(1)背筋ピン、かかとで着地
有酸素運動のウオーキングは脂肪の燃焼や心肺機能の向上に効く。しかし効果を高めるには、速度を意識してエネルギー消費を多くすることも必要だ。正しい姿勢で大股にすることを心がけると自然に速く歩けるようになる。
埼玉県立大学の藤縄理教授を訪れると、いきなり厳しい口調で指摘された。「歩く前に立つ姿勢がよくない。街を歩く人のほどんどが猫背になっている」。猫背だと筋肉の負担が増し、腰痛や肩こりなどの原因にもなる。
正しい姿勢は壁を背に立ち、かかととおしり、肩甲骨、後頭部を付ける。腰と壁の間の隙間に手のひらが入るのが目安だ。「おへその下にぐっと力を入れる」と藤縄教授は助言する。猫背だと肩の位置が前に来やすい。
次に、この姿勢で幅10センチメートルほどの線に沿って歩く。つま先をしっかり上げ、足首がV字になるようにしてかかとから着地し、足の親指で地面を蹴る。太ももの内側からおしりへと、下から上へ筋肉を順番に使う。「普段いかに筋肉を使っていないかが分かる」と藤縄教授はいう。
(2)足を軸に腰を回して
なぜか正しい姿勢は決まっているが、足の動かし方は研究者によって流儀が違う。次に訪ねたのは、歩き方教室を開催している東京大学の柏キャンパス。スポーツ科学が専門の小林寛道・東大名誉教授の理論によると「大腰筋」を使うのがポイントだという。大腰筋は骨盤を通って背骨と大腿骨を結ぶ太い筋肉で、老化に伴って減りやすく、70歳代では20代の半分になる。
小林流の足の運び方は独特だ。例えば、左足を踏み出すとき、左側の腰も一緒に前に出すようにする。着地したら足全体に体重を載せ、左足を軸にして右側の腰を回転させながら右足を前に出す。着地した側で片足立ちをすると、体の軸という感覚をつかみやすいという。
腰を回転させる分だけ歩幅も10センチメートルほど広がる。この歩き方をすると、通常のウオーキングでは鍛えるのが難しい上半身の筋肉を使うほか、体の深いところにある筋肉に働き掛ける。小林名誉教授は「歩きながら、他の動きもこなせる体になる」と話す。
(3)足の前部で着地、忍者歩き
「かかとで着地しないのが自然な歩き方」。全日本ウオーキング連合会会長を務める池田克紀・東京学芸大名誉教授は忍者のような不思議な歩き方をして現れた。「足の裏のつま先寄りの前部で着地するのがよい」という。マラソンや短距離走など陸上選手の中には足裏の前部で着地する人もいる。
かかとから着地する歩き方ではひざが伸びきった状態になる。アスファルトのような硬い路面を歩くとき、着地の衝撃がひざや腰に伝わりやすい。一方、足裏の前部から着地する場合、曲げた膝や足首がクッションの役目を果たすという。最近ははだし感覚をうたった靴底が薄く、地下足袋のようなシューズも人気を集めている。
今のシューズは靴底に衝撃を吸収しやすい素材を使っており、かかとで着地しても問題ない。しかし、池田名誉教授は「一度、はだしで小石のある道を歩いて筋肉の使い方がまるで違うことを体験し、日々の歩行にその感覚を取り入れてみては」と助言する。
■自分に合う歩き方探して
いろいろな歩き方があるが、普段使っていない全身の筋肉を動かすという目的は同じ。国立健康・栄養研究所の宮地元彦・健康増進研究部長は「内股やすり足、猫背などはやめて、さっそうと歩くよう心がける」と助言する。ちなみに宮地部長の歩き方は足裏の前部で着地して頭が上下に大きく揺れる。「ゴムまりみたいといわれる」と話す。
世界中の論文を読んできた経験から「誰にとっても健康維持に効果があるといえる歩き方はない」という。例えば足裏の前部で着地する歩き方は足腰への負担が少ない半面ふくらはぎが疲れやすく、初心者は長く歩くのがつらい。
