日経平均の終値は前日比5%安の1万3589円03銭。1000円超下落する前日の22日に付けた年初来高値と比べると2000円超(1割)下げた。短期筋の株価指数先物への売りも続き、取引終了直前の1分間だけで100円近く下げた。
過熱への警戒感から売りが膨らんだこれまでと30日の違いは、欧米市場の変調という外部要因がきっかけになった点だ。
前日29日、米連邦準備理事会(FRB)が金融緩和の早期縮小に踏み切るとの観測が浮上し、欧米株が下落。30日のアジア市場でもフィリピン株などが急落し、リスク回避の動きが広がった。「FRBの緩和縮小が世界市場に波乱をもたらしかねないリスクが再確認された」(BNPパリバ証券の河野龍太郎氏)
金融引き締めは景気の底堅さを示し、必ずしも悪材料ではない。だが投資家は「出口」に至る難しさを警戒、米10年物国債利回りは最近、2012年4月以来の水準に上昇した。「景気の足取りに比べ金利上昇ペースが速くなれば住宅市場の足を引っ張り、米国株高の構図が崩れる」(クレディ・スイス証券の白川浩道氏)との指摘も出る。
世界の投資家がリスク回避に動く中で日本株の下げが目立ったのは、相場の不安定さが収まりきっていなかったためだ。
先物と現物株を組み合わせた取引の残高は、5月中旬に6年2カ月ぶりの水準に膨らんでいた。ファンド勢の先物買いが膨らむことで現物株も押し上げられてきたが、最近は先物の売りに引きずられて現物株も下げる動きだ。証券会社も先物の売り手になっている。株高局面でヘッジファンドとの取引に絡んだリスク管理のために先物を買っており、株価が下がると損失を限定するため、保有高の縮小を迫られる。
この動きに拍車をかけるのが短期筋の売りだ。「『円売り・株式先物買い』を続けてきた一部ファンドが、いったん取引を解消している」(欧州系証券トレーダー)
損失リスクを避けたい投資家が円買いに動くことで円高が進み、さらに株安を招くというリスクも日本株にはある。
もっとも、急落を経ても日経平均の年初来の上昇率は3割にのぼり、1~2割の米国株やドイツ株を上回る。指標面の割安感から、投資家が好業績銘柄を選ぶ動きが再開する可能性もある。30日の大阪証券取引所の夜間取引では日経平均先物が上昇、1万4000円に迫る場面もあった。30日午前の米国株式市場ではダウ工業株30種平均が反発して推移している。
荒れた相場はなお続きそうだが、「企業業績や国内景気は堅調で、日経平均が1万3000円を大きく下回るとは考えにくい」(三井住友アセットマネジメントの浜崎優氏)との声もある。 2013/5/31 1:20 nikkei.com
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