2013年4月12日金曜日

迂回献金と云ぅ政治屋共の嘯く脱税

維新、「迂回寄付」による税還付を禁止の方針

政治家が政党支部を通じて資金管理団体に寄付金を還流させる
迂回(うかい)寄付」が相次いでいる問題で、
日本維新の会は党の規約を改正し、迂回寄付による税還付を受けることを
禁止する方針を固めた。
 また、松井幹事長は13日、
税還付を受けていた同党所属の衆院議員ら6人に対し、
修正申告などして還付金を国に返納するよう指示したことを明らかにした。
兵庫県伊丹市内で記者団に語った。
松井氏は、迂回寄付で税還付を受ける手法について、
「納税者に理解されないような特権階級的な政治資金の流れはおかしい」と述べ、
所属議員に同様の手法をやめるよう通達を出したことを明らかにした。
 一方で、自民党や民主党の議員にも迂回寄付が横行していたことに対し、
「他党のことは言えないが、政治家として、
僕は(他党も修正申告を)やるべきだと思う」と指摘した。
2013年4月14日10時08分  読売新聞)
 

迂回寄付 笠松、関県議認める「合法で問題ない」

福井県
政党支部を利用した国会議員や地方議員らによる
「迂回(うかい)寄付」が全国で相次いで発覚している。
県内でも、自民党県議の笠松泰夫氏(68)と関孝治氏(72)が、
同様の手法で所得税の還付を受けていたことが13日、読売新聞の取材でわかった。
 いずれも「合法で、問題ない」などと意に介さないが、
一般の納税者にはできない節税対策にモラルを問う声が上がっている。(原典子、酒本友紀子、井上敬雄)
 個人が政党に寄付して確定申告を行った場合、
寄付額の3~4割が所得税から控除されて還付される。
この優遇措置は、政治家が自らの資金管理団体に寄付しても適用されないが、
政党支部を経由させることで、還付の対象になる。

 読売新聞は、問題の発覚を受け、県内の衆参両院議員と県議について
2009~11年の政治団体の収支報告書を調べた。
 笠松氏は09~11年に自らが代表を務める党支部に
計759万5000円を計6回にわたって寄付。
支部は笠松氏の資金管理団体などに1190万円寄付の形で還流させていた。
笠松氏は「古いことは覚えていないが昨年は還付を受けている」とした上で、
「還流しているという意識はないし、法律違反ではない。
還付手続きに必要な寄付の認定書類は選管からもらっている。
これがだめだというのであれば法律で規制するべきだ」と話した。
 関氏は10、11年、代表を務める党支部に計300万円を寄付し、
同じ年に支部から後援会に1370万円が寄付された。
関氏は「確定申告は会計事務所に任せており、詳しくは把握していなかった」と弁解。
同党県連の山本文雄代表代行も
「還付金の使い道が政治活動なら良いのではないか」と問題視していない。
 これに対し、市民オンブズ福井の伊東晴美事務局長は
「本来なら納税者のために使われるお金だという意識が薄い。
政治活動の前にまず、きっちりと納税すべきで、
合法でも議員ならモラルを守って模範を示すのが筋だ。
市民に胸を張って言える行為なのかと問いたい」と批判した。
 ある自民党県議も「10年ほど前に『所得税が控除される方法がある』
と聞いたことはあったが、社会通念上、許されないと思ったから、やらなかった。
実際に手続きをしていた人がいたとは……」とあきれていた。
2013年4月14日  読売新聞)
 

政治家が300万寄付すれば90万戻る仕組み

「迂回寄付」で政治家が活用しているのが、所得税の「寄付金控除制度」だ。
 所得税法では、個人が公益団体に寄付した場合の優遇措置が定められている。
 個人が国や自治体のほか、公益法人、認定NPO法人などに寄付した場合、
寄付額の約3~4割が所得税額から戻ってくるか、
所得額から寄付額(総所得の4割まで)が差し引かれる。
どちらかは納税者に有利な方が適用される。

