2012年7月20日金曜日

北陸銀行とマネーロンダリングとテロ麻薬関与

HSBC資金洗浄、テロ・麻薬の関与濃厚

米報告書、北陸銀の対応批判

 
  米上院の国土安全保障・政府問題委員会の常設調査委員会が
17日にまとめた報告書で、
英大手銀行HSBCが国際的なマネーロンダリング(資金洗浄)に関与した
舞台裏が生々しくあぶり出された。
 同行のテロや麻薬取引への関与が濃厚になり、
関係先はメキシコや中東の現地法人に加えて日本の北陸銀行にも及んだ。
北陸銀のケースを中心に何が起きたのかをたどってみた。
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米議会上院小委員会の公聴会に出席したHSBC幹部ら(17日、ワシントン)=ロイター
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米議会上院小委員会の公聴会に出席したHSBC幹部ら(17日、ワシントン)=ロイター
 

  2008年6月、ニューヨーク州にある米国HSBC銀行の決済センターを
内偵した米通貨監督庁(OCC)の2人の調査官は目を見張った。
「山のように」積まれたトラベラーズチェック(旅行小切手=TC)を発見したからだ。
疑惑の本格的な糸口をつかんだ瞬間だった。
 

  大量のTCはロシア系企業が北陸銀に持ち込んだ後、
米国HSBCの手元に送られてきた。
総額は11万ドル(約870万円)相当と多額だ。
200枚を超える連番、署名は乱雑で判読不能だ。
 不審に思った調査委は追及を進めた。
北陸銀に入れるTCが1日50万ドル超と異常な水準になることも珍しくない。
「トカレンコ」という名の謎の中心人物も浮かんだ。
 トカレンコ氏は、ロシアの銀行が発行したTCを日本の地銀に入れて
「洗浄」した現金をロシアに還流させたのか。
誰でも銀行窓口で購入でき追跡が難しいTCは洗浄に悪用されやすい。
ロシアをテロ資金の温床とみる調査委は「(危険信号の)赤旗」を振った。
 調査委の情報開示の要請はHSBCの東京支店を通じて北陸銀に伝えられた。
だが北陸銀は顧客情報秘匿のため、
TCの顧客が中古車販売に関わる業者である
といった部分的な情報しか伝えてこない。
 業を煮やした調査委は北陸銀に直接接触したが納得のゆく回答はない。
「なぜロシアでの中古車事業にドルを用い、
北陸銀の情報がこうも乏しいのか」(調査委)
 HSBCの協力姿勢も煮え切らない。
「日本の狭い地域金融界での悪評がたつ」。
調査委はHSBC担当者の言葉を引き合いに、
なれ合いともとれるHSBCの態度に疑問を投げかける。
 報告書は北陸銀の資金洗浄への関与や作為について
慎重に判断を留保しつつも、
対策の不備や情報開示に強い批判をにじませている。
北陸銀が処理したTCは総額3億ドルと巨額で疑念がつきまとう。
 米上院にとってHSBCの案件がより深刻だったのは、
麻薬取引とイランなど中東テロ活動への関与疑惑が濃厚なこと。
 HSBCのメキシコ現法(HBMX)は
07~08年の2年間に70億ドルを米国HSBCに送金した。
調査委は同国での麻薬取引や犯罪、資金洗浄の可能性が高いことを踏まえ、
犯罪組織がHBMXを使ってドルを米本土に移す「洗浄」
をしていたのではないかと指摘。
 中東を巡っても調査委は、
HSBCとサウジアラビアの最大手銀行アルラジとの緊密な関係を問題視。
報告書は同行の所有者の何人かは
国際テロ組織アルカイダとのつながりを指摘した。
 強力な調査権限を持つ米上院は
今回の報告書でこれらのほかにも広範な関与事例を公表している。
米からみればHSBCは資金洗浄のための
世界的なドル供給のハブ(中継拠点)ともいえる構図が浮かぶ。
米議会の「虎の尾」を踏んだ格好となった。

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