物質の拡散を予測する「SPEEDI(スピーディー)」のデータの公表が遅れたと指摘されていることについて、枝野氏は「私がスピーディーというシステムがあるということを知ったのは、震災後の15日か16日くらいだったと思う。シミュレーションしていたのに、報告が上がらず、公表されなかったことが、まさに信頼を損なっている大きな原因になっていると思う」と述べました。
さらに枝野氏は、アメリカから、総理大臣官邸に常駐したいと申し入れがあったことについて、「アメリカは情報がないといらだっていた。官邸は、我が国の国家主権の意思決定をする場所であり、国家主権としての意思決定に、外国の政府関係者が直接関わるということはありえない。『官邸の中に、常駐というのは、勘弁してほしい』と申し上げた」と述べました。
国会の原発事故調査委員会は、28日は、菅前総理大臣を参考人として招致して、質疑を行うことにしています。
黒川委員長は、委員会のあとの記者会見で、「きょうの議論を通じて、枝野氏が政府の情報収集や国民への情報伝達にも問題があったと認識していたことや、震災発生後、東京電力から総理大臣官邸に重要な情報が入らず二転三転したことに、官邸がいらだっていた様子などが明らかになった。今後もオープンな議論を続け、来月中には事故の原因を解明する報告を行えるよう努力したい」と述べました。

問われた政府の情報収集と発信の在り方

福島第一原発の事故では、当時、官房長官だった枝野氏は、政府の対応や住民の避難について記者会見を行いましたが、事故が急速に進展する一方で、発表では住民に不安を与えないための表現が目立ち、政府の情報の収集や発信の在り方が問われました。
枝野氏は、福島第一原発で事故が起きた去年3月11日午後7時半すぎ、政府が「原子力緊急事態宣言」をしたことを説明する記者会見を行いましたが、この際、地元住民に対し「現時点では直ちに特別な行動を起こす必要はない」として、あわてて避難を始めないよう呼びかけました。
また、同じ3月11日の午後9時20分すぎに、福島第一原発から半径3キロ以内の住民に避難を指示した際にも、枝野氏は、「避難の指示は『念のためのものだ』」と説明し、事故の詳しい状況や避難は長期的になることを十分に説明していませんでした。
しかし、事故後の去年6月に国の原子力安全・保安院が行った解析によりますと、福島第一原発の1号機の原子炉では、最も早く進んだ場合、地震から3時間余りたった午後6時ごろに炉心損傷が始まり、地震から5時間余りたった午後8時ごろには核燃料が溶け落ちるメルトダウンが発生し、原子炉が損傷した可能性があるとしています。
福島第一原発では、事故が急速に進展する一方で、枝野氏の発表では「直ちに必要ない」「念のため」といった住民に不安を与えないための表現が目立ち、政府の情報の収集や発信の在り方が問われました。
民間の事故調査委員会の報告書でも、「政府は原子力災害時のリスクコミュニケーションの難しさを認識したうえで、広報体制を調整し、必要とされる情報を的確に発信できるよう検討を進める必要がある」と指摘しています。

2012年5月18日金曜日

パソコンの遅い重いを解消

PCの遅い・重いを解消 すぐ使える5つの無料ソフト
2012/5/18 7:01

パソコン(PC)は使い続けるうちに動作が遅く、重くなっていく。不要なファイルなどのゴミがたまったり、ハードディスク(HDD)の断片化[注1]が進んだりして、パソコンが本来の性能を発揮できなくなるからだ。本記事ではパソコンを高速化する、秀逸なフリーソフトを紹介しよう。(1)“ゴミ”を一掃、(2)不要なソフトを完全削除、(3)HDD(ハードディスクドライブ)を最適化、(4)設定を調整、(5)起動を高速化――の5タイプを披露する(図1)。



図1 起動やソフトの処理といった場面で、動作が遅く、重く感じたら、高速化を図れるフリーソフトを試してみよう。簡単な操作で不満を解消できるはずだ
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図1 起動やソフトの処理といった場面で、動作が遅く、重く感じたら、高速化を図れるフリーソフトを試してみよう。簡単な操作で不満を解消できるはずだ


図2 パソコンの動作が遅くなっていくのは、不要なファイルが蓄積していくため。フリーソフトでメンテナンスすれば不要なゴミをなくし高速化を望める
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図2 パソコンの動作が遅くなっていくのは、不要なファイルが蓄積していくため。フリーソフトでメンテナンスすれば不要なゴミをなくし高速化を望める


■不要なファイルや設定をワンタッチでお掃除


 パソコンのソフトは、動作の度に作業用の一時ファイルを作る。そのファイルは、ソフトを終了しても削除されない場合がある。さらに、ソフトや周辺機器のドライバーをアンインストールしてもレジストリ[注2]には不要な情報が残ったままになることが多い。こうしたゴミが蓄積すると、確実にパソコンは遅くなっていく(図2)。


 「グレーリー・ユーティリティーズ」は、パソコンにたまったゴミをクリーニングしてくれるソフトだ(図3図4)。お勧めは「1(ワン)-クリックメンテナンス」という機能。ボタンをクリックするだけで、一時ファイルからレジストリ項目まで、不要なファイルをまとめて削除できる(図5図6)。「モジュール」タブをクリックすれば、一時ファイル削除やレジストリ整理などを、個別に実行することも可能(図7)。クリーニング前には、自動でバックアップをとってくれるので安心だ(図8図9)。