 こうした優遇措置で、寄付者は納税額が差し引かれる。
寄付した額の一部が税金で穴埋めされるわけだ。
その分だけ税収は減るが、公益性が高い寄付を国が後押しする狙いがある。
 1994年に設けられた租税特別措置法の特例規定では、
政党や政治団体に対する寄付も寄付金控除の対象になる。
度々、癒着が問題になってきた企業献金頼みから、個人献金(寄付)を促すためで、
2014年12月31日までの時限規定だ。
 個人が政党などに寄付した場合、
たとえば、手取り年収(課税所得金額)1000万円の人が年300万円を寄付すると、
その3割に当たる約90万円が還付される。
寄付しない場合の所得税は約176万円で、半額以上が戻ってくる。
2013年4月12日10時39分  読売新聞)

迂回寄付、維新大阪市議も…自民市議時代

大阪維新の会の冨岡朋治大阪市議(70)が、
自民党市議だった2007~10年の4年間に自らの寄付を
「自民党大阪市浪速区第二支部」を迂回させる形で後援会に還流させ、
所得税の還付を受けていたことがわかった。
収支報告書によると、09年に270万円を政党支部に寄付していた。
 冨岡氏は「秘書任せで、詳細を把握していなかった。道義的な責任を感じる」としている。
2013年4月11日13時42分  読売新聞)
 

維新・兵庫代表も迂回寄付…自民県議時代

 迂回寄付問題で、日本維新の会兵庫県総支部代表の新原秀人衆院議員(50)も
2009~11年の自民党県議時代、
自身が代表を務める党支部に毎年700万円を寄付し、
同支部から自身の後援会に全額を迂回させるなどして
計4324万円の寄付を受けていたことがわかった。
 

迂回寄付、自民大阪は調査見送り…会長還付発覚

 政治家が政党支部と資金管理団体などを使って寄付金を還流させる
迂回(うかい)寄付」で所得税還付を受けていた問題で、自民党大阪府連が、
予定していた所属議員対象の府連会長名での自主調査を見送ることを決めた。
衆院議員の竹本直一府連会長自身が
迂回寄付で税を還付されていたことが発覚したため、「府連会長本人がやっていたのに、
府連が調査しても説得力がない」(同党府連幹部)と判断、
大阪府議団や大阪、堺両市議団、市町村議会の各組織に調査を引き継ぐ。
同党府連幹部は「迂回寄付は、政治家が自分の資金を動かすだけで
税から利益を得る行為で、節税という言い訳はできない。
府連として調査はできないが、対応はしっかりしたい」と話している。
2013年4月12日17時31分  読売新聞)
 

迂回寄付で税還付、自民党の京都市議2人も

 自民党の京都市議2人が2009~11年、自身が代表を務める党支部に
それぞれ計450万~650万円寄付した上で、
自らの資金管理団体にそれを上回る資金を還流させていたことがわかった。
 2人は取材に、政党支部を迂回(うかい)させることで税還付を受けたと認めている。
いずれも上京区選出の中村三之助市議(61)(党支部への寄付額計450万円)と
寺田一博市議(47)(同650万円)。
 中村氏は「党関係者から『税控除を受けられる手法がある』と教わり、
特に問題意識なく実践していた」と説明。
寺田氏は「還付目的だったわけではないが、有権者の誤解を招き、申し訳ない」と話した。
昨年からこうした処理は自主的に取りやめているという。
2013年4月12日11時35分  読売新聞)

還付分、政治家の利益に…迂回寄付、続々発覚

 国会議員や首長、地方議員らが政党支部と資金管理団体を使って
寄付金を還流させる「迂回(うかい)寄付」が相次いで発覚している。
 政治家が直接、自らの資金管理団体に寄付した場合には
認められない所得税の還付を受けるのが狙いで、
「法の抜け道を使った脱法行為だ」との批判や、法規制を求める声が上がっている。
迂回寄付に基づく政治家の税還付について、
市民グループ「税金オンブズマン」代表委員の関戸一考弁護士は、
「普通の納税者にはできない、政治家だけの特権だ。
『還付金詐欺』とも言える行為で、許されない」と批判する。
 元々、政党などへの寄付に対する所得税還付の優遇措置は、
個人の政治献金を通じて、国民の政治参加を後押しすることが目的だ。
このため政治家自身が自分の資金管理団体や後援会に直接寄付しても、
「寄付者に特別の利益が及ぶ寄付」に当たるとされ、優遇措置の対象外となる。
 迂回寄付は、こうした制限をすり抜ける手法だ。
 政治家がいったん政党支部に寄付したうえで、
政党支部から自身の資金管理団体などに寄付する。
たとえ、政党支部に寄付したその日のうちに
全額を政党支部から自らの資金管理団体に移動させたとしても、
政党支部をトンネルすることで、政治家からの直接寄付とみなされず、
税還付の優遇措置を受けることができる。
 大阪国税局OBの税理士は「違法行為と指摘するのは難しい」と語る。
 還流先の資金管理団体などは自らの政治活動に資金を使うことから、
実質的に政治家の「もう一つの財布」(国会議員)と言われる。
今回のケースでも、政党を迂回して寄付金を還流させるだけで、自らが寄付金を使えるうえ、
寄付に基づく税還付分が丸々、“利益”として転がり込む格好だ。
本来、政治家が国に納めるはずだった税金の一部を政治家に投入しているに等しい。
まさに、錬金術だ。               (2013年4月12日10時39分  読売新聞)
 

