2012年9月17日月曜日

大阪維新の会そして日本維新の会 の 決断

       「今がラストチャンス」 維新、国政へ(ルポ迫真)
                                                                                                          2012/9/17 9:35
 地域政党「大阪維新の会」代表の橋下徹(43)は9日夜、
大阪市内の日本料理屋「花外楼」別邸で民主党の元官房副長官、松野頼久(51)に言い放った。
「ルール作りにすら参加しないのは主権国家として間違いです」。
テーマは環太平洋経済連携協定(TPP)交渉参加への是非だ。

 維新は同日、新党「日本維新の会」に合流を求める国会議員7人と公開討論会を開いたが、
TPPはほぼ触れずじまい。
宴席は、推進派の維新と慎重派の松野の溝が埋まるかの「追試」の場となった。
 松野は「米主導で決まった国際ルールには参加すべきだとの党内議論に反対した」と説明。
橋下は「こんなところで逃げたら、あらゆる困難な問題でも逃げることになる」と詰め寄る。
最後は松野も折り合った。松野らの合流で国政進出に向けて維新は政党要件を得るメドをつけた。
 約140年前、
当時の花外楼では大久保利通、木戸孝允ら明治維新の立役者が新政府の青写真を描く大阪会議を開いた。
議員の一人は赤ら顔で「維新の志士だ」とおどけた。決起は固まった。
□   □
 「国会議員は信用できないし、期待もできない」。
大阪維新の会政調会長の浅田均(61)が、
橋下のいらだちの高まりに気付いたのは今年の年明けだった。
 維新は昨年11月の大阪府知事と大阪市長のダブル選挙を制し、
橋下は市長就任直後の12月に上京した。
大阪府・市を再編統合する「大阪都構想」実現のための法改正を巡り、
「国会議員が動かなければ国政に出る」との橋下の威嚇に、
国会議員はこぞって協力を誓う。
 橋下は「大変ありがたい」と述べたが、周辺にはこう漏らす。
「今は協力姿勢を示しているが、衆院選後は手のひらを返すのではないか……」
 9月8日、国政進出の表明記者会見で橋下は「国を根元から変える」と語る。
この言葉は政治家に転じて以来の鬱屈の結晶だ。
 橋下の永田町・霞が関不信の発端は2008年の府知事就任直後までさかのぼる。
府が予算を削っても、
国はダム建設などに絡み年400億円もの直轄事業負担金を求めてくる。
橋下は「ぼったくりバーの請求書だ」と批判した。
この時は政権交代後に民主党が負担金軽減に動いたが、戦果のある例ばかりではない。

 受給者が全国最多の15万人を数える大阪市の生活保護問題。
市の財政負担は年3000億円に達し、
橋下は市長就任前、不正・過剰受給問題に切り込むと訴えた。
だが、地方には受給者への調査権限すら十分与えられていない。
「自前で調査すらできないのか」
 今年1月18日、大阪城近くのホテルニューオータニのすし店で、
橋下、幹事長の松井一郎(48)、浅田らは新年会を開いた。
席上、橋下はついに口にした。
「国の仕組みを変えるには今がラストチャンス。自前の勢力を集めよう」。
浅田は「国会で影響力を持つには候補者を300人は立てなあかんな」と応じた。
 「個別政策を巡って戦ううちに、
国のシステムを丸ごと変えなければならないと思うようになった」。
府知事時代からのブレーン、慶大教授の上山信一(54)は橋下の思いを代弁する。
□   □
 大阪都構想を後押しする大都市地域特別区設置法は8月29日、
民主、自民、公明、みんななど各党の賛成多数で成立した。
既存政党側は「もう国政進出の大義はないはず」とけん制したが、
結局、橋下らの国への不満は抑えられなかった。
 8日の会見で橋下は、「地方が永田町、霞が関にお願いする仕組みはもううんざり。
命まではとられないでしょうから1回やってみる」と語るに至る。
 維新の綱領「維新八策」には(1)道州制(2)TPP参加(3)衆院議員数を240に削減――などの
目玉政策がずらりと並ぶ。
 与野党の警戒感は強く、自民党のベテラン議員は
「結局、橋下が国政を目指す理由は何なのか。
権力欲以外に何をしたいのかは今もよく分からない」と漏らす。
 「地方分権以外にも狙いがあるはずだ」「党首と市長の両立は課題も多いのでは」。
地域政党の国政進出は新たな疑問も生む。
「地方からの挑戦」との橋下の主張が支持されるのか、
軽挙なポピュリズムと退けられるのか。
答えは有権者に委ねられる。

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