[左]図3 サイトを開き、「Download」をクリック(図中の〔1〕)。次から開くページで「Download Now」を2度クリックする(同〔2〕)
[右]図4 ダウンロードしたファイルを実行してインストールする。起動時に上の有料版への誘導画面が表示されたら、そのまま閉じる
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[左]図3 サイトを開き、「Download」をクリック(図中の〔1〕)。次から開くページで「Download Now」を2度クリックする(同〔2〕)
[右]図4 ダウンロードしたファイルを実行してインストールする。起動時に上の有料版への誘導画面が表示されたら、そのまま閉じる



[注1]HDDにデータの保存と消去を繰り返すうちに、1つのファイルがバラバラの領域に記録され、データの読み書きに時間がかかってしまう現象。
[注2]OSやソフト、ハードに関するあらゆる情報や設定を集中的に管理するデータベース。

[左上]図5 スタートメニューから起動すると表示されるメイン画面。パソコンを快適に利用するために必須のメンテナンス作業を一括で実行する「1-クリックメンテナンス」タブを選び(図中の〔1〕)、作業内容を確認し(同〔2〕)、「問題点をスキャン」をクリック(同〔3〕)
[左下]図6 スキャンは数分で終了する。問題点を表示してくれるので、最後に「問題点を修復」をクリック。あっという間に処理が完了する
[右]図7 「モジュール」タブをクリック(図中の〔1〕)。「クリーンアップ&修復」を選ぶと(同〔2〕)、HDD内の不要ファイル削除からレジストリ内の不要ファイル削除まで、作業を個別に実行できる(同〔3〕)
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[左上]図5 スタートメニューから起動すると表示されるメイン画面。パソコンを快適に利用するために必須のメンテナンス作業を一括で実行する「1-クリックメンテナンス」タブを選び(図中の〔1〕)、作業内容を確認し(同〔2〕)、「問題点をスキャン」をクリック(同〔3〕)
[左下]図6 スキャンは数分で終了する。問題点を表示してくれるので、最後に「問題点を修復」をクリック。あっという間に処理が完了する
[右]図7 「モジュール」タブをクリック(図中の〔1〕)。「クリーンアップ&修復」を選ぶと(同〔2〕)、HDD内の不要ファイル削除からレジストリ内の不要ファイル削除まで、作業を個別に実行できる(同〔3〕)
[左]図8 クリーニング前には自動的にバックアップが行われ、不具合が起きたら元の状態に戻せる。メイン画面から「メニュー」(図中の〔1〕)、「復元センター」(同〔2〕)とクリック
[右]図9 「変更を元に戻す」タブから(図中の〔1〕)、バックアップの日付を選んで(同〔2〕)、「復元」をクリック(同〔3〕)。選択した日付の状態に戻る
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[左]図8 クリーニング前には自動的にバックアップが行われ、不具合が起きたら元の状態に戻せる。メイン画面から「メニュー」(図中の〔1〕)、「復元センター」(同〔2〕)とクリック
[右]図9 「変更を元に戻す」タブから(図中の〔1〕)、バックアップの日付を選んで(同〔2〕)、「復元」をクリック(同〔3〕)。選択した日付の状態に戻る
 クリーニングを行うと、Windows(ウィンドウズ)OSの動作速度の低下や、不安定になることを防ぐ効果がある。月に一度を目安に実行するといいだろう。
■ソフトの削除後に一切のゴミを残さない
 次にお薦めしたいのが、アンインストールソフトだ。ソフトは通常、ウィンドウズのコントロールパネルからアンインストールを行うが、正しい方法で処理しても、削除しきれなかったゴミがHDDに残ることがある(図10)。「レボ・アンインストーラー」を使えば、痕跡を残さずに完全にソフトを削除できる(図11)。
図10 コントロールパネルからソフトを削除しても、すべてのファイルや設定が削除されずに、ゴミが残ってしまうことがある
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図10 コントロールパネルからソフトを削除しても、すべてのファイルや設定が削除されずに、ゴミが残ってしまうことがある
図11 サイトを下までスクロールし、無料版の「DOWNLOAD」をクリック(図中の〔1〕)。入手したファイルをダブルクリックしてインストール。言語を選ぶ画面では、「Japanese」が選ばれていることを確認して(同〔2〕)、「OK」をクリック
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図11 サイトを下までスクロールし、無料版の「DOWNLOAD」をクリック(図中の〔1〕)。入手したファイルをダブルクリックしてインストール。言語を選ぶ画面では、「Japanese」が選ばれていることを確認して(同〔2〕)、「OK」をクリック