迂回寄付、和歌山・奈良の衆院議員も

 大阪府の衆院議員らが「迂回(うかい)寄付」を行っていた問題で、
和歌山県、奈良県の衆院議員も同様の手法で所得税の還付を受けていたことがわかった。
 民主党の岸本周平衆院議員(56)(和歌山1区)は、
2009~11年に計3650万円を自身が代表を務める民主党支部に寄付、
同支部は計4700万円を岸本氏の資金管理団体に寄付していた。
岸本氏は取材に、所得税の還付を受けたことを認め、
「誤解を招く恐れがあり、今後は運用を改善したい」と説明した。
自民党の奥野信亮(しんすけ)衆院議員(69)(奈良3区)は落選中の10、11年、
自身が代表の党支部から資金管理団体に寄付を受けた後、自らが同支部に寄付。
奥野氏は「法律で認められた制度で、何の問題もない」と述べた。
2013年4月12日10時10分  読売新聞)
 

泉佐野市長も3年間、迂回寄付「節税のつもり」

 大阪府泉佐野市の千代松大耕(ひろやす)市長(39)は10日、読売新聞の取材に対し、
少なくとも2011年までの3年間、代表を務めている自民党支部に計450万円を寄付し、
一部を自らの後援会組織に還流させていたことを明らかにした。
千代松市長は毎年、所得税の還付を受けていた。
政治資金収支報告書などによると、
千代松市長は10年に150万円を「自民党大阪府泉佐野市第1支部」に寄付。
その後、同支部から後援会組織「千代松大耕を育てる会」に、計約78万円を寄付した。
千代松市長は毎年150万円を寄付し、一部を還流させた。
 千代松市長は、「節税のつもりでやった。法律の範囲内でやったつもりだが、
誤解を受ける会計処理で、市民に申し訳ない」と話した。
2013年4月11日10時18分  読売新聞)
 

迂回寄付の維新大阪府議、門真市長選の出馬断念

地域政党・大阪維新の会の公認で6月の大阪府門真市長選への立候補を予定していた
同党の宮本一孝府議(42)が10日、迂回(うかい)寄付で所得税還付を受けていたことについて、
「市長になれば税の徴収者になるが、有権者に信頼されるとは思えない」として、
出馬断念を表明した。
 府庁で記者会見した宮本氏は迂回寄付に基づく税還付に触れ、
「自分のモラルが低く、勘違いしていた。市民に申し訳ない」と謝罪した。
還付を受けた所得税の修正申告を検討したが、
迂回先だった政党支部をすでに解散しているため手続きができないという。
2013年4月11日13時17分  読売新聞)
 

迂回寄付の維新府議、門真市長選公認取り消しも

地域政党・大阪維新の会公認で6月の大阪府門真市長選に立候補予定の
宮本一孝府議(42)が、政党支部を利用した迂回(うかい)寄付で所得税の還付を受けていた問題で、
日本維新の会の松井幹事長は9日、東京都内で記者団に対し、「納税者に理解を得られない。
猛省すべきだ」と批判し、宮本氏の公認取り消しもあり得るとの考えを示した。
 宮本氏は自民党府議だった2010年までの3年間に
計800万円を自らが代表者の自民党支部に寄付し、所得税の還付を受ける一方で、
同額を自らの後援会に還流させていた。
松井幹事長はこうした手法について、「違法ではないが、
脱法的な感覚を納税者に持たれる」と指摘。宮本氏については「本人から話を聞いて考えるが、
民意とかけ離れていれば、党として応援する形にはならないのは当然」と述べ、
門真市長選での公認取り消しの可能性に言及した。
2013年4月10日10時30分  読売新聞)
 

