2012年9月22日土曜日

老後のお金のすべて 退職後の生活と不十分年金

退職後の生活、年金だけでは不十分老後のお金のすべて

■老後のお金Q&A

【Q】老後の生活費は、年金だけで足りますか。
【A】足らないと考えた方がよさそうです。2010年のデータでは、60歳以上の無職世帯の支出は月24万円程度。貯蓄などを毎月約5万8000円取り崩す状態です。

  老後の生活費はいくらくらいかかるのか。総務省の家計調査 (2010年)によると、世帯主が60歳以上の無職世帯の消費支出は約24万円。内訳は図1の通りだが、月5万8000円不足する計算になるため、預貯金を取り崩してまかなっている。

図1 高齢無職世帯の収入と支出  世帯主が60歳以上で無職の世帯(世帯員が2人以上)の実収入は21万8388円、そのうち85%は公的年金などの社会保障給付が占める。消費支出は24万5870円で、食費は約6.2万円、住居費は約1.5万円。世帯主が60歳以上の世帯のうち、23%が高齢夫婦無職の世帯(夫65歳以上、妻60歳以上)となっている。データの出所は総務省「家計調査」(2010年)。
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図1 高齢無職世帯の収入と支出  世帯主が60歳以上で無職の世帯(世帯員が2人以上)の実収入は21万8388円、そのうち85%は公的年金などの社会保障給付が占める。消費支出は24万5870円で、食費は約6.2万円、住居費は約1.5万円。世帯主が60歳以上の世帯のうち、23%が高齢夫婦無職の世帯(夫65歳以上、妻60歳以上)となっている。データの出所は総務省「家計調査」(2010年)。


 30~50代の現役世代の場合、生活費をさらに切り詰める必要がありそうだ。年金財政の悪化で将来、支給額が減ることや支給開始年齢が引き上げられる(年金をもらえる年齢が上がる)ことが予想される。また、支給額は変わらなくても、消費税 の引き上げ、医療費や介護費用の自己負担額引き上げで支出が今より増えると考えられる。
 専門家への取材を総合すると、現役世代がもらえる年金は「今より3割程度減る」という人が多い。厳しく見積もって5割減の予想も含め、現在の高齢者並みに生活費を使うとどうなるか。60歳退職時に3000万円の金融資産があるとして、試算した(図2)。すると、今の高齢者と同額を支出した場合、65歳支給開始で支給額3割減の場合(将来1)は73歳で、67歳支給開始で支給額5割減の場合(将来2)は70歳で資金がゼロになってしまうことがわかった。

図2 年金の支給条件が現行方式よりも厳しくなったときのシミュレーション 60歳で退職するときの貯蓄3000万円が、その後何歳まで持つかを「将来1」~「将来3」の3通りのパターンで試算した。試算条件は次の通り。[将来1]年金支給額が現在より3割減、支給開始年齢が65歳からで生活費月額が現在の高齢者並みの場合[将来2]年金支給額が現在より5割減、支給開始年齢が67歳からで、生活費月額が現在の高齢者並みの場合[将来3]年金支給額も生活費月額も現在より3割減で支給開始年齢が65歳からの場合
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図2 年金の支給条件が現行方式よりも厳しくなったときのシミュレーション
 60歳で退職するときの貯蓄3000万円が、その後何歳まで持つかを「将来1」~「将来3」の3通りのパターンで試算した。試算条件は次の通り。
[将来1]年金支給額が現在より3割減、支給開始年齢が65歳からで生活費月額が現在の高齢者並みの場合
[将来2]年金支給額が現在より5割減、支給開始年齢が67歳からで、生活費月額が現在の高齢者並みの場合
[将来3]年金支給額も生活費月額も現在より3割減で支給開始年齢が65歳からの場合


 どうすればいいのか。月の支出を現状より3割抑えて19.6万円とすれば65歳から3割減の支給でも90歳までもつ。実際、節約生活が身に付いた現役高齢者世帯の中には、この金額でやりくりしている人もいる。

 さらに60代以上の豊かさを左右する要素のひとつが、同じ世帯に家族がどれだけいるかということ。住友信託銀行が2011年にまとめたリポート「世帯形態別にみた60代以上の貯蓄と家計運営」によると、60代以上の世帯の1人あたりの貯蓄残高は、1人暮らしが1500万円強あるのに対して、夫婦と子ども世帯では750万円弱にとどまり、2倍の開きが生じた。子どもがいる場合は、早いうちから経済的な独立を促すなど、現役のうちから心がけておこう。

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