ソフトを起動すると、パソコンにインストール済みのソフト一覧が表示される。削除したいソフトのアイコンをダブルクリックしよう(図12図13)。すると、ソフトのアンインストーラーが呼び出されるので、通常の手順で削除する(図14)。処理が終わると、レボ・アンインストーラーがHDD内を検索して、ソフトが残した不要ファイルやレジストリ内の不要設定をリストアップしてくれる(図15図16)。検出された不要データはすべて削除してもかまわない。削除前に復元ポイントが自動作成されるので、もしレジストリ内の必要な情報まで誤って消してしまったときでもウィンドウズの「システムの復元」で元に戻せる。
[左]図12 デスクトップのアイコンをダブルクリックして起動すると、パソコンへインストール済みのソフトが表示される。削除したいアイコンをダブルクリックする
[右]図13  次の画面で「OK」を選ぶと、右の画面が表示される。「標準」モードを選び「次へ」を押す[注3]
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[左]図12 デスクトップのアイコンをダブルクリックして起動すると、パソコンへインストール済みのソフトが表示される。削除したいアイコンをダブルクリックする
[右]図13  次の画面で「OK」を選ぶと、右の画面が表示される。「標準」モードを選び「次へ」を押す[注3]
[左]図14 アンインストール前に、レボ・アンインストーラーのほうで初期解析が行われ、その後、通常のソフトのアンインストール画面が開く(ない場合もある)。画面の指示に従ってアプリを削除する
[右上]図15 アンインストールが終わったら「次へ」をクリック。HDD内の不要ファイルやレジストリ内の不要な設定の検索が始まる
[右下]図16 不要な項目が一覧表示された。削除したい項目にチェックを付けて、「削除」をクリック
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[左]図14 アンインストール前に、レボ・アンインストーラーのほうで初期解析が行われ、その後、通常のソフトのアンインストール画面が開く(ない場合もある)。画面の指示に従ってアプリを削除する
[右上]図15 アンインストールが終わったら「次へ」をクリック。HDD内の不要ファイルやレジストリ内の不要な設定の検索が始まる
[右下]図16 不要な項目が一覧表示された。削除したい項目にチェックを付けて、「削除」をクリック
[注3]図13でどこまで詳細に検索するかを指定できるが、「完全」を選ぶと必要なファイルや設定まで誤って削除されることがある。安全を重視するなら「標準」か「セキュア」を選ぶ。

■パソコンに負担をかけずにHDDを最適化
 HDDの読み書き速度が低下する原因の1つが断片化[注4]。それを解決するのがデフラグ(最適化)だ(図17)。
 「スマートデフラグ2」はHDDを最適化するフリーソフト。ウィンドウズ標準のデフラグ機能よりすぐれた点がいくつもあり、使わない手はない(図18図19)。
[左]図18 サイトの「無料版ダウンロード」をクリック。ダウンロードしたファイルを右クリックし「すべて展開」を選び解凍。「sd-setup」を実行するとインストールが始まる
[右]図19 インストールの途中に別のフリーソフトをインストールするか確認する画面が開く。インストールしないときは「スキップ」をクリック。言語の選択画面が表示されるので日本語を選び「スタート」を押す
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[左]図18 サイトの「無料版ダウンロード」をクリック。ダウンロードしたファイルを右クリックし「すべて展開」を選び解凍。「sd-setup」を実行するとインストールが始まる
[右]図19 インストールの途中に別のフリーソフトをインストールするか確認する画面が開く。インストールしないときは「スキップ」をクリック。言語の選択画面が表示されるので日本語を選び「スタート」を押す
 最適化するときは、HDDの断片化状況をチャートとレポートで表示してくれるので、状況がひと目でわかる(図20)。また、ウィンドウズは週1回の割合で自動的にデフラグを実行するのに対し、スマートデフラグ2はパソコンを操作していない合間を見計らってこまめに最適化を行ってくれる(図21)。パソコンの操作を再開するなど、CPUの使用率が上がると最適化を中止するので、ほかの作業に影響を与えることがない。
[左]図20 最適化したいドライブにチェックを付けて(図中の〔1〕)、「分析」をクリック(同〔2〕)。分析が終了すると断片化率など診断結果が表示される(同〔3〕)。「推奨する処理」をクリックすると(ここでは「デフラグと高速最適化」)、最適化が開始する(同〔4〕)
[右上]図21 標準ではCドライブのみ「自動デフラグ」が有効になっている。他のドライブでも有効にするには、ドライブを選択して(図中の〔1〕)、「自動デフラグ」タブで「有効化」をクリック(同〔2〕〔3〕)
[右下]図22 通常は整理できないシステム関連のファイルもデフラグを行うことも可能だ。ドライブを選んで(図中の〔1〕)、「ブートタイムデフラグ」タブから(同〔2〕)、「有効化」(同〔3〕)をクリックし、3カ所のセッティングにチェックを付けておく(同〔4〕)。次回から週1回の割合でパソコン起動時に自動実行される
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[左]図20 最適化したいドライブにチェックを付けて(図中の〔1〕)、「分析」をクリック(同〔2〕)。分析が終了すると断片化率など診断結果が表示される(同〔3〕)。「推奨する処理」をクリックすると(ここでは「デフラグと高速最適化」)、最適化が開始する(同〔4〕)
[右上]図21 標準ではCドライブのみ「自動デフラグ」が有効になっている。他のドライブでも有効にするには、ドライブを選択して(図中の〔1〕)、「自動デフラグ」タブで「有効化」をクリック(同〔2〕〔3〕)
[右下]図22 通常は整理できないシステム関連のファイルもデフラグを行うことも可能だ。ドライブを選んで(図中の〔1〕)、「ブートタイムデフラグ」タブから(同〔2〕)、「有効化」(同〔3〕)をクリックし、3カ所のセッティングにチェックを付けておく(同〔4〕)。次回から週1回の割合でパソコン起動時に自動実行される
 2011年のバージョンアップでは「ブートタイムデフラグ」機能が追加された。ウィンドウズの動作中には並べ替えができないシステムファイルを、起動時、ウィンドウズの画面に切り替わる前に最適化を実行してくれる(図22)。こちらも一度設定すると次回からは定期的に自動実行するので、システムファイルの断片化を防ぐことが可能だ。
[注4]HDDの代わりにSSD(ソリッドステートドライブ)を内蔵するパソコンの場合、断片化で大きく速度が低下することはない。反対に最適化によって寿命を縮めることがあるので注意しよう。
■隠された高速化設定を簡単に変更できるソフト
 ウィンドウズには多くのシステム設定項目が用意されているが、コントロールパネルから変更できるのは一部のみ。隠れた項目を設定するにはレジストリを直接書き換える必要があるが、この作業には危険がともなう。「カムフォータブルPC」はウィンドウズの隠れた設定項目を安全に変更するソフトである(図23図24)。最新版ではウィンドウズ7独自の設定項目もサポートしている。
図23 ウィンドウズ7やビスタは、XPに比べて機能が豊富。しかし、中には“おせっかい”な機能もある。フリーソフトを使い、おせっかい機能を止めよう
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図23 ウィンドウズ7やビスタは、XPに比べて機能が豊富。しかし、中には“おせっかい”な機能もある。フリーソフトを使い、おせっかい機能を止めよう
図24 サイトで「Comfortable PC ダウンロード…」をクリック。ダウンロードした圧縮ファイルを右クリックして「すべて展開」を選び解凍。「comfortable pc」をダブルクリックすると、カムフォータブルPCのインストールが始まる
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図24 サイトで「Comfortable PC ダウンロード…」をクリック。ダウンロードした圧縮ファイルを右クリックして「すべて展開」を選び解凍。「comfortable pc」をダブルクリックすると、カムフォータブルPCのインストールが始まる
 例えば、スタートボタンからメニューを開いていく際、標準ではサブメニューの表示に0.4秒の待ち時間が設定されている。この値を小さくすればメニュー表示が速くなる。カムフォータブルPCには、そんな設定変更項目が複数用意され、各項目のメリットとデメリットを確認しながら設定を変更できるのだ(図25[注5]
[左]図25 メイン画面の、各設定項目を選ぶと(図中の〔1〕)、利点と欠点が表示される(同〔2〕)。これを確認してチェックし、適用を押す(同〔3〕)。設定変更後は再起動する
[右]図26 「ツール」→「AutoAnalysisを開始」をクリック(図中の〔1〕)。カテゴリーにチェックを付けて「実行」をクリックすると(同〔2〕〔3〕)、パソコンの性能に合わせてチェックを付けてくれる。あとは図25のメイン画面に戻って「適用」ボタンをクリック
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[左]図25 メイン画面の、各設定項目を選ぶと(図中の〔1〕)、利点と欠点が表示される(同〔2〕)。これを確認してチェックし、適用を押す(同〔3〕)。設定変更後は再起動する
[右]図26 「ツール」→「AutoAnalysisを開始」をクリック(図中の〔1〕)。カテゴリーにチェックを付けて「実行」をクリックすると(同〔2〕〔3〕)、パソコンの性能に合わせてチェックを付けてくれる。あとは図25のメイン画面に戻って「適用」ボタンをクリック
 ウィンドウズ7/ビスタにはXPになかった機能が追加されている。中には水面下で動いてCPUパワーを消費するものもある。不要なものは停止するとよい。カムフォータブルPCは、使用中のパソコンを診断し、高速化に有効な最適の設定変更を提案してくれる。基本は、それに沿って変更を実行するといい(図26)。
[注5]もし設定変更が原因でトラブルが発生したときは、カムフォータブルPCを起動して「復元」をクリック。設定を変更した日時を選んで「OK」をクリックすると、その時点での設定が読み込まれる。その後、「適用」をクリックして設定を元に戻す。

