2012年11月12日月曜日

一審が無罪でも二審判決の入裁は被告なんだ



控訴審判決のため、東京高裁に入る「国民の生活が第一」代表の小沢一郎被告(12日午前)
控訴審判決のため、東京高裁に入る
「国民の生活が第一」代表の小沢一郎被告(12日午前)
[画像あり] 写真一覧    日本経済新聞 電子版2012年11月12日

小沢代表に2審も無罪 東京高裁
11月12日 13時40分

小沢代表に2審も無罪 東京高裁
国民の生活が第一の小沢一郎代表が政治資金を巡って強制的に起訴された裁判で、2審の東京高等裁判所は「収支報告書の記載が正しいと考えていた可能性がある」として、1審に続いて無罪を言い渡しました。

小沢一郎代表(70)は、平成16年と17年分の資金管理団体の収支報告書にうその記載をしたとして強制的に起訴されましたが、1審の東京地方裁判所は、ことし4月、無罪を言い渡しました。
9月に東京高等裁判所で行われた2審の裁判で、検察官役の指定弁護士は有罪にすべきだと主張したのに対し、代表の弁護団は再び無罪とするよう求めていました。
12日の判決で、東京高等裁判所の小川正持裁判長は「当時、秘書が細かな経緯を説明せず、小沢代表も収支報告書の記載が正しいと考えていた可能性がある。無罪だと判断した1審の判決は正当なものだ」と指摘し、1審に続いて無罪を言い渡しました。
法廷で無罪を言い渡された小沢代表は表情を変えず、裁判長に向かって数秒間、頭を下げました。
その後、裁判長に促されて席に座ると、正面を向いて判決の理由を聞いていました。
これまでに検察審査会の議決によって強制起訴されたケースは6件ありますが、判決が言い渡された2件はいずれも無罪となっていて、初めてとなった今回の2審でも無罪と判断されました。

弁護団“良識に基づいた判決”

判決のあと、小沢代表の弁護団の弘中惇一郎弁護士は「きょうの2審は、小沢代表が事前の説明を受けていないことなどを認めていて良識に基づいた無罪判決だと思う。
指定弁護士は、常識的な判断をして上告をせず速やかに裁判の終止符を打つべきだ」と話しました。
また、判決について、検察幹部のひとりは「そもそも検察審査会の『起訴すべき』の議決は正しくなかったと言え、無罪は当然だ。
上告の理由は見当たらず、このまま無罪が確定するのではないか」と話しています。

“上告は今後検討”

検察官役の指定弁護士を務める大室俊三弁護士は会見で「上告するかどうかは指定弁護士3人で検討して決めたい」と述べ、今後の対応については明らかにしませんでした。
また、判決に対しては「主張が理解されず残念だ。
会計責任者を指導監督する政治家が『責任者に任せているから知らない』と言えば責任に問われないと誤解されるのではないか」と述べました。

官房長官“個別事件なので所感述べず”

藤村官房長官は、記者会見で「国民の生活が第一の小沢代表に2審の判決が言い渡されたということは聞いたが、詳細な中身は聞いていない。個別の具体的な事件に関する裁判所の判断のことなので、政府として所感を述べることはない」と述べました。
また、今回の無罪判決が次の衆議院選挙に与える影響について、藤村長官は「選挙のことは政党間の話であり、各党の幹事長などは言及するかもしれないが、政府として言及することはない」と述べました。

裁判の経緯

小沢代表は東京地検特捜部が不起訴にしたあと、検察審査会の議決を経て強制的に起訴され、裁判が行われてきました。
裁判の舞台となったのは、小沢代表の資金管理団体「陸山会」が平成16年に購入した東京・世田谷区の土地で、購入資金として小沢代表が4億円を出し、当時の秘書らに渡しました。
東京地検特捜部はこの4億円が陸山会の収支報告書に記載されておらず、報告書の内容はうそだとして元秘書3人を起訴しましたが、小沢代表については明確な証拠がないとして不起訴にしました。
しかし、検察審査会が二度にわたって起訴すべきと議決したため、去年1月、強制的に起訴されました。
1審の裁判で小沢代表は「すべて秘書に任せており、罪に問われる理由はまったくない」とみずからの関与を否定し、一貫して無罪を主張しました。
ことし4月、東京地方裁判所は「代表が具体的な事情を知らなかった可能性があり、うその記載だと認識していたとは言えない」と無罪を言い渡しました。
指定弁護士が控訴し、9月に東京高等裁判所で行われた2審の審理では「うその記載だと認識していたはずだ」と有罪にするよう求めた一方、代表の弁護団は「明確な認識はなかった」と再び無罪を求めていました。
この日、指定弁護士は元秘書を証人として呼ぶことや証拠を調べることを新たに求めましたが、東京高裁はいずれも認めず、審理は一日で終わっていました。

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