2013年6月20日木曜日

安倍政権半年、株価変調に焦り 高支持率は維持

2013/6/23 3:30      [有料会員限定]
 
 第2次安倍内閣が発足して26日で半年を迎える。大胆な金融政策など一連の「アベノミクス」の経済政策によって株価は上昇し、円高も是正。内閣支持率は高水準を保ってきた。ただ、最も重点を置く参院選を目前に控えて、株価や円相場は変調を来している。訪米や訪ロで積極的な首脳外交も展開したが、中国、韓国との関係改善は手つかずで、課題も多く残す。
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■落胆隠さず
 「落ちちゃったね」。安倍晋三首相が「アベノミクス」の3本目の矢となる成長戦略を自ら発表した今月5日。発表直後に日経平均株価が前日比500円超下がったことが耳に入ると、周囲に落胆を隠さなかった。
 21日の株価終値は1万3230円13銭と昨年12月26日より約3000円高く、円相場も1ドル=97円台で12円近く円安に振れた。内閣支持率も60%台と健闘している。それでも株価が終値で1万5600円台に乗せた5月下旬に比べ「見劣りする数字」(政府関係者)なのは否めず、いつ安定するかも見通せない。
 首相が株価や円相場に神経をとがらせるのは、支持率の推移とはっきり連動しているからだ。5年半の長期政権を築いた小泉純一郎元首相は在任中、「株価につながる円相場の動向を執務室で毎日チェックしていた」(安倍首相周辺)。選挙を前にわかりやすい形で実績を作っておきたい――こんな思いがにじむ。
 「成長戦略の公表で株高に弾みをつけて選挙に臨む」(経済閣僚)思惑だったが、目算通りとは言い難い。政府内には「何とか株高・円安に戻さないといけない」(政務三役)との焦りも見える。

■13カ国訪問

 首相が得意と自負する外交面でも目に見える成果を追求する。就任以来「地球儀を俯瞰(ふかん)する外交」を掲げ、米国やロシア、東南アジア諸国など計13カ国を駆け足で訪れた。日米同盟の強化を軸に自由や民主主義などの価値観を広げる戦略を基本に据えるが、この「地球儀外交」には空白がある。

 5月中旬、都内のホテルでアーミテージ元米国務副長官らが集まる会合に顔を出した首相は、話が韓国に及ぶと「今は(関係修復は)ちょっと難しい。どういうタイミングがいいか考えている」と漏らした。昨年8月の李明博前大統領による竹島(島根県)上陸から日韓の政治レベルでの対話は滞りがちだ。

 3月に新しい指導体制に移行した中国との関係も展望は見えない。首脳との電話協議すらできず、昨年9月の尖閣諸島(沖縄県)の国有化以来、関係は冷え込んだままだ。首相周辺は「中国とは長期戦になる」と腹をくくる。

 成果が見えたのは日米関係だ。沖縄県の米軍普天間基地の移転手続きを進める一方、地元自治体にも配慮して嘉手納以南の米軍基地の返還計画をまとめた。2月の訪米では「日米同盟は完全に復活した」と宣言した。ロシア・中東などの歴訪ではエネルギー開発やインフラ輸出を促進し、成長戦略となる経済外交を展開した。





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