■自動起動するソフトを整理し、起動時間を短縮
 パソコンにさまざまなソフトをインストールすると、ウィンドウズと同時に自動起動するプログラムが増え、パソコンの起動に時間がかかるようになる(図27)。
 今回紹介する「スタートアップ・ディレイヤー」はプログラムの起動をずらすことで、ウィンドウズの起動時間を短縮する便利なソフトだ(図28図33)。
[左]図28 サイトを開き、図中の〔1〕のボタンを押し、ダウンロードしたファイルをダブルクリック。インストールの最後の画面では〔2〕のチェックを外し、「Finish」をクリック(図中の〔3〕)
[右上]図29 上記URLのサイトへアクセスし「Startup…」をクリックして日本語化ファイルをダウンロード
[右下]図30 ダウンロードしたファイルを右クリックし「すべて展開」を選び解凍する。上記右のフォルダーを開き、そこに解凍した「ja.lang」をドラッグ・アンド・ドロップする[注6]
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[左]図28 サイトを開き、図中の〔1〕のボタンを押し、ダウンロードしたファイルをダブルクリック。インストールの最後の画面では〔2〕のチェックを外し、「Finish」をクリック(図中の〔3〕)
[右上]図29 上記URLのサイトへアクセスし「Startup…」をクリックして日本語化ファイルをダウンロード
[右下]図30 ダウンロードしたファイルを右クリックし「すべて展開」を選び解凍する。上記右のフォルダーを開き、そこに解凍した「ja.lang」をドラッグ・アンド・ドロップする[注6]
[左上]図31 スタートメニューから「すべてのプログラム」→「r2 Studios」→「Startup Delayer」→「Configure Startup Delayer」を右クリックして「管理者として実行」をクリック
[左下]図32 初回起動時のみ初期設定画面が開く。「いいえ」「はい」「Save」の順にクリックする
[右]図33 ソフトが起動したら「Options」をクリック(図中の〔1〕)。Generalタブの「Active Language」で「日本語」を選び(同〔2〕)、図中の〔3〕をクリック。これでメニューが日本語になる
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[左上]図31 スタートメニューから「すべてのプログラム」→「r2 Studios」→「Startup Delayer」→「Configure Startup Delayer」を右クリックして「管理者として実行」をクリック
[左下]図32 初回起動時のみ初期設定画面が開く。「いいえ」「はい」「Save」の順にクリックする
[右]図33 ソフトが起動したら「Options」をクリック(図中の〔1〕)。Generalタブの「Active Language」で「日本語」を選び(同〔2〕)、図中の〔3〕をクリック。これでメニューが日本語になる
 ソフトを起動したら、表示される画面で重要度が低いプログラムをドラッグ・アンド・ドロップで登録すると、遅れて起動するように設定できる(図34図35)。起動時に読み込むプログラムが減るために、パソコンが利用可能になるまでの待ち時間を、ぐっと短縮できるわけだ。起動時間に不満を持つ人は、ぜひ試してほしい。
[左]図34 自動起動するプログラムのリストから、遅れて起動してもかまわないソフトを「遅延されたスタートアップ」のエリアにドラッグ・アンド・ドロップする
[右]図35 遅れて起動するソフトは、起動する順番を指定できる。名前を上下にドラッグ・アンド・ドロップして起動順に並べ替える
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[左]図34 自動起動するプログラムのリストから、遅れて起動してもかまわないソフトを「遅延されたスタートアップ」のエリアにドラッグ・アンド・ドロップする
[右]図35 遅れて起動するソフトは、起動する順番を指定できる。名前を上下にドラッグ・アンド・ドロップして起動順に並べ替える
[注6]図29の方法でコピー先が開かないときは、スタートメニューの「すべてのプログラム」→「r2 Studios」→「Startup Delayer」→「Startup Delayer Localizer」を起動。「Choose」ボタンを押し、現われた画面で「Explorer」ボタンを押すと、コピー先フォルダーが開く。