維新の衆院2氏も迂回寄付…自民地方議員時代に

 日本維新の会国会対策副委員長の馬場伸幸衆院議員(48)(大阪17区)と、
同党の井上英孝衆院議員(41)(大阪1区)が、自民党の地方議員だった当時、
それぞれが代表を務めていた自民党支部を迂回(うかい)したうえで、
自らの資金管理団体などに寄付金を還流させていたことがわかった。
 寄付額は馬場氏が415万円、井上氏が100万円に上る。
迂回寄付は、大阪府議らが所得税の還付を目的に行っていたことが発覚している。
政治家が自らの後援会や資金管理団体に直接寄付した場合、
所得税の還付は受けられない。
 馬場氏が代表者の政党支部と後援会の会計責任者を務める公設第一秘書は、
読売新聞の取材に対し、「所得税の還付を受けた」と認めた。
2013年4月10日15時19分  読売新聞)
 

自民大阪府連会長が寄付還流 

維新2衆院議員も

日本経済新聞  
2013/4/11 12:11

 
 自民党大阪府連会長の竹本直一衆院議員(72)=比例近畿=が
2011年、自身が代表を務める党支部に500万円を寄付した後、
自らの資金管理団体に還流させていたことが11日、分かった。
 日本維新の会の馬場伸幸衆院議員(48)=大阪17区=と
井上英孝衆院議員(41)=同1区=が自民党の地方議員時代に、
同様の資金操作を行っていたことも判明。各議員は、
政党からの寄付に適用される所得税控除を受けていた。
 政治資金収支報告書によると、竹本氏は11年3月2日に300万円、
同11月28日に200万円を、代表を務める「自民党大阪府第15選挙区支部」に寄付。
支部は同12月16日に竹本氏の資金管理団体「新国土研究会」に
850万円を寄付していた。竹本氏の秘書は「監査を受けており問題はない。
対応が必要になれば検討する」としている。
 馬場氏は堺市議だった09~10年、代表を務めていた自民支部に
少なくとも約415万円をいったん寄付し、支部が馬場氏の後援会に寄付し直した。
井上氏は大阪市議だった09年12月29日、
代表を務めていた自民支部に100万円を寄付。
同日中に108万円を自身の資金管理団体に寄付した。
 租税特別措置法は、個人が政党や政治団体に寄付をした場合、
確定申告をすることで所得税の控除を受けられる。
一方、政治家が自らの資金管理団体に直接寄付する場合は
「寄付者に特別な利益が及ぶ」として控除が認められない。〔共同〕
 

 
 

2013年4月9日火曜日

米国株、続伸 ダウ最高値更新1万4673ドル46セント(速報値)

米国株、続伸 ダウ最高値更新、業績期待が強く
                                                                                     2013/4/10 5:21  日本経済新聞


     9日の米株式相場は続伸した。
ダウ工業株30種平均は前日比59ドル98セント高の1万4673ドル46セント(速報値)となった。
  2日に付けた過去最高値を更新した。
一時は上げ幅が100ドルを上回り、1万4716ドルまで上昇する場面もあった。
ハイテク株比率の高いナスダック 総合株価指数は15.61ポイント高の3237.86(同)で終えた。
新規の買い材料に乏しい中、投資家の1~3月期の企業決算に対する期待感が根強く
午後から買いが優勢となった。
 実体経済の回復基調や米連邦準備理事会(FRB )による金融緩和が続くとの見方も相場を支えた。
原油先物相場の上昇が波及しエネルギー関連株が上げたほか、
マイクロソフトやインテルとハイテク関連株の上げが株価指数を押し上げた。
中国が同日に発表した3月の消費者物価指数 (CPI)の上昇率が市場予想を下回り、
同国の金融引き締め観測がやや後退したことも好感した。



