2012年7月6日金曜日

東電と政府の手抜き原発事故 人災の福島原発事故報告書

事故調報告書の取り扱い議論へ
7月6日 4時2分


国会の原発事故調査委員会は、5日、東京電力福島第一原子力発電所の事故について、「自然災害」ではなく、明らかに「人災」だと指摘する報告書をまとめました。
自民・公明両党は、報告書の内容を国会で質疑すべきだとするなど、今後、報告書の取り扱いを巡る議論が活発化する見通しです。

国会の原発事故調査委員会は、5日、福島第一原発の事故について、歴代の規制当局と東京電力の経営陣の安全への取り組みを批判し、何度も事前に対策を立てるチャンスがあったことに鑑みれば、今回の事故は「自然災害」ではなく、明らかに「人災」であるとする報告書を、衆参両院の議長に提出しました。
これについて、自民党の谷垣総裁と公明党の山口代表は、5日夜の会談で、国会が独自に設けた機関の報告書であり、国会でしっかり質疑すべきだという認識で一致しました。
また、与野党双方から、この報告書で原発の運転再開の根拠が揺らいだとして、その是非を検証する必要があるなどという指摘も出ています。
一方、民主党内では「民主党政権だけの問題ではなく、歴代の政権が責任を負わなければならないことが明確になった」などという意見のほか、「政治に介入しすぎている」として、不快感を示す声も出ています。
報告書は、国会に対して、規制当局を監視する目的で、原子力の問題に関する常設の委員会を設置すべきだなどと提言しており、今後、その取り扱いを含め、議論が活発化する見通しです。

事故調 菅前首相“人災認識は共通”
7月5日 19時25分

国会の原発事故調査委員会の報告書について、菅前総理大臣は「事故の根源的原因として、歴代の規制当局と東京電力で『何度も事前に対策を立てるチャンスがあったことに鑑みれば、今回の事故は自然災害ではなく、明らかに人災である』と指摘している点は、今まで私が述べてきた認識と共通するものだ。一方で、総理大臣官邸の事故対応に対する評価や、東京電力の撤退を巡る問題など、いくつかの点について私の理解とは異なるところがある。事実関係をより一層明らかにするためには、東京電力のテレビ会議の記録など、客観的な記録の全面公開が不可欠だ。事実関係のより一層の究明が進むことを期待する」というコメントを出しました。

国会事故調 “明らかに人災”
7月5日 14時16分

東京電力福島第一原子力発電所の事故原因などの解明に取り組んできた国会の原発事故調査委員会は、5日、報告書をまとめ、衆参両院の議長に提出しました。
報告書は、歴代の規制当局と東京電力の経営陣の安全への取り組みを批判し、何度も事前に対策を立てるチャンスがあったことに鑑みれば今回の事故は「自然災害」ではなく、明らかに「人災」であるとしています。

国会の原発事故調査委員会は、5日、国会内で20回目の委員会を開いて、641ページにおよぶ報告書を取りまとめ、黒川委員長が横路衆議院議長と平田参議院議長に提出しました。
報告書では、今回の事故について、歴代の規制当局と東京電力の経営陣がそれぞれ意図的な先送り、不作為、または自己の組織に都合の良い判断を行うことによって、安全対策が取られないまま3月11日を迎えたことで発生した。
何度も事前に対策を立てるチャンスがあったことに鑑みれば、今回の事故は「自然災害」ではなく明らかに「人災」であるとしています。
また、事故当時の総理大臣官邸の対応について、発電所の現場への直接的な介入が現場対応の重要な時間をむだにするだけでなく、指揮命令系統の混乱を拡大する結果となったなどと指摘しています。
そして、国民の健康と安全を守るために規制当局を監視する目的で、国会に原子力の問題に関する常設の委員会を設置すべきだと提言しています。
一方、事故の直接的な原因について、報告書では、「安全上重要な機器への地震による損傷がないとは確定的に言えない」として、津波だけに限定すべきではないと指摘するとともに、特に1号機については、小規模な配管破断などが起きて原子炉の水が失われる事故が起きるなど地震による損傷があった可能性は否定できないと指摘しています。
そのうえで、未解明の部分が残っており、引き続き第三者による検証が行われることを期待するとしています。

黒川委員長“提言着実に実行を”

国会の原発事故調査委員会の黒川委員長は、記者会見で、「提言を一歩一歩、着実に実行し、不断の改革の努力を尽くすことこそ、国民から未来を託された国会議員や国会、国民1人1人の使命だと確信している。
原発事故はまだ終わっておらず、提言の実現に向けた第一歩を踏み出すことこそ、事故によって日本が失った世界からの信用を取り戻し、国に対する国民の信頼を回復するための必要条件だと確信している」と述べました。

事故調“官邸の介入が混乱を拡大”
7月5日 17時17分

国会の原発事故調査委員会は、東京電力福島第一原子力発電所の事故の報告書で、当時の総理大臣官邸の対応について、「原子力安全・保安院の機能不全、東京電力の情報不足が、結果として官邸と東京電力の間の不信を募らせ、総理大臣が発電所の現場に直接乗り込み、指示を行う事態になった」としています。
そして、「その後も続いた官邸による発電所の現場への直接的な介入が、現場対応の重要な時間をむだにするだけでなく、指揮命令系統の混乱を拡大する結果となった」と指摘しています。
また、東京電力の対応については、「官邸の顔色をうかがいながら、むしろ官邸の意向を現場に伝える役割だけの状態に陥った」としています。
そして、「事故の進展を止められなかった、あるいは被害を最小化できなかった最大の原因は、官邸と規制当局を含めた危機管理体制が機能しなかったことや、緊急時の対応で事業者と政府の責任の境界があいまいだったことにある」と結論づけています。

事故調 事故教訓に「7提言」
7月5日 16時53分

東京電力福島第一原子力発電所の事故原因などの解明に取り組んできた国会の原発事故調査委員会は、報告書で、今回の事故の教訓を生かすため、7つの提言を行っています。

報告書の中では、
▽国民の健康と安全を守るため、国会に原子力の問題に関する常設の委員会を設置すべきだとしています。
そのうえで、
▽政府の危機管理体制を抜本的に見直すため、指揮命令系統の一本化を制度的に確立することや、事故が起きた際の発電所内の対応について、一義的には事業者の責任とし、政治家による場当たり的な指示や介入を防ぐ仕組みを構築することを求めています。
さらに、
▽被災地の環境を長期的・継続的に監視しながら住民の健康と安全を守り、生活基盤を回復するため、政府の責任で住民がみずから判断できる材料となる情報開示を進めるなどの対応を早急に取る必要があるとしています。
また、
▽東京電力は、経済産業省との密接な関係をもとに原子力の規制当局の意思決定に干渉してきたとして、電力会社が規制当局に不当な圧力をかけることがないよう、厳しく監視すべきだとしています。
一方、
▽規制組織については、国民の健康と安全を最優先とし、常に安全の向上に向けてみずから変革を続けていく組織になるよう抜本的な転換を図るべきだとしています。
このほか、
▽世界の最新の知見を踏まえた形で、原子力関係の法律や規制を抜本的に見直すことや、
▽報告書で扱わなかった、原子炉の廃炉の道筋や使用済み核燃料の問題などを取り扱うため、国会に専門家からなる第三者機関として独立調査委員会を設置することを提案しています。
事故調査委員会は、国会に対し、「提言の実現に向けた実施計画を速やかに策定し、進捗状況を国民に公表することを期待する」としています。

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