国有東電の軌跡 政府と東電の攻防 一日ノルマ1000件処理

「それなら潰してほしい」 国有東電の軌跡(迫真)     2012/5/14 2:04

東京電力会長の勝俣恒久(72)は声を震わせた。
4月19日昼、都心のホテルオークラ。
民主党政調会長代行の仙谷由人(66)が、
東電社長の西沢俊夫(61)を交代させる意向を告げた時だ。

国の関与や人事を巡る攻防が続いてきた(左から枝野経産相、下河辺東電次期会長、勝俣現会長)
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国の関与や人事を巡る攻防が続いてきた(左から枝野経産相、下河辺東電次期会長、勝俣現会長)

「そんなことまで言われると……こちらにも五分の魂があります。
それなら潰してください」。
同日の朝刊各紙は、
弁護士出身で原子力損害賠償支援機構の運営委員長を務める
下河辺和彦(64)の会長起用と、西沢の社長交代を伝えていた。

西沢は就任してまだ1年。「西沢だけはなんとか続投させていただきたい」。
捨て身の勝俣に、仙谷はうなずかない。
「さすがに言い過ぎでしょう。『五分の魂』と言われるが、こちらにも言わせてほしい。
(東電問題は)政治的にも大変なんです」。
首相の野田佳彦(54)の後見役でもある仙谷は
「去る人があれこれ言うのはよくない」
と人事の主導権が旧体制にはないことを通告した。
勝俣はぶぜんとした表情でホテルを出た。

同じ日の夕方、下河辺は首相官邸を訪ねた。
野田から会長の就任要請を受けた後
「個人的にはやはり社長を交代していただきたい」と記者団に語った。
この段階で新社長の扱いに触れないことは
東電や政府の関係者の共通認識になっていたが、下河辺の独断が覆した。
西沢続投の望みが絶たれた瞬間だった。

勝俣と仙谷、経済産業相の枝野幸男(47)は、
東電に出資する国が議決権をどれだけ握るかでも火花を散らした。
「国民をなめている。資本注入して経営陣を入れ替える」。
昨年のクリスマスを前に原賠機構の幹部が息巻くほど、
政府・機構の東電への不信感は頂点に達していた。

昨秋、勝俣は福島の原発を本体から切り離す構想を
議員に説明して回っていた。
原発を東電や原子炉メーカー、機構などが出資する新会社に移し、
東電はそれ以外の事業に集中する内容だ。
廃炉や賠償だけ切り離して(東電が)身軽になる発想は許さない」。
昨年12月22日、企業向け値上げの方針を「権利」
と唐突に発表したことも枝野や機構の怒りを招いた。

「(枝野には)ほとほと困っている」。
勝俣は霞が関の最強官庁で人脈もある財務省に近づく。
財務省は国の負担増を嫌い、東電の経営権を握るのに慎重だった。
勝俣は「政府内で意見が一致していない」と見定めた。
財務次官の勝栄二郎(61)との連携を警戒する機構内で
2人は「勝―勝ライン」と呼ばれた。

だが枝野は強硬姿勢を崩さない。
「出資額に見合った議決権がなければ、総合特別事業計画を認定しない」。
枝野は東電への出資と引き換えに国の管理下に置く方針を西沢に宣言した。
悲願の消費増税法案を仙谷らに頼む財務省も軟化を始めた。
3月中に議決権を当初2分の1超、
潜在的に3分の2以上を機構が握ることで決着した。

人事や国の関与で押された東電。
原発事故に伴う未曽有の負担が残った。
勝俣は原子力損害賠償法で東電が賠償を免責されなかった時、
政府を訴えなかったことを悔やんでいる。
異常な天災が理由なら国に肩代わりを求める声は根強くあった。
東電には、力でねじ伏せようとする政府・機構が理不尽に映った。