NYダウ 史上最高値を更新         
                                                                                         4月10日 6時2分    NHK
 9日のニューヨーク株式市場はアメリカの本格的な景気回復への期待感から買い注文が広がり、
ダウ平均株価は史上最高値を更新しました。
 9日のニューヨーク株式市場は、アメリカの本格的な景気回復への期待感から、
資源やエネルギー関連の銘柄を中心に買い注文が広がりました。
このためダウ平均株価は、
一時、前日の終値に比べて100ドル以上高い1万4716ドル46セントまで値上がりし、
取り引き時間中の史上最高値を更新しました。
その後はひとまず利益を確定するための売り注文も出ましたが、
結局、ダウ平均株価の終値は、前日より59ドル98セント高い1万4673ドル46セントで取り引きを終え、
終値でも史上最高値を更新しました。
市場関係者は「ヨーロッパに比べて、企業の業績が堅調なアメリカの景気回復への市場の期待感は強く、
資金が集まりやすい状況となっていて、しばらくは値上がりが続くのではないか」と話しています。
一方、ニューヨーク外国為替市場では、
ヨーロッパ経済に対する懸念がいくぶん和らいだとして円を売ってユーロを買う動きが強まり、
円相場はユーロに対しておよそ3年3か月ぶりに、一時、1ユーロ130円台まで値下がりしました。


2013年4月8日月曜日

昭和32年安保・砂川事件「日本の司法権の独立揺るがす」資料


「司法権の独立揺るがす」資料見つかる
昭和32年にアメリカ軍基地を巡って起きたいわゆる「砂川事件」の裁判で、「アメリカ軍の駐留は憲法違反」と判断した1審の判決のあとに当時の最高裁判所の長官がアメリカ側に1審の取り消しを示唆したとする新たな文書が見つかりました。
研究者は、司法権の独立を揺るがす動きがあったことを示す資料として注目しています。
「砂川事件」は、昭和32年7月、東京のアメリカ軍・旧立川基地の拡張計画に反対したデモ隊が基地に立ち入り、学生ら7人が起訴されたもので、1審の東京地方裁判所は、「アメリカ軍の駐留は戦力の保持を禁じた憲法9条に違反する」として7人全員に無罪を言い渡しました。
1審の9か月後、最高裁判所大法廷は、「日米安全保障条約はわが国の存立に関わる高度の政治性を有し、司法審査の対象外だ」として15人の裁判官の全員一致で1審判決を取り消しました。
今回見つかった文書は、最高裁判決の4か月前の昭和34年8月、アメリカ大使館から国務長官宛に送られた公電です。
元大学教授の布川玲子さんがアメリカの国立公文書館に請求して初めて開示されました。
文書には、当時の最高裁の田中耕太郎長官が最高裁での審理が始まる前にレンハート駐日首席公使と非公式に行った会談の内容が記されています。
この中で田中長官は、「裁判官の意見が全員一致になるようにまとめ、世論を不安定にする少数意見を回避する」などと語り、全員一致で1審判決を取り消すことを示唆していました。
文書には、田中長官の発言に対するアメリカ大使館の見解として、「最高裁が1審の違憲判決を覆せば、安保条約への日本の世論の支持は決定的になるだろう」というコメントも書かれていました。
会談当時は、日米両政府の間で、安保条約の改定に向けた交渉が行われている最中で、アメリカ軍の駐留を違憲とした1審判決に対する最高裁の判断が注目されていました。
文書を分析した布川さんは、「最高裁長官が司法権の独立を揺るがすような行動を取っていたことに非常に驚いている。安保改定の裏で、司法の政治的な動きがあったことを示す資料として注目される」と話しています。

専門家「文書は大きな意味」

日米外交史が専門で、東洋英和女学院大学教授の増田弘さんは、文書に記録された内容がやりとりされた背景について、「アメリカ政府は、翌年1月に安保改定を控え、在日アメリカ軍が違憲だという法的判断を認めるわけにはいかなかった。また、経済成長を重視し、軽武装でいきたい当時の日本政府にとっても在日アメリカ軍に依存する必要があった」と分析しています。
そのうえで田中長官の発言については、「翌年の1月より前に1審判決を退けてもらいたいというアメリカの要望にも配慮しながら、そのような動きをしていたと考えられる」と指摘しています。
増田さんは、1審判決を取り消したその後の最高裁の判断は、「日米の安全保障における重大な分岐点であり、文書は非常に大きな意味を持つと思う」と話しています。
また、憲法学が専門の早稲田大学の水島朝穂教授は「司法のトップが1審判決を取り消す見通しを事前に伝え、少数意見も出ないよう全員一致を目指すと約束するなど、ここまでアメリカに追随していたかとあぜんとした。司法の独立が放棄されており、さらなる解明が必要だ」と話しています。


