2013年3月13日水曜日

2015年からカネも何にもないのに相続税

相続税、「自宅・現金各5000万円」は要注意
                                              2013/3/13

     「相続税なんて、お金持ちしか関係ない」  と思っていると、
自宅の相続でトラブルに遭遇するかもしれません。
 特に、2015年の税制改正以降は、
基礎控除が現行の6割水準に引き下げられる可能性が高く、
そうなれば相続税が課税される人が増えることになります。
相続をスムーズに進めるためにも、
早めの情報収集と対策を心がけたいものです。
今回は税制改正の影響と、賢い自宅相続のポイントについて解説します。

 我が家の相続は実家一軒とわずかな預貯金のみ。
そんな人ほど相続準備が必要だ。

 その最大の理由が2015年に予定されている税制改正。
相続税基礎控除 が現行の6割に引き下げられることで、
資産は実家しかなくても相続税がかかる可能性が高くなる。
 例えば、土地評価額5000万円の実家(子供は親と同居)と
現金5000万円を相続した場合、現行では相続は非課税だが、
2015年以降は課税となる可能性が高い「きわどいライン」にある。



自宅の相続は税制改正の影響を大きく受ける
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自宅の相続は税制改正の影響を大きく受ける


 ではどんな事前準備ができるのか。
土地の評価額を下げて相続税を減らす方法を知っていれば、
親が元気なうちの実家建て替えも有効な相続対策になる。
 例えば二世帯住宅や賃貸併用は
ポイントを押さえればさまざまな税メリットがある。
同時に相続財産は家一軒の家族ほど相続でもめやすい
という実態も知っておこう。
家という分けにくい資産を賢く分割する方法も知っておきたい
(こうした方法については、次回以降の記事で解説する予定)。

 では、自宅の相続で失敗しないためには、
どのような点に注意するべきだろうか。
ここではQ&A形式で、自宅相続の勘所を解説する。


【Q】不動産を生前贈与する場合、一番お得な方法は何でしょう。
【A】子供が家を買うなら、相続時精算課税がおススメです。

 子供の住宅購入時など1度に多くの資金を贈与したい場合、
親1人につき2500万円まで贈与税が非課税になる
相続時精算課税制度がお薦めだ。
 住宅購入資金向けの贈与700万円まで非課税になる
「住宅資金贈与の特例」[注]との併用も可能。
2つの制度を使えば子供は父からだけでも
3200万円を税金なしで受け取れる。
住宅ローンの返済も楽になるだろう。

 注意点もある。
相続時精算課税は「贈与時に免除した税金は相続時に精算する」という
課税先延ばしの制度。
最終的に相続税を払う必要のない人は贈与時の税金は免除されたままで済むが、
相続税を払う必要のある人には、免除された分にも改めて税金がかけられる。



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また通常の方法(暦年贈与)で生前贈与した場合、
相続時に相続財産として加算されるのは相続開始前3年以内の贈与財産が対象。
この点、
相続時精算課税は「生前贈与した全ての資産を相続財産として加算するルールが
あるため、
制度を使わない場合より相続財産が膨らんでしまうことがある点には要注意」
(税理士・中垣光博さん)という。
だが、生前贈与した財産は、相続時に他の相続財産と合算する際、
贈与時の時価で評価するルールもある。
従って、将来価格が上がりそうな土地や株式は、
相続時精算課税を使って生前贈与すると有利になる可能性も。
将来相続税がかかる人が同制度を使う場合、長所と短所を比べながら検討しよう。




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[注]住宅資金贈与の特例の非課税枠は2013年は700万円、
14年は500万円(一般住宅購入の場合)

【Q】田舎に住む親が持つ空き地や山は、相続した方がいいですか。
【A】収益が見込めない不動産は、親が元気なうちに売却の準備を進めましょう。



 「ある地方都市に住む人の話では、
駅の近くの土地なのになかなか買い手がつかず、
待ちに待った末にようやく隣のお医者さんが駐車場にすると買ってくれたようです」
と税理士・土田義二さんはしみじみ話す。
親が持つ田舎の土地は、確実な収益性が見込みにくいため、
自分が住むなど目的がない限りは早めに売却するのが無難のようだ。



■放っておくとトラブルも

 土地を相続したまま放っておくと、
不用物を不法投棄されたり、
無断で火遊びに使われ事故を引き起こされたりする
などの恐れもある。
「トラブルがあった際には土地の所有者が責任を問われるため、
土地を持っていること自体がリスクになる」(土田さん)という。



 田舎の土地に立派なビルを建て、賃貸経営を始める人も多い。
だが、「調子がいいのは初めだけで、
その後の空室や賃料引き下げで赤字は膨らむばかり……
という失敗談もよく聞く」(土田さん)。
都心に比べ田舎になるほど空室リスクが高まることを覚悟の上、
10年、20年先の収益プランまで検討し、慎重に考える必要がありそうだ。



 収益が見込めない土地は、
親が元気なうちから売る準備に取り掛かるのが理想だが、
相続時まで売れずに残ることもある。
 取りあえず相続した場合でも、引き続き売る努力をし、
早めに処分するのが得策だ。
 「相続税の申告期限から3年以内に土地建物を売却すると、
支払った相続税の一定金額を
土地建物の取得費に加算できる特例が使えます」(中垣さん)。
この特例を使うと、土地を売ったときにかかる所得税 が軽減できる。
極力、期限内に売却し、節税に役立てよう。

■相続をしない選択も

 親の持つ不動産に多額のローンが残っているケースもある。
どうしても引き継ぎたくなければ、相続自体を放棄する「相続放棄」か、
一部の資産のみを相続する「限定承認」という選択も可能だ(下の図参照)。



親の「不良資産」を相続したくなければ、相続放棄も可能
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親の「不良資産」を相続したくなければ、相続放棄も可能



 この場合、相続放棄・限定承認ともに
相続があった(親の死亡時)ことを知った日から3カ月以内の手続きが必要。
この期間に手続きを怠ると、自動的に通常の相続の「単純承認」をすることになる。

 思わぬ不良資産を継がないためにも、
親の資産は事前に把握し、早めに準備しておこう。







 
                                   

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