枝野や機構も傷を負った。
2月には国有化に反対する経団連会長の米倉弘昌(75)と枝野の確執が表面化。
東電の会長選びで経済界は背を向けた。
企業経営の経験がない下河辺に託す不安はくすぶり、
東電内の守旧派との攻防も待ち受ける。(敬称略)

                     ◇

国が1兆円を使うかつてない企業再生は日本経済の行方すら左右する。
「国有東電」が誕生する軌跡を追った。

クリスマスの頃、仙谷は都内のホテルで「国に経営権を渡したらどうか」
と迫ったが、勝俣ははねつけた。
「IPP(独立系発電事業者)とPPS(特定規模電気事業者)の
違いもわからない人たちに、かき回されたくない」。
専門用語を使い“素人”の機構に経営できないと反論した。

東電改革、機構の指南役も割れた(迫真)
国有東電の軌跡

2012/5/15 3:30
 政府が東電の総合特別事業計画を認定した2日後の5月11日夜。
東京・虎ノ門の原子力損害賠償支援機構の一室で内輪の慰労会が開かれた。
「ご苦労さま。ようやく東京電力の改革が始まります」。
機構トップの運営委員長を務め、
東電会長に就く下河辺和彦(64)はビールを片手に職員らをねぎらった。

機構の内部でも確執があった(葛西氏=左=と吉川氏)
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機構の内部でも確執があった(葛西氏=左=と吉川氏)

計画の原案を練った機構は官僚の出向者、弁護士などからなる「多国籍軍」。
経営者OBなど指南役の運営委員も参画している。
コスト削減の上積みや持ち株会社化の検討――。計画は東電に苦い薬を並べた。

東電と機構は経営改革を巡り対立を重ねてきた。
ただ機構も一枚岩だったわけではない。

運営委員の会合で総合計画の議論が大詰めを迎えた2月下旬。
意を決したようにJR東海会長の葛西敬之(71)が持論を述べた。
「合理化もすればいいわけではない。持ち株会社を良いと言わない人もいる。
発送電分離も(効果が)わからない」。
計画に入る流れだった論点を一つずつ切り崩そうとした。

葛西と同じ経営者枠の委員、
DOWAホールディングス相談役の吉川広和(69)が割り込んだ。
「持ち株会社に何も問題はない」。
環境分野で持ち株会社を運営してきた自らの経験をもとに反論。
「感覚的な総論を話しても仕方ない。
このままの方針で行ってくれ」と合理化などを急ぐよう訴えた。

同席した東大教授の松村敏弘(47)も
「大演説はマスコミで発表してほしい」と吉川に加勢した。
葛西は「原理主義者には何を言ってもわからないよ」と応酬したが、
東電に厳しい合理化を迫る方向が固まった。
下河辺は両論併記を良しとせず、吉川らの主張に軍配を上げた。

葛西、吉川、松村らは昨年10月に東電に関する報告書をまとめた
「経営・財務調査委員会」のメンバー。
一方で葛西は東電会長の勝俣恒久(72)と財界人の会合を囲む。
前経営陣との距離で委員間に違いがあった。

下河辺は4月下旬から東電の役員らを連日、機構に呼び込む。
電力料金の説明書類にある「低圧・高負荷」の文字をみて
「なぜお客様に『負荷』という言葉を使うのですか」と質問した。
6月の正式な会長就任を前に
柔らかな口調ながら利用者の目線で意識改革と行動を迫る。

11日の慰労会。下河辺は「淡々と計画を実行するだけだ。
案外に自分の神経がずぶといと思った」とあいさつした。
葛西は姿を見せなかった。(敬称略)

1日1000件のノルマ 東電改革担う次期社長(迫真)
広瀬氏「すべてはフクシマを起点に」

2012/5/18 3:30
5月2日午後、原子力損害賠償支援機構運営委員長の下河辺和彦(64)は東京電力常務の広瀬直己(59)を機構本部(東京・港)に呼んだ。

役員人事について記者会見する広瀬次期社長(右)と西沢社長(14日)
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役員人事について記者会見する広瀬次期社長(右)と西沢社長(14日)

 「一緒に戦える人間を自分で見て決める」。
東電会長が内定している下河辺は
東電改革を一緒に進める次期社長を選ぶため、
4月下旬の大型連休も使って、
常務と執行役員約30人との個別面接をこなしてきた。
主要な役員で最後の相手が広瀬だ。

 下河辺は都立戸山高、広瀬はそのライバル校の新宿高の出身。
両校伝統の運動部対抗戦の思い出話に花が咲く和やかな雰囲気で40分が過ぎた。
下河辺はこの面接で広瀬との相性の良さを見極めた。
「広瀬次期社長」が決まった瞬間だった。

 平岩外四会長の秘書役、企画、営業――。
広瀬は東電では珍しく多くの仕事に関わった。
社長の座が近いとも見えなかった広瀬の存在感が高まったのは昨年12月以降。
「値上げは権利」と発言した社長の西沢俊夫(61)が批判を浴びたころ、
賠償問題担当の広瀬も針のむしろにいた。
機構理事長の杉山武彦(67)から「賠償金支払いが遅い」と対応を迫られていたのだ。

 「できる限りのことをします」。広瀬は部下に1日1000件の処理ノルマを課す。
終電を逃す担当者も続出したが、未処理書類は目に見えて減り、
機構内で広瀬の名前が知られる。

 地元や陳情団と対してきた広瀬は
東電の常識が社外の非常識に映る現実を痛感していた。
地元との折衝について上司、部下を問わず
「フクシマにどう映るのか考えて行動してほしい」と注文をつける広瀬は
「社内外がよく見えている」(東電幹部)と頼りにされるようになった。

