2013年6月10日月曜日

市場が「最大野党」、アベノミクスの浮沈かかる

グローバルOutlook
今週はアベノミクスの浮沈を賭けた1週間となる。10~11日に日銀は金融政策決定会合 を開き、14日の閣議で成長戦略や骨太方針を最終決定する。今や「最大野党」となった株式、為替市場を落ち着かせるには、政権の意思と行動が問われよう。


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日経平均株価 は先週、1万3000円を下回ったが、土俵際として意識される水準がある。1万2397円と1万1883円だ。前者は今年3月期末の株価で、ここを下回ると新年度に入ってからの株価上昇は帳消しとなる。


 後者の1万1883円は、昨年初から日本株を10兆円強買い越した外国人投資家にとって、含み益がゼロになる水準だ。外国勢の含み益は今年5月22日には3.2兆円に膨らんだが、日経平均が1万2887円まで下落した先週末には9000億円弱と、1兆円の大台を下回った。

 計算上は日経平均があと約1000円下がるだけで、アベノミクス相場に賭けて投資した日本株は、含み益がなくなってしまう。今回の上げ相場で全体として売り越した日本の投資家と違って、外国勢は土俵際なのだ。10兆円強も投資している日本株で損を出したくない。そう考えれば、売りを手控える可能性はある。

 日本株をめぐる攻防は、為替市場にも波紋を投げかけている。今回の日本株高の起点は、アベノミクスの第1の矢である大胆な金融緩和と円高修正である。円安の下で日本株投資を増やした外国勢は、為替リスクを抑えるために、先物の円売りを膨らませていた。
 大手資産運用会社の試算によると、日本株投資に伴う円の先物売りは10兆円規模にのぼっていた。その巻き戻しが出るとの観測から、先週の為替市場では円高が進んでいる。

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日銀の政策決定会合では、市場混乱の収拾策が焦点となり、追加緩和が打ち出されよう。その際に重要なのは、デフレ 脱却という基本だ。物価を上向かせ実質金利 を押し下げることは、企業が保有する資金を投資などに向かわせるうえでも欠かせない。
 長期金利 上昇の抑制を意識する余り、国債 購入に力点を置くようだと、債券から株式への資金シフトを滞らせかねない。上場投資信託 (ETF)が購入対象として重要性を増しているとみられる。
 5日に示した政府の成長戦略に対しては、税の問題を素通りにしたとの不満も、市場参加者の間では強い。これに対し、安倍晋三首相は「日本経済新聞」のインタビューで設備投資減税を実施すると明言した。この減税については財務省とも話はついているもようだ。
 市場に漂っている不透明感は7月の参院選後の政策運営。軸足が憲法改正などに移るとの観測もあったが、首相自身が経済優先の政策運営を確約した。政権の姿勢はかなりハッキリした。市場にこうしたメッセージが届けば、景気と企業業績の好転を背景にアベノミクス相場の復活につながる期待も残る。

2013/6/10 7:00     [有料会員限定]





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