2013年2月16日土曜日

G20 「通貨安競争を回避」

「通貨安競争を回避」G20声明 日本批判避ける 
                                          
             日経新聞  2013/2/16 21:43 (2013/2/16 22:17更新)



 モスクワで開いた20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議は
16日夕(日本時間同日夜)、共同声明を採択して閉幕した。
 「通貨の競争的な切り下げを回避する」と明記し、通貨安競争を避ける方針で一致。
日本が円安を誘導しているという名指しの指摘は避けられたが、
自国通貨高を懸念する新興国と先進国の対立は残りそうだ。日米両国には財政健全化を促した。

G20共同声明のポイント
【為替・金融政策】
・通貨の競争的な切り下げは回避する
・先進国の金融緩和が新興国に与える波及効果を懸念
・あらゆる形の保護主義に反対
【財政健全化】
・短期的な成長と長期的な財政再建にバランス良く取り組む
・2016年以降の新しい財政健全化目標を検討
【世界経済】
・世界経済のリスクは軽減。成長は依然弱い
・新興国の発言力高めるIMF改革の発効は先送り
 日本からは麻生太郎副総理・財務・金融相と白川方明日銀総裁が出席。
大胆な金融政策を柱の1つとする安倍政権の経済政策「アベノミクス」の目的は
デフレ脱却という国内問題の解決にあり、円安誘導ではないと説明した。
麻生財務相は16日の討議後に記者団に対し日本の政策や円安に「特に意見はなかった」と語った。
 12日に日米欧の主要7カ国(G7)が発表した共同声明は
「財政・金融政策が為替レートを目標にはしない」としていたが、
G20声明は「金融政策は国内物価の安定と景気回復を支援し続けるために実行すべきだ」と指摘。
一方、「為替レートの過度な変動及び無秩序な動きは経済や金融の安定に悪影響」
とG7声明とほぼ同じ文言を盛り込んだ。
 また、前回メキシコで開かれたG20会議での声明で記した
「為替レートの経済の基礎的条件(ファンダメンタルズ)からの乖離(かいり)を避ける」
との表現を踏襲した。
 新興国は先進国の金融緩和がもたらす波及効果を懸念している。
あふれたマネーが新興国に流れ込み、通貨高やバブルを引き起こす一方、
先進国が金融引き締めに転ずれば資金が逆に流出する可能性がある。
新興国は先進国の金融政策の影響で経済の振幅が大きくなることを恐れている。
こうした問題は先進国側も認識しており、
「国内目的の政策が他国に負の波及効果をもたらさないよう確認する」とした。
 各国が自国の輸出産業を守る保護主義を巡っては
「あらゆる形の保護主義に対抗し、市場を開放する」と明記。
会議直前にも「多くの国が自国通貨安で輸出競争力を高めようとしている」
(ブラジルのマンテガ財務相)との指摘が出ていた。
 世界経済は米国で増税・歳出削減が一度に来る「財政の崖」を昨年末に先送りしたことで、
「リスクは低下しつつあり、金融市場は改善している」とした。
 ただ、国際通貨基金(IMF)が1月に世界経済の成長率見通しを10月から引き下げるなど、
なお先行き不透明感が強いとの認識もある。
「力強く持続的で均衡の取れた成長を達成する」との文言を入れ、成長を重視する姿勢を示した。
半面、中長期的な財政では日米両国を名指しして「財政の持続性を高めること」を求めた。
 2010年6月の首脳会議(トロント・サミット)で合意した財政健全化の目標は、
9月の首脳会議で再設定するための準備を始めたが、
短期的な景気回復を優先する米国と、厳格な健全化目標を求めるドイツなどの対立が残った。

G20“通貨安競争”回避を再確認へ

2月16日 18時55分

G20“通貨安競争”回避を再確認へ
 
モスクワで開かれているG20は、まもなく閉幕し、比較的速いスピードで進む円安に、一部の国から懸念が出ていることも踏まえ、討議の成果をまとめた共同声明では、自国の通貨を安く誘導するいわゆる「通貨安競争」の回避を再確認する見通しです。
先進国に新興国を加えたG20、主要20か国の財務相・中央銀行総裁会議は、日本時間の16日午後9時すぎに、共同声明を発表して閉幕します。
今回のG20では、積極的な金融緩和の提唱で、日本の円安が比較的速いスピードで進むなか、これが輸出を有利にする為替誘導ではないかといった懸念が、一部の国から出ていることを受けて、為替の問題が焦点となりました。
関係者によりますと、これについて声明では、「為替レートは市場で決まるべき」としたうえで、「通貨の競争的な切り下げを回避すべきという約束を再確認する」とした文言を盛り込み、G20として、「通貨安競争」の回避を打ち出す見通しです。
また、先進国の金融緩和で、新興国側には過剰に資金が流れ込み、金融市場が不安定になったという批判が根強いことから、「国内のために実施する政策が与える負の影響を、最小化することを約束する」という文言も盛り込む方向で調整しています。
今回のG20は、世界経済に依然、力強さが見られないなかで、円安によって輸出の回復が見込まれる日本の経済政策が批判の対象になることも懸念されましたが、これまでと同様に、通貨安競争の回避を再確認することで、協調姿勢を打ち出すことになりました。

 



0 件のコメント:

コメントを投稿