 5月7日、西沢からの呼び出しを受け、
東電本店(東京・千代田)11階の社長室に足を踏み入れた広瀬は
その場に西沢と会長の勝俣恒久(72)が並ぶ姿を見た瞬間に悟った。
「後を頼む。君しかいない」。
社長就任を即答した広瀬は「イエス・ノーの返答の選択も、
考える時間の猶予も許されないと思った」と知人に漏らしている。

 5月8日、下河辺は経済産業相の枝野幸男(47)に「広瀬次期社長」を報告。
枝野は「顧客目線を持ち改革意欲がある」と持ち上げた。
社員の年収は2割減り、2011年度は約460人が依願退職した。
士気が低下した社内にどう改革意欲を吹き込むのか。
その問いかけに広瀬は「すべてはフクシマを起点に考える」と語った。

2012年5月17日木曜日

封印された「炉心溶融」 事故翌日に言及、担当者交代
福島第1原発事故 対策本部議事概要             2012/3/10付

 



 
政府が9日に公表した原子力災害対策本部の議事概要で、昨年3月11日の東日本大震災直後から東京電力福島第1原子力発電所事故での炉心溶融(メルトダウン)の可能性を想定していたことが明らかになった。菅直人首相らは早い段階で、最悪の原発事故にもなりうるとの危機感を共有していたが、こうした認識は対外的には公表されていなかった。事故に関する一連の記者会見では炉心溶融という表現を避けており、国民への情報発信の姿勢が改めて問われることになりそうだ。(肩書は当時)

 議事概要によると、11日午後7時すぎからの第1回会議で「(冷却装置の電池がもつ)8時間を超え炉心の温度が上がるようなことになると、メルトダウンに至る可能性もあり」と報告があった。発言者は閣僚とみられるが、誰かは公表していない。


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 12日昼の第3回会議では玄葉光一郎国家戦略担当相が「メルトダウンの可能性がある」と言及、1号機の水素爆発後に開いた12日夜の第4回会議でも菅首相が「スリーマイルのようなメルトダウンがありえるのか」と述べた。

 炉心溶融という言葉を巡っては、事故翌日の12日午後2時ごろからの記者会見で、経済産業省原子力安全・保安院の審議官が「炉心溶融の可能性がある」と初めて言及した。しかしその後、この審議官は会見担当から外れ、担当者は次々と交代。「炉心溶融」の表現は一切使われなくなり、「燃料被覆管の損傷」といった説明に変わった。

 議事概要からは、時間経過とともに、事故がより深刻になっていく状況が読み取れる。にもかかわらず、なぜ、炉心溶融やメルトダウンという言葉が公の場から姿を消したのか。

 先月、事故原因に関する独自調査の報告書をまとめた民間事故調の福島原発事故独立検証委員会によると、審議官の発言を聞いた枝野幸男官房長官が「まず官邸に知らせないということは何たることだ」と怒鳴り声をあげたといい、官邸が「実質的な更迭」の形で審議官を交代させたと分析している。

 保安院が、燃料棒の中の粒状に加工したウラン燃料が溶ける「燃料ペレットの溶融」という表現で、ようやく炉心溶融を認めたのは震災1カ月後の4月18日だった。それまでは、記者会見の度に炉心溶融について質問が出ていたが、核燃料を収めた被覆管が損傷しただけで、核燃料そのものが溶け落ちたことは否定していた。

 議事概要によると、14日午前の第7回会議で枝野官房長官が「情報発信について正確かつ迅速に。刻々と変わるので随時行う。評価・判断はあいまいにしないで決定の段階で公表」と述べた。確たる証拠がない段階での発表は控えるよう指示する趣旨の発言とみられる。

ソニーパナシャー赤字家電3社が新社長に 内部昇格の愚策

赤字家電3社が新社長に 内部昇格者を選んだのは ガバナンスの大失敗

                                                    (ダイヤモンドオンライン 2012年04月26日掲載)

 パナソニック、ソニー、シャープ、の赤字家電3社が、相次いで社長交代を発表した。
筆者はこの交代劇を見て「東芝の悲劇」と言う本を思い出した。
三鬼陽之助という雑誌記者が1966年に書いたカッパブックスの一冊である。
東芝はそれまで経営能力のない経営者が長期間社長として君臨し、業績をどんどん悪化させていった。
同社はそこで外部者を社長に迎えることを選択する。白羽の矢を立てたのは、
IHIの再建に大鉈を振るった土光敏夫社長だった。

東芝の社員は緊張して新社長のリーダーシップに従い、早期に業績を好転させた。
土光氏の私生活は極めて質素で、会社にはバス・電車を乗り継いで出勤したという。
風貌は仁王像のようで周りを圧倒するカリスマ性があった。
土光氏はその後、経団連の会長になり、日本の財界を代表する人物となった。
中曽根政権下では臨調の会長になり、日本国有鉄道(現JR)の民営化に大ナタを振るった。

筆者がもうひとつ思い出す社長交代劇は、日産自動車である。
80年代、90年代とヒット車種を出せずに、国内シェアはトヨタに差を広げられ、
3位のホンダにも追いつかれる状況となった。
ヒット車種を出せない原因は、社内の生産部門の発言力が強く、
消費者に受け入れられない製品を次々に出していったことにあった。
その結果、赤字決算が続き財務状況もじりじりと悪化し、98年時点で2兆円の借金を抱えるまでになった。

