2012年3月30日金曜日

政府は遣るべき事もせず初めて原発被害者の意見会議

原発再稼働判断の前にやるべきこと    2012/3/30 14:00
政府の原子力委員会は3月24日、東電福島第1原発の廃炉作業について
福島県民の意見を聞く会を初めて開いた。
福島県郡山市の会場では、廃炉作業への不安だけでなく、
事故対応や再稼働問題に対する不満や憤りの声が噴出。
原子力委員会の近藤駿介委員長は何度も謝罪の言葉を繰り返した。
原発事故から1年。
会合は県民が今なお抱く原発への根深い不信感を政府に再認識させる場になった。
会合には原子力委員会メンバーのほか、経済産業省や東電の担当者も出席
事前に選ばれた県民9人が意見を述べた。
今回のテーマは廃炉作業。だが意見の中で最も目立ったのは、
原発事故を防げなかった責任の追及だった。
福島市に住む女性は「近藤委員長を含め、誰も責任を取っていない」と声を上げた。
郡山市の男性も「原発の安全神話は政府がつくり出した。
もう信頼関係は築けない」と強調した。
■政府の不手際への不満消えず
事故直後の避難指示を巡る混乱、
放射性物質の拡散を予想する「緊急時迅速放射能影響予測ネットワーク
(SPEEDI)」の公表の遅れ、放射線量に基づく避難区域設定の唐突な見直し……。
県民の間では政府による一連の不手際への不満が消えない。
テーマである廃炉作業についても不安の声が相次いだ。
「2号機は本当に再臨界していないのか。
4号機の耐震性は大丈夫なのか」(浪江町から避難した男性)
「核燃料を取り出す技術の開発には10年かかる。
実現は可能なのか」(郡山市の男性)――。
政府は昨年12月、原発事故の収束を意味する「冷温停止状態」を宣言した。
だが宣言後も、
圧力容器に設置した温度計の故障や循環冷却水の水漏れなどが相次ぎ、
再び大量の放射性物質が漏れ出すことへの不安は尽きない。
コメンテーターとして参加した
元東芝の原子力技術者で会津大学の角山茂章学長は
「廃炉作業では住民が被曝(ひばく)するリスクもある。
住民と意見を交換しながら作業を進めていく必要がある」と強調した。
政府が検討する原発の再稼働に対する疑問の声も多かった。
「この1年を思うと、涙が出てくる。この苦しみは東京には分からない。
事故は必ず起きる。
子や孫のために再稼働はやめるべきだ」(二本松市の男性)。
子供を近畿地方へ避難させて家族がバラバラになったという男性は
「防げなかった人が引き続き判断するのはおかしい」と述べ、
再稼働を判断する組織体制を批判した。
■大飯原発の再稼働判断は現行体制で
政府はストレステスト(耐性調査)の1次評価が終わった
関西電力大飯原発3、4号機(福井県おおい町)について、
再稼働するかどうかを近く判断する方針。
新体制の整備が遅れ、
福島第1原発事故が起きた時と同じ
経産省原子力安全・保安院や原子力安全委員会という
現行体制で再稼働問題に対応する。
近藤委員長は冒頭、
「発電所の事故で福島県を中心とした広い地域が汚染され、
住民に避難をお願いして帰宅できない状況にあり、
誠に申し訳ありません」と謝罪。
会場から相次いだ批判に対しては、
2005年に改訂した原子力政策大綱で事業者や地方自治体に
防災対策を強化するように求めた事例を挙げながら
「現場に対策を徹底するように求めなかった」と反省の弁を述べた。
会場で意見を述べなかった参加者の間には
「今回の批判や不満が県民すべての意見ではない」
という冷静な意見もあった。
ただ原発事故などで自宅を離れた県民は約16万人に上る。
農業や観光業など放射能による被害も続いている。
政府は廃炉作業などの詳細な説明だけでなく、
原発の再稼働を判断するうえでも、
今回の事故で最も被害を受けた
福島県民の意見に謙虚に耳を傾ける必要があるのではないだろうか。

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