ただ歩くペースが速い人ほど長生きで、1日に15分間歩く時間が増えると死亡リスクが2~4%下がるという。「自分に合う歩き方を探し、少しでも速く長く歩こう」と宮地部長は訴える。





デモの沈静化も当局の指示によるものだった。北京の警察は、市民に日本大使館に行かないようショートメッセージを送信。このメッセージを受けて、デモ隊で埋め尽くされていた日本大使館の前は平常に戻った。前日に1万人以上が押し寄せた上海の日本総領事館前もデモ隊の姿は見られなくなった。興梠教授は「デモは最初から大きくすることも小さくすることもできる。中国の政治体制は当局の思うままにコントールできる。動員国家というのは、全然変わっていない」と話す。
デモの参加者の多くは若者。1990年代から始まった愛国主義教育を受けていて、特に反日感情が強いといわれている。彼らが中学校で学ぶ歴史の教科書には、日本との戦争が1つの独立した章として設けられている。上海と東北部の瀋陽でそれぞれデモに参加したという20代の男女2人が電話取材に応じた。女性は「みんなが一致団結して抗議の声を上げ気分がとても高まった」、男性は「今回の日本の島の国有化は本当に頭にきた。またデモがあれば参加する」と語った。
インターネットの呼びかけや口コミで集まった若者たちの姿も目立った。広州では祖国を思う歌を合唱するグループや頬に国旗のシールを貼って盛り上がる人たちの姿も。中国ではデモや集会が厳しく規制されている。反日デモであれば、政府のお墨付きで街頭に繰り出すことができ、若者がストレスを発散する機会になると言われている。興梠教授は「遊び感覚で、お祭り感覚でやってる人もいる。普段は彼らは日本のアニメが好きだったり日本の本が好きだったりする子が多い」と指摘する。
一方で、今回の反日デモでは、当局のコントロールがきかない深刻な状況も浮かび上がった。一部の参加者は暴徒化。関係のないホテルの看板を破壊する人たちや広東省では、共産党の建物が襲撃された。経済成長から取り残され、共産党幹部の汚職に怒る人たちの不満が反日デモを機に爆発したとみられている。また建国の父、毛沢東の肖像画をかかげてデモに参加した人たちもいた。興梠教授は「毛沢東の時代はよかったという現政権への批判だ」と話す。全国に広がった反日デモは、中国政府にとって、対応を誤れば批判の矛先が自分たちに向きかねない「両刃の剣」であることが、改めて浮き彫りになった。


肥満は、日々の修行に影響を及ぼすまでになっている。一番後ろで1人だけ足を崩すパイラットさん。ひざを十分に曲げられないため、お経を読むときはいつもこの格好だ。「よくないとはわかっているが、座れないからしかたがない」とパイロットさん。
僧侶専門の病院も対策に乗り出した。ことし5月からダイエットの講習会を始めた。パイラットさんも参加。威厳を保つため、戒律で運動が禁じられているタイの僧侶はジョギングもエアロビクスも許されない。ストレッチでダイエットに挑戦だ。
講習会のあとパイラットさんは、肉や揚げ物を減らし、野菜と米中心の食事に変更。食後は人目を避けてのストレッチが日課になった。たく鉢では歩数計を身につけ、歩く距離を1キロから3キロに延ばした。
ダイエットを始めて3か月。10キロの減量に成功。しかし、まだ体重は130キロ。ウエストも100センチ以上ある。「以前はたく鉢のあと、ひざが痛くて2、3日休んでいたが今は平気。体が健康なら、あちこちに出かけてたく鉢もできるし、張りのある声でお経を読むこともできる。僧侶として長く活動していきたい」とパイラットさんは話す。昔も今も国民の心の支えであり続けるタイの僧侶。食べきれないほどのお布施と、厳しい戒律の中で、健康な体を取り戻すための取り組みが続いている。