99年にフランスの自動車メーカーであるルノーと資本提携し、その支援を仰ぐことになった。
同年に社長であった塙義一社長は解任され、
当時ルノー本社の副社長であったカルロス・ゴーン氏が社長として送り込まれた。
その後、同氏は様々な経営刷新を行い2003年には2兆円の借金を完済した。

赤字家電3社の状況は当時の東芝、日産自動車の状況とよく似ているように思う。
日本の3社と競合2社の最近の売上高推移は次の通り。
注記(単位:兆円、100ウォン=8円、1US$=80円で換算、サムスン電子の2011年決算の発表はないので、半期決算の数字を2倍にした。)
同様に、利益を比較すると日本の3社は赤字転落しているのに対し、競合2社は好調である。
注記(単位:10億円、100ウォン=8円、1US$=80円で換算、サムスン電子の2011年決算の発表はないので、半期決算の数字を2倍にした。)
家電3社がこれだけの赤字を出すということは、企業内部で何かが大きく間違っているのだ。
今まで継続してやってきたことを、一旦不連続にしなければならない。
そのためには後継社長を内部から選んではいけなかったように思う。
さらに悪いことに、業績悪化を起こした前社長に対し、
その責任を問わずに会長に祭り上げる愚も犯している。
欧米の常識から見たらとても考えられない人事である。
3社のコーポレート・ガバナンスはどうなっているのだ。何のために社外取締役がいるのだ。
何のために後継社長の指名委員会があるのだ。
なぜ日本の家電メーカーはサムスンになれなかったのか。アップルは別格としても。
大きな原因は起業家精神と自己変革力の欠如である。

サムスンでは創業者の三男李健煕(イ・ゴンヒ)がサムスン・グループの会長として君臨している。
早稲田大学を卒業し、米国ジョージ・ワシントン大学でMBAを取得している。
創業者李秉喆(イ・ビョンチョル)が87年に死去した後、直ちにグループの会長に就任した。
李健煕は93年に突如「妻と子ども以外はすべて変えよう」と宣言し、クループの変革に着手した。
サムスン・グループが躍進を始めたのはこの時からである。
変革の核となったのは人事である。
世界中から優秀な人材を集め、3-5年の期限付きで雇用し、個人としての業績貢献を求めた。
大きな成果を出した人材には惜しみなくインセンティブ(業績連動型の賞与)を与えた。
貢献度の大きい人材は年齢に関係なく抜擢し、高い地位につけた。
社内の一部の人は若くして金持ちサラリーマンになった。

日本からも東芝、ソニーといった企業から技術系の人材が次々にスカウトされていった。
90年代には日本のエレクトロニクス企業の中核社員が週末に韓国に飛び、技術指導するのが常習化した。
2000年以降は定年に達した優秀な人材を契約雇用し、さらに技術力をつけていった。
スカウトされた人材は延べ500名とも1000名とも言われる。

日本企業はまさかサムスンが競争相手になるとは考えもしなかったのだろう。
だが、ここに油断があった。日本では一定の年齢になると定年退職しなければならない。
この制度は個人の能力に関係なく一律適用される。
サムスンは日本の制度の盲点を突いたのだ。こうした事態が起きても、日本企業は制度を変えなかった。

日本企業では会社の業績と個人の貢献とがリンクしていない。
いくら実績を上げてもそれが出世に結びつく保証はない。
逆に、実績を上げなくてもそれを理由に会社を追われることもない。
終身雇用が前提となっているからだ。

むしろ上役に気に入られるほうが出世の早道である。
そのために社内ポリティクスのほうが重大関心事になる。
こうした社内ポリティクスに嫌気がさした人々は、定年前にサムスンにスカウトされていった。

日本企業の人事をFavoritism(ひいき主義)と呼び、
サムスンのような人事をMeritocracy(実績評価主義)と呼ぶ。
仕事の実績で従業員を評価するからだ。
サムスンの成功は日本の人事制度の裏返しでもあるのだ。
そして結果が出た。
サムスンは勝ち続け、日本企業は赤字に転落した。
それでも日本企業は、社内ポリティクスで勝ち残った人を社長に据え、自分は会長に就任する。
なぜ会長になるのか?後任の社長が自分を批判することを恐れるからだ。
これでは後任社長が変革を行いたくてもできない。
変革をすることは前社長を悪者にすることになるからだ。

投資家は今回の社長交代劇をみて「売り」に走った。
新社長の方針演説を聞いて株価はさらに下げた。
具体的な戦略はなく「頑張ろう」以外には何もなかったからだ。

自分が「社長の器」でないときには就任を辞退すればよい。
自分の非力で会社を落ち目にした前社長は潔く引退すればよい。
企業は「公の器」である。決して私物化してはならない。

サムスンにしてみると、
ソニーもパナソニックもシャープも、もはや競争相手ではない。
サムスンがマークしているのはアップルだけである。
サムスンとアップルはいまスマートフォンの特許を巡って全世界ベースの訴訟で戦っている。
「スマホ後進国」で「ガラパゴス王国」である日本への興味は日に日に薄れてこよう。

日本からの技術者のスカウトは今後減り、
代わってアップル社の不満分子の引っこ抜きに必死になるかもしれない。
日本企業はサムスンが引っこ抜きに来てくれた日々を懐かしむ事になろう。

今回社長に就任された方々に言おう。
「社長就任おめでとうございます。
でも早期に引退されて、サムスンのNo.2をスカウトして席を譲っては如何でしょうか」と。