2013年1月17日木曜日

編集長交代 中国の言論の不自由を週刊誌「南方週末」に見る

南方週末、編集長交代へ 早期の幕引き狙う
後任に記者出身の王氏


                                                日経新聞         2013/1/19 0:09
 
 中国の週刊紙「南方週末」の紙面が広東省共産党宣伝部の介入で改ざんされた問題で、同紙発行元の南方報業伝媒集団(広東省広州市)は18日、当局の介入を認めて現場記者と対立している南方週末の黄燦編集長を交代させ、後任に南方集団の王更輝副編集長を就ける方向で調整に入った。早期幕引きを狙う広東省トップの胡春華氏の意向に沿った対応とみられる。

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 中国当局は当初、南方週末の黄燦編集長の交代と引き換えに、紙面の改ざんを指示した広東省党宣伝部の●(席の巾が尺)震部長を事実上の更迭とし、双方が責任を取る形での幕引きを図ろうとした。
 その後、当局側は記者側との折衝を通じ、記者の間に当局の改ざん指示を受け入れた黄編集長への不満がくすぶっていることを把握。事態の早期収束に一定の手応えを感じ、管理下にある南方週末発行元の南方集団を通じ、まずは黄編集長の交代を指示した。
 これで南方週末記者の反発が弱まれば、改ざんを指示した広東省党宣伝部の●震部長が責任を取らずに事態を収めることができるとの思惑も当局側にはありそうだ。

 ただ、記者側は当局にも混乱の責任を取るよう迫る構えを崩していない。紙面の事前検閲の大幅な緩和も求めており、再び反発が強まる可能性はある。

 インターネット上のミニブログでは、プロフィル写真を南方週末のロゴに変え、暗に同紙を支持する姿勢を示すユーザーが依然多い。南方週末編集部が入る南方集団の本社前では18日も、記者を支持する人々が抗議活動をしないよう警戒態勢が敷かれた。

 南方週末の新たな編集長に就く見通しの王氏は、南方集団が発行する広東省党機関紙、南方日報の記者出身。香港紙サウスチャイナ・モーニング・ポストによると、現場記者からの信任は厚いという。広東省党宣伝部の管理下にある南方集団は、王氏ならば記者らの反発を収められると判断したようだ。

 南方週末の記者らがまとめた報告書によると、黄氏は当局の指示を受け、当局者とともに新年号の記事改ざんを記者に指示した。反発した記者らがストライキを実施。この際、当局者や黄氏とともに、王氏も事態の収拾に向けて対応していた。

 今回、記者らが反発した背景には、当局が南方週末に対し、近年特に執拗で強引な介入を繰り返してきたことが大きい。同紙発行元の南方集団は他の中国メディア同様、地元の広東省共産党傘下にあるが、発行部数170万部の南方週末は不正追及や改革的な論調で知られる。

 同紙関係者によると、2012年の1年間で当局によって書き換えや掲載中止を指示された記事は1034編にのぼる。新年号の記事は年末年始の休暇中だった記者の目を盗むように、当局が編集長に改ざんを指示したことが、記者の反発を招いた。

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