2013年2月27日水曜日

メールでなくFAXだ うわぁ

タブレットかFAXか 維新の存在意義
関西Made ベンチャー政党(3)


2013/2/28 2:00


 「資料はFAXで送ってほしい」。日本維新の会政調会長の浅田均(62)は維新に合流を決めた「太陽の党」の重鎮の要請に戸惑いを隠せない。政策調整の資料をメールで送ろうとしたが、共同代表の石原慎太郎(80)や副代表の平沼赳夫(73)はメールチェックの習慣がないというのだ。


維新の浅田政調会長はタブレットを手放さない
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維新の浅田政調会長はタブレットを手放さない

■「FAXなんて」

 浅田は共同代表の橋下徹(43)とは1日10本以上メールをやりとりすることもあるし、外出時はタブレット(多機能携帯端末)持参だ。「FAXなんて超アナログやないか」。浅田の違和感は強い。

 

 大阪生まれの維新が全国でアピールするには、東京都知事を務めた石原の存在は魅力的だった。維新側は石原1人の移籍を望んだが、石原は盟友と「太陽」を結成していた。急な合流に伴うギャップは通信手段だけではない。

 

 2012年11月29日、浅田は新生維新の公約発表記者会見に臨んだが、直前まで太陽の参院議員、片山虎之助(77)から電話が続いた。太陽側が求めたのは維新の看板政策の「30年代に原発ゼロ」「農協ではなく農家のための農業政策」などの撤回だった。

 「選挙を考えろ」。岡山県選出の片山ら太陽の議員の選挙区では電力会社や農協の票は無視できず、大阪など比較的都市部の意見を代表する維新の政策への反発は強い。

■宗旨変えに批判

 結局、維新は公約で原発絡みの表現を「既存の原子炉は2030年代までにフェードアウト」と薄め、「宗旨変えだ」と批判された。ただ、農業分野の改革をうたう文言は残した。浅田は片山に「既得権益に踏み込まなかったら維新ではなくなる」と反論した。

 

 旧太陽との溝が埋まらぬ半面、合流は衆院選で一部連携したみんなの党との間にしこりを生んだ。代表の渡辺喜美(60)は「合流で維新の政策がまるで分からなくなった」とつれない。

 

 浅田は参院選に向けてみんなの党政調会長の浅尾慶一郎(49)と政策協議を重ねる。浅尾は浅田と同じく米スタンフォード大で修士号をとり、タブレット愛用派だ。「話が合うんや」。一方、FAX派の太陽系議員へのいらだちは消えない。

 タブレットかFAXか。それは大阪で支持を集めた維新の存在意義の確認でもある。浅田はFAXの受信音を複雑な思いで聞いている。

(敬称略、年齢は現在)

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