砂川事件の元被告「憤り感じる」
 
デモ隊の1人としてアメリカ軍基地に立ち入り、裁判で被告となった土屋源太郎さん(78)は新たに公開された文書について、「事前にアメリカの公使と打ち合わせをしていたのは許されないことだ。15人の裁判官が全員一致で異論もなかったことを、当時、奇異に感じたが、その背景にこうしたやりとりがあったことに憤りを感じる」と話しています。
そのうえで、「最高裁のこの判決で、日米安保条約については司法が介入すべきでないという壁がつくられ、戦後の司法の大きな分岐点になった。その後の自衛隊や基地問題の裁判では、審理すらされないこともあり、大きな問題だ」と指摘しています。
最高裁は「事実関係を確認できないのでコメントすることはできない」としています。

「砂川事件」違憲判決、「60年安保改定遅れに影響」    日本経済新聞

 1960年の日米安保条約改定に絡み、米軍旧立川基地の拡張計画をめぐる「砂川事件」で米軍駐留を違憲とした59年3月の東京地裁判決(伊達判決)が改定手続きの遅れに影響したとの見解を、日本側が在日米大使館に伝えていたことが7日、機密指定を解除された米公文書で分かった。

 公文書は59年8月3日付でマッカーサー駐日米大使(当時、以下同)が米国務長官に宛てた公電。布川玲子・元山梨学院大教授(法哲学)が今年1月、米国立公文書館に開示請求して入手した。

 公電によると、改定日米安保条約批准案の国会提出時期について「外務省と自民党の情報源」が在日米大使館側に「(59年)12月開会の通常国会まで遅らせる決定をしたのは、最高裁が砂川事件の判決を当初予定されていた晩夏ないし初秋までに出せないことが影響した」と示唆。「事件は延期の決定的要因ではないが、係争中であれば社会主義者らに論点をあげつらう機会を与えかねない」と述べていた。

 今回公開された公電では、砂川事件の上告審で裁判長を務めた田中耕太郎最高裁長官が59年夏、面会したレンハート駐日米公使に「(最高裁の)評議では実質的な全員一致を生み出し、世論を揺さぶりかねない少数意見を回避するやり方で評議が進むことを願っている」と語っていたことも明らかになった。〔共同〕

砂川事件、最高裁長官が「少数意見回避願う」    読売新聞

 米軍旧立川基地にデモ隊らが侵入した「砂川事件」で、上告を受けた最高裁の長官が1959年、在日米大使館の首席公使に、公判日程の見通しや評議についての考え方を語っていたことを示す資料が、米国で発見された。
 これまでにも裁判をめぐって密談が存在したことを示す資料は見つかっていたが、研究者は「公判前に裁判長が自ら、利害関係のある外国政府に対して情報を提供していた証拠となる」としている。
事件を巡っては、1審が「米軍駐留は憲法9条違反」として無罪判決を出した後、地検側が最高裁に異例の跳躍上告をしていた。
 新たに発見されたのは、当時の田中耕太郎・最高裁長官とウィリアム・レンハート・在日米大使館首席公使との密談内容を、ダグラス・マッカーサー2世・駐日米大使が米国務長官に報告した文書。最高裁の公判日程が決まる3日前の59年7月31日付で、密談の場所は「共通の友人宅」と記されている。
 文書で大使側は「同僚裁判官たちの多くが、それぞれの見解を長々と弁じたがる」ことが問題になると指摘し、これに対し田中長官が会談で「結審後の評議は、全員一致を生み出し、世論を揺さぶるもとになる少数意見を回避するようなやり方で運ばれることを願っている」と発言し、判決は12月になるとの見通しも語った、と記している。
 文書は「最高裁が政府側に立った判決を出すなら、新安保条約を支持する世論の空気は決定的に支持され、社会主義者たちは投げ飛ばされることになる」と結ばれている。
2013年4月8日07時19分  読売新聞)